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君にもわかるISO ~許可証を下さい!5~
2006-11-29 Wed 23:44
烏城あきら 著 / イラスト 文月あつよ
二見書房シャレード文庫 2006年11月発行

続けて昔の作品を取上げたので、今回は読み終えたばかりの最新作についてです。このシリーズ、今年初めて知って何ヶ月か前に1~4を読んだのですが、みなさんお薦め下さるだけあってとっても面白いです。特に今作は、ふたりの前向きで真摯な言動と行動に、自分自身の職場でのモチベーションも上がるんじゃないかと思うくらい、ちょっと感動してしまいました。
「君にもわかるISO」シャレード2006年5・7・9月号掲載
阿久津弘が勤務する中小化学薬品製造業・喜美津化学は、得意先からの要請を受けた事もあり、ISO取得が急務となった。品証部に所属する弘は、「ISO推進委員会」の中心的メンバーとして関わることになったが、昔ながらのやり方を重視する製造部門は全く乗り気ではなく、責任者の説得に苦労していた。ちょうどその頃、製造部の組長で弘の恋人でもある前原健一郎は、通信教育のスクーリングで東京の大学に行く為、一週間現場を離れることになった。だが、前原が留守の間に不良品問題が発生し、それを具体例としてISO取得準備を少々強硬に進めようとする弘に対し、製造部長は反発を強めていた。そして東京から戻った前原も、製造部を説得するには時間が必要だと言い、ふたりの意見も真っ向から対立する。

その上、問題は仕事だけではなかった。前原が赤ん坊の頃に母と離婚していた父が、突然弘を訪ねて来て、「息子とは別れて、ただの同僚に戻って欲しい」と言いだしたのだ。再婚して生まれた娘の縁談に響くから、というのが当初の言い分だったが、東京で前原にも会ったという父の思いは、娘のことだけではなかった。仕事と恋愛、それぞれの問題に立ち向かうふたりは、どういう道を選ぶのだろうか・・・。

以上表題作のほか、前原の側から職場を描いた書下ろし「理由」を所収。
前原妹も登場します。
ビジネス書コーナーで『あなたにも解るISO』などの類似のタイトルを目にしても、絶対私は手にしないと思いますが、BLでこの本が出たおかげでISOについて少しだけ知ること出来ました。「ISO9000」の頃はよく話題になっていたように記憶していますが、製造業以外も対象になった今では「ISO9001」なんですね。品質マネジメントのPDCAサイクル「計画(プラン)し、実行(ドウ)し、検証(チェック)し、活用(アクト)する。この四段階を着実に繰り返していけること。」、何ていうのも初めて知りました。昔々の独身社会人の頃、職場でTQC(トータル・クオリティー・コントロール)活動なんてやりましたが、あれから20年(汗)、そういう考え方もここまで進化したんですね。今の職場ではISO取得なんて全く話にも出ませんが、トラブル対応については「上司への報告・迅速な解決・再発防止」のマニュアルがより細かくなりました。コンプライアンス(法令遵守)研修も今年は2回受けさせられましたし。そんな訳でちょっとお勉強にもなりました。

そして何より、ここ半年ほど職場でのモチベーション下がりまくりの私に喝を入れるような、弘と前原のやりとりが良かったです。もともと兄貴肌で、後輩はグイグイ引張って行くし、先輩方にも言うべき事はハッキリ言う前原ですが、例え恋人だろうと弘に対してもその態度は変わりません。そして一見大人しそうで天然入ってる弘も、こと仕事に関しては自分の信念を持って行動し、納得が行かなければ一歩も引かない負けず嫌いな性格です。それでいて、ふたりの仕事に対するぶつかり合いは、単なる意地の張合いだけではありません。自身の立場と役割を踏まえ、仕事の将来やそこに働く人々の事も考えた上での、それぞれの最善策の主張なのです。喧嘩ごしのようでも、見ていて気持ちいいくらいです。

現実の職場というのは、社員の思いが届かない虚しさを感じる事の方が多いかもしれないんですが、たとえフィクションであろうとも、この物語に元気をもらいました。恋人同士であると同時に同僚であり、仕事の上ではライバル意識もバリバリ持っているふたりですが、相手の仕事への情熱や理解度その成果には、敬意をもって賞賛する気持ちも持っています。自分の方が負けであれば心底悔しいけれど、それだけなく相手の仕事ぶりには素直に感動さえ覚えているんです。私はその事に感動しましたよ。まさに切磋琢磨して成長していける、とってもいい関係ですね。羨ましい限りです。

突然現れた父の「別れてくれ」へふたりの対応にも、それぞれ前向きで真剣な深い想いがあふれていて、こちらも胸をあつくさせられました。今後は仕事だけなく、互いの両親へふたりの関係をどう伝えていくのかなど、難しい問題もありそうです。このシリーズ、ふたりが精神的に大人なせいか(前原父も息子をそう評してましたが)、これまでは恋愛関係での切な度はかなり低めでした。すれ違いも仕事がらみの事がほとんどで、仕事の問題の解決がふたりの問題の解決にもつながっていたんですが、これからはどうなるんでしょうか。心配ではありますが、それはそれで楽しみでもあります。

このシリーズは、シャレード文庫から下記の4冊が出ています。
1『許可証をください!』2003年11月発行
2『慰安旅行に連れてって!』2004年6月発行
3『嵐を呼ぶ台風!?』2005年2月発行
4『ただいま定修中!』2005年12月発行
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コメント
こんばんは!ヒトコさん、コメント失礼します。

このシリーズ、いつの間にか二人の関係が良い感じになっていて、
私は実はちょっと驚いているのです。
と言いますのも、最初の3作品まではちゃんと読んでいたのですが、
その後は雑誌掲載分を斜めにしか読んでいなかったんですよね…。
今回も買うかどうか迷っていたのですが、
直前に読んだ同じ鳥城さんの小説キャラ掲載作品がとても面白かったので、
半分勢いで買ってしまったトコロがあります。
でも、実際読んでみたら本当に久しぶりに面白い作品でして、
思わず二度読み返してしまいました。

個人的には前原パパがお気に入りです。
大人の腹黒さがとっても素敵でしたわ。

では。
後ほどTB送らせてもらいますね。
2006-12-03 20:11 | URL | tatsuki #- | [内容変更]
tatsukiさん、こんばんは。
私は1~4をまとめて読んだので、わりと順調に関係を深めて来た様な気になっていたんですが、そういえば最初の頃って割ともたついてましたね。あらためて1巻を見てみたら、文庫になるまで雑誌掲載で読んでた方は、作者さまの寸止め攻撃(?)にあっていらした事がわかりました(笑) 一気に読んでしまうと気が付かないものですね。
前原パパ、中々いいですね。弘には「もう会う事もないでしょう」なんて言ってましたが、今後の登場もあるのでしょうか?

小説キャラ掲載の作品も面白かったようで、いずれ文庫化されるのを楽しみに待っています。高齢化社会に対応したBLってすごいですね。烏城さんって、益々今後を期待してしまう作家のようです。
TBもありがとうございました!
2006-12-04 02:43 | URL | ヒトコ #- | [内容変更]
こんばんは、TBのお返しに参りました。
「ほう・れん・そう」と習った新人研修、
ISOの時代でもやっているのでしょうか?w
それはさておき。
お互いにぶつかって成長できる相手が
いることが素晴らしいですよね。
お互いに認め合って働ける相手が
恋人と言うのも大変でしょうけど、
とても羨ましいと思います。
あ、ちょっとフジミの二人に似てるかも?

これからも楽しめそうでよかったです。

それではまたお邪魔します。
2006-12-05 22:28 | URL | aya-me #- | [内容変更]
aya-meさん、TBありがとうございました。

「ほう・れん・そう」ってありますよね。
ISOの基本理念(よく解りませんが)にも合致しているような気がします。
今の職場のトラブル処理も基本的にはこの考え方だと思いますし。
そうえいば、ISOとは方向性が違うんですが、この二人と同世代の頃いた職場に、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
という山本五十六の言葉が貼出されていたのを思い出しました。
当時の社長がバリバリ戦中派だったんです。
ISOは全貌を理解するのが難しそうですが、
標語とかスローガンは解りやすくていいですね(^^;)
この話を読むと、自分の職場の事を色々思い出してしまいます。

お互いを認め合って働ける相手が恋人でもあるって、
現実を考えると大変そうですが、それでも羨ましいですね。
「仕事と私とどっちが大事?」とか言われたり思ったりしなくて良い訳ですし。
その分仕事で対立すると私生活も辛そうですが、社会的存在でもある自分を
恋人にも認めてもらいたい、というかそういう自分でありたいという願望は
やっぱり何処かにあります。今更無理ですが・・・。

そういえば、フジミの二人もそうですよね。新作でも闘ってました。
同業者でライバルで無二の恋人同士って、
BL界ではこの二人が草分け的存在かもしれないですね。
フジミもさることながら、許可証の二人の今後もとっても楽しみです。
2006-12-06 09:41 | URL | ヒトコ #- | [内容変更]
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本作品、私にしては珍しく二度読み返したため、感想を1日跨いでしまってちょっと残念…。更に今回、BL小説を読むときはまずしないのですが、付箋を大量に貼り付けております。様々な点から本当に興味の尽きない作品でして、結
la aqua vita 2006/12/03 20:21
『君にもわかるISO~許可証をください!5』/烏城あきら(文月あきよ)
『君にもわかるISO~許可証をください!5』/烏城あきら(文月あきよ)
感想を書く上であまりしないこと。1・出たばっかりの本の感想を書くこと。 →積読が多すぎて新刊をすぐに読まないから。2・続き物を1冊ずつ書くこと。 →細かく書くことが苦手だから。相当しょぼい理由ですが、よって以上のことはあまりしません。ですが。この作品はそれ
ゲイ&腐男子のBL読書ブログ 2006/12/05 22:20
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