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「硝子の街にて」シリーズ
2006-02-02 Thu 02:15
柏枝真郷 著 / イラスト 茶屋町勝呂
講談社X文庫ホワイトハート にて刊行中

1996年の『窓-WINDOW-』(硝子の街にて1)から続く文庫書き下ろしのシリーズ。
ニューヨークを舞台に、アメリカ国籍の日本人青年広瀬伸行と幼馴染のシドニーの恋愛模様を軸にしながら、毎回彼らが遭遇する事件とそれをめぐる人間模様を描くミステリー仕立ての物語です。

アメリカ駐在の日本人商社マン夫婦の家庭に生まれた伸行は、幼少期をアメリカで過ごしました。その時の隣人がシドニーの一家であり、共に一人っ子だったふたりは兄弟の様に仲の良い幼馴染でした。しかし、両親の離婚により伸行は母の実家である東京に戻ることになり、二人は別れ別れに。その後文通を続けるだけだった二人が再会したのは、成人するまで日米二重国籍だった伸行が日本国籍を捨てアメリカ人としてニューヨークへ戻って来た時でした。

ゲイであるシドニーは証券会社に勤める恋人のロッドと暮らしていましたが、伸行の出現は二人の間柄に波紋を広げます。何故なら、伸行はシドニーにとって今も忘れがたく思う初恋の相手であり、ロッドもそれに気付いてしまったからです。気付かないのは、シドニーがゲイであると知っても、幼馴染の親友とばかり思い込んでいる伸行だけでした。そんな微妙な三角関係がしばらく続いた後、紆余曲折を経て、何とか恋人同士になって行くシドニーと伸行・・・。というのが「硝子の街にて18」までの物語の大筋です。

元々ゲイではない伸行への遠慮もあって、こと愛情表現に関しては不器用なシドニー。シドニーを大切な人とは思いながら、彼の恋心に気付かない、恋愛に関してはちょっと鈍感なところがある伸行。ふたりの着かず離れずの微妙な関係が、幼い日の微笑ましい思い出と重なって、甘く切なく純な恋物語を織り成していきます。

そして現代のニューヨークを舞台にしたこの物語は、避けては通れない「その時」を迎えます。それを書いたのが、次のシリーズ19以降の3巻です。

『風-BLOW-』(硝子の街にて19)
サブタイトル:9.11その朝(2005/3/5 発行)

『悼-SORROW-』(硝子の街にて20)
サブタイトル:9.11その夜(2005/8/5 発行)

『暁-SUNGLOW-』(硝子の街にて21)
サブタイトル:9.11その後(2006/1/5 発行)

2001年9月11日その朝。ニューヨーク市警察の刑事であるシドニーと、日本の旅行会社の現地事務所に勤める伸行、そして友人で消防士のスティーブ。この街に暮らす人々にも、この街を訪れている人々にも、いつもと同じ朝が訪れた2001年9月11日。街が本格的に動き出そうとしている午前9時前に、それは突然襲ってきたました。アメリカ同時多発テロ。忙しく喧騒に満ちながらも平穏な日常が、悪夢の戦場と化した、9.11その朝。その瞬間から、伸行が、シドニーが、スティーブが、それぞれの職務を、どんな思いで、どのように遂行して行ったのか。ニュース映像だけでは知り得ない当事者たちの姿を、小説というかたちで描き出しています。

消防士のスティーブが、救命救急士たちと救助した怪我人を搬送した病院で見た、たくさんのDOA(Dead on Arrival=到着時死亡)タグ・・・。殺人事件としてカウントされはしないが、これは明らかに殺人だと思うシドニー。宿泊先に戻らない日本人観光客の安否確認に奔走する伸行。思わぬところで得られた一般市民の協力と機転と勇気がお互いを救う事につながったり、混乱に乗じて悪事を働く不埒者が出没したり。そういう部分を書くには、資料収集や取材が大変だったのではないかと思われました。

フィクションであるこのシリーズの中で「あの日」を描く事の是非を思い、シリーズを「あの日」以前で終わらせる事も考えたという著者の柏枝さん。ボーイズラブという枠に関係なく、迷いを振り払って、真正面から「9.11」を書かれた作家としての覚悟に、敬意を表したい思いで一杯です。

そして、10年に渡って書き続けられたこのシリーズも、次の「22」にて完結するそうです。どういう結末が描かれるのか楽しみな反面、もうあのふたりの物語は読めないのか、という寂しさも大きいです。

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