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リベット
2006-10-07 Sat 00:05
木原音瀬 著/イラスト 藤田貴美(蒼竜社 HOLLY NOVELS 2006年9月発行)
「リベット」(オークラ出版「小説アイス」2001年7・9月号初出)
「リベット2」(書下ろし) 以上2作品所収

木原さんの新作が読めると楽しみにしていたので、内容などは何も吟味しないで作家買いしました。読み終えた後、ずっしりと胸に迫って来るものがありました。『箱』『檻』とはまた少し別の意味で、心に残る作品だったと思います。

物語から受けた感慨とは別に、この重いテーマをBLという枠の中で扱い、このジャンルの限界へ挑戦してるんじゃなかろうか、という木原さんの姿勢に衝撃を受けたのかもしれません。
高校教師の初芝は、誰にも言えない知られたくない問題を抱えて暮らしていた。それは、何も知らずに支えてくれる恋人の由紀に対しても、想っているからこそ打ち明けるのを恐れてしまう問題だった。ひとりでそれと立ち向かいながら、慎重に日々を過ごす初芝の気持ちを揺るがしたのは、やたらと慕ってくる職場の後輩乾の存在だった。学生時代のボランティアの経験から、初芝が抱える問題に気付いた乾は、協力を申し出る。初芝はそれを断り乾と距離を置こうとするが、その熱心さについ甘えてしまう・・・。
初芝の抱える問題をめぐって、人の心の中にあるエゴと甘え、情と残酷さを浮き彫りにしながら、それでも誰かを必要とする切なさを描いています。人間の弱さと強さ、それ故の愛しさが伝わってくる作品です。

初芝の抱えている問題とは、HIVの感染者であるという事です。それは学生時代、突然告白して来た友人に無理やり体を奪われた事が原因でした。思い余って強姦してしまう、というのはJUNE以来何度も描かれてきた展開です。そういう、時として乱暴な性愛込みの恋愛を描くBLというジャンルで、作者も読者も暗黙の了解の様に直視して来なかったHIV感染の問題。

これまで、その危険性に言及したお話はあっても、主人公がこういう形で感染した当事者というのは無かったのでは。そもそもラブファンタジーでもあるBLで、主人公に当事者を置くのはタブーであるとも云えます。あえてその難しいテーマに挑んだのは、果たして反則なのか可能性の追求なのか、はたまた問題提起なのか。読み終えてから数日、未だに自分の中で結論が出ません。

真実を告げたら恋人は離れて行き、死の恐怖に怯えながらも、無理にでもひとりで生きる覚悟をしようとする初芝。そんな彼への片想いから、時に色々と気遣いをして援助し、迷惑になると思えば距離を置く乾。やがて初芝は、乾の真直ぐな想いに触れて、自分の弱さを見せ心を開いていきます。はっきりと恋人同士になる訳ではありませんが、二人の距離がかなり縮まった所で、本編(「リベット2」まで)は終わっています。

由紀の優しさを手放すのが怖くて中々真実を告げられなかった初芝も、それを一度は受け入れようとしながら結局は去っていった由紀も、責める気にはなれません。学生時代に辛くてボランティアから逃げた乾の後ろめたさもよくわかります。だからこそ、乾が何の恐れもなく真直ぐに初芝に寄り添おうとするところに、それが純粋な愛故だとしても、少し引っかかりを感じます。

そしてカバーを外すと、そこには「もう一山も二山もあった3年後の二人」のお話があります。そこへ至る道程は勿論平坦ではなかったでしょうが、それなりのハッピーエンドを望む読者へのサービスなのでしょう。確かにホッとするけれど、BLレーベルでこのテーマを描いた木原さんの意欲作と感動しつつ、BLという枠の制約も感じました。
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コメント
ヒトコさま

はじめして、ottuです。ヒトコさんもなやみつつのレヴューですよね。こんなにも読者を悩ませるさっかも少ないのでは?
これからも一緒に木原作品を楽しんでゆきましょうねv
リンク,ありがとうございます。ヒトコさんちのブログに恥じまいようがんばります。
2006-11-21 23:29 | URL | ottu #- | [内容変更]
ottuさん、こちらにまでお越し下さってありがとうございます。
ほんとうに、この作品には色々と考えさせられました。
そちらでもグダグダ書かせていただきましたが、この『リベット』以来木原さんの作品を読んでないんです。それでも「木原作品って何だろう」という思いから離れられなくて、前に読んだ『B.L.T』の感想を書いてみたりしてました。
来月には新刊が出るようですし、そろそろまた木原作品が読めそうな気がしてきました。これからもご一緒に楽しませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!
またottuさんのblogにもおじゃまさせていただきます。
2006-11-22 21:28 | URL | ヒトコ #hHr8eLEw | [内容変更]
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