スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ↑top
エッグスタンド
2007-01-08 Mon 18:42
月村奎 著 / イラスト 二宮悦巳
新書館ディアプラス文庫 2004年2月発行
白泉社花丸ノベルズ 1997年4月発行作品を文庫化

新しい年を迎え、早いもので七草も過ぎました。今年もよろしくお願いいたします。
年末から突然月村奎さんにハマって、近隣書店で見かけた本は殆ど買い漁りました(笑) その中で、新年最初に読んだのがこの『エッグスタンド』でした。ノベルズ版所収の表題作を含む三作に、新たに書き下ろしを加えて文庫化された作品です。
「エッグスタンド」
他人とも家族とも一定の距離を置くように暮らしてきた歯科医の森住宏一は、父親の転勤でマンションの隣室に一人暮らしをすることになった高校生の仲居透に妙に頼られていた。人懐こくお気楽な性格に見える透だったが、実は家族にも友人に知られたくない悩みをかかえていた。それは自分がゲイであり、親友の修司に好意を抱いているという事だった。成り行きで世話をやくうちにその話を打ち明けられた森住は、透との関わりに一歩踏み出すことになっていく・・・。

「愛が二人を分かつまで」
透は、修司に亜美という彼女がいるのを承知の上で、思い切って気持ちを打ち明けた。予想どうり気持ちに応えてはもらえなかったが、今まで通り友達付合いをしようと言われホッとする。だが、良い奴なのに無神経な修司は、ゲイである姉の友人松田を透に紹介してきた。深く傷つきながらも、修司に気を使って松田と会うようになった透だったが、想いは別のところにあった。
透は、時折訪ねてくる森住の双子の妹文乃とも親しくなっていた。彼女が店長を勤める貴金属店を訪れた透は、女連れで店にやって来た森住と出会って動揺する・・・。

「真珠のかけら」
森住の妹文乃と、妻子持ちの彼氏とのお話。

「チョコレート日和」書下ろし
気持ちを確かめ合った後の、森住と透のお話。
タイトルになっているエッグスタンドは、森住に忘れていた幼い日の幸せな記憶を思い起こさせたアイテム。でもそれはモノが思い出させたのではなく、森住が作ったエッグスタンドの半熟茹卵を喜んで食べる、透の嬉しそうな顔でした。

森住が家族も含め誰かと深く付合うのを避けて来た一因は、幼い頃の辛い家庭環境によるものでした。自営の仕事が上手く行かなくなり妻や子どもにも暴力を振るう様になった父は、10年前に母と自分たち兄妹を捨てて従業員だった女と家を出て行ったきり音信不通で、先頃女のもとで亡くなっていました。父親に対し不信の念しか抱いてない森住でしたが、まだ仕事が上手く行っていた頃のエッグスタンドをめぐる父親との思い出は、忘れ去っていた父子の情を思い起こさせるものでした。やがてそれは、家族ではない人間との新たな関係を築いて行く勇気にもつながって行きます。

何作か読んだ月村さんの作品には、家族との関係に悩む少年が、年長者との新たな出会いによってそれを克服していくお話がよくあります。この作品もそういうテーマですが、家族との関係を克服するのは透よりもむしろ森住の方ですね。透は透で、ゲイであることを家族に申し訳なく思っているんですが、それはどちらかと言うと自己認識の問題の方が大きいようでした。そしてこちらも、森住の想いを知ることで、自分の感情への後ろめたさが無くなって行きます。

月村さんの作品は全体にBL的描写はわりと少ないですが、この作品も皆無ではないですが、かなり少なめです。他の作品にもあったのですが、二人の初めてって「朝チュン」以前です・・・。最初に読んだのが『家賃』だったので、以前の作品を色々読んで初めて月村さんの作風を知った感じです。でも、そういう直接的な描写ではなくても、二人の心が惹かれあっていく揺れや緊張や甘さを上手く描いていて、すっと手を触れただけで伝わりあう幸福感に満足します。

人は家族との関係(ともに暮らせてなくても)の中で育って、家族以外の他者との関係に向うことで大人になって行くんだなぁ、という当たり前のような事を、BL作品はあらためて考えさせてくれる時があります。月村さんの作品もそうですね。
スポンサーサイト
別窓 | 月村奎 | コメント(0) | トラックバック(0) | ↑top
<<王の男 | ホーム | 私的今年のBL小説ベスト>>
コメント
↑top
コメントの投稿














管理者だけに閲覧

↑top
トラックバック
この記事のトラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
↑top
| グラス・エイジ |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。