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コミック版『王の男』
2007-01-17 Wed 10:16
原作 映画「王の男」(イ・ジュンイク監督作品)  
漫画 冬乃郁也  
角川書店単行本コミックス 2006年11月発行
初出「CIEL」2006年11月号別冊付録(描き下ろしあり)

小説について書いたので、漫画についても触れておこうと思いまして、すみませんがまだ続きます『王の男』の話題(笑) このコミック版も、映画公開直前の11月末頃、小説とほぼ同じ時期に発売されました。「CIEL」初出ですが、あすかシエルコミックスではなくて、一般コミックスで出ています。

冬乃郁也さんは初読みの方だったので、まずプロフィールを見たら、代表作の紹介がないので新人さんなのかと思っちゃいました。でも2003年からコミック出されてる方で、崎谷はるひさんの小説『恋は乱反射する。』(ルビー文庫)でイラストを担当され、あすかシエルコミックスから同作品の漫画版(2006年12月)も出されてるんですね。存じ上げなくてすみません。
『王の男』は一般コミックだからBL系の代表作は載せなかったんですね・・・。

さて内容ですが、かなり端折ってる部分もあるものの、2時間の映画作品をよく一冊に上手くまとめてあるなぁ、と感心しました。主だった出来事だけを順に描いていくんですが、そこに至る過程を回想として入れているので、何故そういう展開になったのかわかる様になっています。このやり方を映像でやったら、カット割りがうるさ過ぎてかなり見づらそうですが、漫画なら大丈夫。特に京劇風の芝居を見せる場面は、コマ割りを使った同時進行の回想を、チャンセンとコンギルそれぞれ1頁だけで描いていますが、映画では出来ない表現方法だと思いました。
ただ、もしかすると映画を観てない方にはちょっとストーリーが解り難いかもしれません・・・。

webKADOKAWAの立読み頁でも確認でもきますが、タイトルが出る前の一番最初の頁に描かれているのは、王の側近チョソン大臣です。チャンセンたちの風刺劇を初めて目にする場面なんですが、「全ての悲劇はここから始まった・・・」という感じの、上手い導入だと思いました。今までの感想で全く触れませんでしたが、実はこのチョソン大臣が物語のカギを握っている人物なんです。漫画では映画よりもそれを強調する演出になっています。終盤の、芸人を宮殿に呼び入れた理由を問われる場面。自嘲的にそれに答えるチョソンと、燕山君の残虐な仕打ちを受けるチャンセンとを同時進行のコマ割りで描いて、結局は政争の道具として使い捨てにされるしかない芸人たちの運命を端的に物語っています。そのかわり風刺劇を始めるきっかけになったユッカプたちとの関係は、全編に渡ってすっかり省かれています。

ストーリー全体は、映画と少し違って主にコンギルの視点で描かれていますので、映画では解りづらい彼の内面が現れています。映画を観た後、小説より先に漫画を読んだのですが、なるほどコンギルはこういう気持ちで動いてたのね、と少しすっきりしました。ただ、あとがきで冬乃さんご自身も書かれてますが、これはあくまで冬乃さんの解釈ということなんですね。

映画のコンギルは、たぶん作為的になのだと思いますが、内面の解り難い人物になっています。チャンセンと燕山君の間で揺れ動く気持ちに、何よりコンギル自身が戸惑い誰にも言えず葛藤している。それが物語の重要な部分でもあるからなのでしょう。私が映画を観ていて感じた、コンギルに対する苛立ちを通り越した怒りにも似たやるせなさというのは、この内面の解りづらさから来るものなんです。実はそれがコンギルに強く惹かれる理由でもあるんです。そしてこの苛立ちを一気に解消してくれる様な、あのラストでのチャンセンとの遣り取りが生きてくるんです。見ようによっては4人心中とも言える悲しい結末(史実では燕山君ここでは死にませんが)なのに、決してただのアンハピーエンドとも感じませんでした。監督の思う壺ですね、私(笑)

そういえば、漫画でも触れてなかったですね、指輪紛失事件でっち上げの件・・・。あれは編訳者の前川さん独自の解釈なんでしょうか?

ところで、冬乃さんの描くコンギルはBLのセオリーに則っているようで、チャンセンより随分小柄です。映画でコンギルを演じたイ・ジュンギさんは、チャンセンより少し高いかもと思う長身なんですが。そしてチャンセン、ワイルドながら中々いい男になってます。でも、所謂BL的要素は映画以上に描かれていなくて、皆無と言ってもいいです。冒頭の貴族の寝所に呼ばれる場面も、燕山君にキスされる場面も、冬乃さんは描かれませんでした。

反対に漫画でだけ描かれれたのが、小説ではプロローブにもある、コンギルが初めてチャンセンに綱渡りを教わるところ。映画では映像化されてませんよね、たしか。それを冬乃さんは、終盤の人形劇の場面でコンギルの回想として描いています。可愛いですよ二人とも。コンギル、子どもの時からあの髪型でした。

映画を観た後にも、漫画や小説があったらつい読みたくなるファン心理。四半世紀以上前、『犬神家の一族』最初の映画化の時から始まった、角川書店のメディアミックス戦略。今もすっかりハマッている私です・・・。
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