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小説道場( 中島梓 著 )
2006-01-29 Sun 02:28
作家栗本薫でもある著者が、1984年から95年まで、71回に渡って雑誌『JUNE』『小説JUNE』〔(株)マガジン・マガジン 発行 〕誌上に連載した投稿作品評。1986年に『小説道場』Ⅰ・Ⅱとして新書館より発行され、その後92年8月に改めて『新版・小説道場』として光風社出版から刊行され、97年10月までに全4巻が発行されました。

JUNE誌はご存知の様に、主に女性読者を対象に女性作家が書く、男性同士の性愛を含む恋愛を軸にした物語を扱った雑誌です。中島梓さんが道場主として投稿作品評を掲載し始めたのは、このジャンルにボーイズラブという呼称が定着するより以前でした。現在に比べるとまだまだ特殊なジャンルと思われていただけに、中島さんが投稿者に度重ねて問いかけるのは、「何故この系統の作品を書かねばならないのか」と言う、書き手の内面への問題意識の確認でした。

とにかくこのジャンルの小説に対する、中島さんの並々ならぬ熱意が伝わって来ます。道場と言うだけあって、投稿者と評者との一種の闘いの場であったので、時としてかなり手厳しい個人批評があり、叱咤激励の言葉が投げかけられるのでした。それはまた、深い共感と理解でもありました。中島さんも書いておられましたが、たしかにセラピーの様にも感じられました。

講評の後、道場主は投稿者に級・段位を与えるシステムで、もちろん優秀作はJUNE誌に掲載されました。最高段者だったのは『私説三国志』の江森備さん。その他、秋月こお、柏枝真郷、鹿住槇、尾鮭あさみ、須和雪里、金丸マキ、佐々木禎子の各氏など、ここで高段者に名前を連ねた方たちの中には、今もこのジャンルの実力派人気作家として活躍している人が多数いらっしゃいます。「魚住くんシリーズ」の榎田尤利さんも中島梓道場主最後の講評に名を連ねていました。

私自身小説道場を参考に色々な作品を読ませていただきました。そして全編に渡って「やおいとは何なのか」を問いかける姿勢のすごさ、4巻に掲載されている「やおいゲリラ宣言」も刺激的で、個人的にBLのバイブルと言ってもいい本だと思っています。

たとえばJUNE史に残る名作であろう野村史子さん著『テイク・ラブ』への講評は下記の通り。
JUNE小説とは結局、人間の孤独、見すてられた幼な子の孤独、救い、愛、妄執、他の存在への「思い」、そういったものにつきつめられてゆくのだなあと思う。こういう作品を読むと、それがとてもよくわかる。『風木』だって『しまりんご』だって『トーマの心臓』だってそうだ。人と自分、自我と自我、愛と孤独。男同士であるかないか、などということは結局あとからついてくるディテールでしかないと思う。そういう「思い」があること、それを人に伝えたいとのぞむこと、それが大切なのだ。 ( 『新版・小説道場』1巻 第17回の評より )
   <注>
   『風木』・・・・・・・・・・・竹宮恵子 著『風と木の詩』 
   『しまりんご』・・・・・木原敏江 著『摩利と慎吾』
   『トーマの心臓』・・・萩尾望都 著)
JUNE小説とは何なのかを、作者と読者、時に評者自身の内面に向かって探求していく書評は、なかなか他にはないと思います。どうしてもその小説を読んでみたいと、それこそ「まんだらけ」でJUNEのバックナンバーを探してしまった事もありますし、時に中島さんの言葉に涙してしまった事もあります。

『テイク・ラブ』については、「JUNE発掘隊」さんの「野村史子」さん作品でも詳しく紹介されています。私の印象では、耽美と呼ぶには社会派という方が近い設定で、ボーイズラブという軽い呼称には馴染まない、その切なさとほの明るいラストシーンが胸に迫る、まさにJUNE小説という作品です。

「小説道場投稿作品リスト」を作りました。参考までにご覧ください。
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