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腐女子化する世界
2006-10-10 Tue 23:47
杉浦由美子 著 (中公新書ラクレ 2006年10月10日発行)
サブタイトル「東池袋のオタク女子たち」

前著「オタク女子研究 腐女子思想体系」(原書房 2006年3月発行)に続き、女性のオタクがテーマの本です。著者の杉浦さんは、昨年雑誌『AERA』に書いた「萌える女オタク」という記事が注目されたことで、このテーマの本を出すようになりました。サブカルチャー本だった前著と違い、今回は新書本ですので、「腐女子」という単語に馴染みのない一般読者の目に留まる事も多いと思われ、多少の不安が・・・。

サブタイトルからしてそうなんですが、「はじめに」でも書かれてる様に、取っ掛かりは乙女ロードなんですね。それはそうなのかもしれないですが、語られる腐女子の幅を都合よく限定してしまっている様で、ちょっと残念です。それでも、当事者からの批判的感想も多く上がった前著よりは、社会的視点が加わった部分もあり、読み応えがあるとは思います。

前著は私も読みましたが、納得できる事もあるものの、疑問な点も多かったです。ざっと読んだ所では、今回の『腐女子化する世界』も取上げている例など前著と重複するところも多い印象でしたので、そこはもう少し掘り下げた内容にして欲しかったな、と思います。「ハーレクイン」や「レディコミ」「ロマン小説」「韓流ドラマ」にも言及してるのに、それとBLの関連性への踏込みがちょっと物足りなかったですね。

それから、帯にも「女たちは自分探しに飽き、自分忘れに走り出した!」なんてあるんですが、それはどうなのかなぁ? 自分を見つめる事や個性の追求に疲れて、「国家」などの自分と無関係ではないが少し抽象的で大きな括りについて語るとか、全体主義に憧れるとか、取材した何人かの方の事例をあげて語られています。その気持ちは私もわかります。けれどそれを「自分忘れ」と言われてしまうと、何だか違う様な気がします。

「関心が妄想(物語)の男性にいっているので、現実の男性への欲求が低い」っていうのも、結果としてはそうかもしれないけど、考えた順序が逆だと思うしなぁ。はじめに現実ありきですよ、人間いきなり妄想の世界には入らないです。そんな訳で、たぶん本書も当事者からの批判は多々あるものと予想されます。それ以前に「腐女子云々などと広めないでくれ!」と言いたい気もしますしね。前著の事もあるので、タイトルと帯だけでも当事者の反発を食らっているのではないでしょうか。

それでも、読み進めていくうちに納得できる部分もあります。最後に、自らを「腐女子」と呼んでしまう女性のオタクたちには客観性と冷静さがあり、それは「物語」の世界に逃避することで現実の自分を俯瞰できるからだといっています。現実の平凡な日常をキチンと生きるために「物語」を必要とするが、それは健全な現実逃避だ、という結論に至っています。途中は「?」な部分もありましたが、この結論には私も同感します。

ただね、こういう結論に達するのなら、「自分忘れ」という切り捨てた様な言い回しを前面に出さないで欲しかったです。後半になるにしたがって、現在の20代30代の女性たちが置かれている厳しい現実に触れ、格差社会の中で「嗜好」を重視したライフスタイルに向う女性たちの心情を、「生きる知恵」として肯定的に語っているのですから。

それはさて置き(置いていいのか?)、個人的に買いだと思ったのは、柏枝真郷さんへのインタビューが載っていた事です! 同じ中央公論新社のノベルズで『PARTNER』シリーズ(BLじゃないですが)を書いてるからなんでしょうが、それは嬉しかったです。

前著については、「AliNote」というサイトの「やおいにつて」に「オタク女子研究」への反応集、というのがあります。参考までに。
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コメント
ご無沙汰しています。トラバ張らせていただきました。

「腐女子は社会のキツさに対応する術だ」と主張しているのは、頷けるところがあります。ただ戦略的に腐女子像を単純化していて、やおいを愛好する女性たちの多様性をバッサリ切り捨てているのは、やはり大きな問題だと思います。
2006-10-14 03:42 | URL | たいまつ #- | [内容変更]
たいまつさん、お久しぶりです。
TB、コメント、ありがとうございます。

そうなんです、この本で一番疑問だったのが、やおいBL好きの世代や立場を故意に限定して、多様なファン層全般には言及していない所でした。韓流ファンは主婦だけじゃない、と言ってるのに、どうしてそこから、やおいBLファンは乙女ロードに行く世代だけではない、って方向にも行かないんだろうか? と思いましたし。

だいたい、私のような思春期の子どもまでいる女はどうなるんでしょうね(^^;)
2006-10-14 12:57 | URL | ヒトコ #- | [内容変更]
こんばんは。この本、先日書店で見かけて、「たしかこちらのページで紹介されていたはず」と思い出し、お邪魔しにきました。

杉浦さんの「オタク女子研究」への反論のすごさは、わたしもネットでちょっと知っていたのですが……そうですか、「オタク女子研究」の内容と重複しているところが多いんですね…。
ヒトコさんのレビューを呼んで、大体内容が想像できました。

わたしの年齢的なものもあるとは思いますが、30過ぎてハマったとか、また復活したとか、そういう人が周りにけっこう多いし、やおい・BL本はネットでしか買わない、という人もいるので、たしかに、「乙女ロードに行く人」に絞られると、ちょっと疑問ですよね。

でもわりと、このテの本って、いろいろと限定したり
絞ったりしがちのような気もします。

「自分忘れ」という言葉も、なんだかヤケクソっぽいというか、ステバチっぽくてやだなぁ…いえ、たしかに、「癒しよね」とかいいながら、読んでたりしますけど(笑)。

なんだか妙に長くなりました。スミマセン。面白いレビューが多いのにずっとコメントしそびれていて、今頃になったんですけど、うちのブログにリンクを貼らせていただけないでしょうか? よろしくお願いします。
2006-12-12 20:47 | URL | lucinda #- | [内容変更]
ucindaさん、こんばんは。
うちの紹介などを思い出していただき、ありがとうございます。

前作の「オタク女子研究」は題名にひかれて読んでみたんですが、「なるほどね」と思うこともあったものの、「そうかなぁ~?」と疑問な点も多かったです。ネットで批判的な感想が多かったのにちょっと驚きましたが、皆さんの気持ちは解りました。人が何故BLに惹かれるのか、というのはファンそれぞれに個人的な理由があると思うので、「腐女子とはこういうモノ」と一括りに語るのは難しいですよね。だから「乙女ロード」とか作為的に限定したのでしょうか。

自分自身がネットで情報を得て30代半ばでBLにハマったので、ネットがBLファンを増殖させただろう事や、その中に私の様な40代以上のちょっと年食ったファンもいる事はどうなのか、にも個人的には興味があります。

私も「癒し」だと思って読んでいたり、現実逃避だと思うこともあるんですが、「自分忘れ」とまで言われちゃうとそこまでヤケクソにはなってないと思いました(笑)

リンクしていただけるんですか! 嬉しいです。よろしくお願いいたします。
2006-12-14 20:32 | URL | ヒトコ #- | [内容変更]
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