スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ↑top
キャバレー
2006-08-10 Thu 03:18
栗本薫 著 角川書店1983年9月発行
初出誌「野生時代」1983年8月号
(84年12月角川書店にて文庫化、2000年6月角川春樹事務所ハルキ文庫版発行)

著者の栗本薫さんは、ご存知の様に、創刊当時からJUNE誌に関わっていたJUNE小説の祖と言ってもよい方です。JUNEの前進である「コミックJUN」1号が発行された1978年、『ぼくらの時代』で第24回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家として注目される様になりました。そして翌79年、初めてのJUNE系作品『真夜中の天使』を文藝春秋社から出版しています。書店での入手は無理で図書館にて借りましたが、あとがきを読むと、この作品を一般小説として上梓するにあたっての、並々ならぬ覚悟の程が伺えます。

『キャバレー』は直接同性愛を扱った作品ではありませんし、86年角川映画10周年記念作品として、製作・監督 角川春樹で映画化もされています。しかし、物語の舞台や主人公である青年の立ち位置などが、『真夜中の天使』の流れを汲む感じのある、JUNEテイストな作品でもあります。
小説のあらすじ。
場末のキャバレーで演奏するジャズバンドのメンバー矢代俊一は、若い(19才です)がサックスの腕は確かで、ジャズを愛し自分の音を追及するジャズマンだった。店を訪れるヤクザの滝川は、何時も俊一に「レフト・アローン」をリクエストし、その音色に聴き入っていた。ふたりの間には、いつしか奇妙な友情のようなモノが生まれる。だが、女と引抜きに関するトラブルから、俊一はヤクザ同士の対立に巻き込まれて行き、滝川に指を切られる事になってしまうのだが・・・。
私は、映画『キャバレー』公開の前後に、原作の小説を書いた作家として栗本薫さんの名を初めて知りました。当時、映画は観そびれましたし小説も読んでいませんでしたが、予告編か何かで知った物語の内容から、原作者は男性だと思い込んでいました。「薫」って男性女性どちらにもある名前ですし。後に、TVのクイズ番組に出ていた中島梓さんが、栗本さんと同一人物だと知るまで、ずっと男性だと思っていました。

それは何故かと言うと、男女の恋愛などよりも、男同士の間に生まれた情を中心に描かれていたからなんです。映画版では、俊一をトラブルに巻き込む元凶になる女性の他に、原作に無い滝川の元恋人の女性も登場するんですが、それぞれの男女関係が物語を動かす訳ではないんです。俊一と滝川、男同士が互いに影響されあう事の方が、重要な問題になっています。女性が脇に徹している物語だったので、てっきり原作者は男性だと思った訳です。

映画版は監督も脚本も男性なので、よりそう思わせる要素があったのかもしれませんが、原作では一層女性の影は薄いです。俊一と滝川の関係は恋愛ではありませんが、俊一のサックス奏者としての才能と俊一自身への、憧憬にも似た滝川の想いは、友情というには篤過ぎるように思います。そんなところが思い切りJUNEテイストですが、俊一が滝川の名前も知らぬまま、キャバレーを去って新しい自分の道を歩き出すあたりは、『真夜中の天使』とは全くちがって、青年の成長物語としての爽やかさを感じます。

『キャバレー』には続編として、滝川と俊一の再会を描いた『黄昏のローレライ・・・キャバレー2 』(ハルキ・ノベルス2000年10月発行)がありますが、こちらは未読で、只今図書館で予約中です。それから、20代半ばのサックス奏者矢代俊一が登場する『流星のサドル』(クリスタル文庫2006年5月発行)は読みましたが、『キャバレー』の続編というには、俊一が別人ぽいです。滝川とのやり取りを経験した青年にしては、純朴過ぎるというか幼すぎます。同性の俊一に、恋愛としての執着を感じて悩む主人公の視点で描かれている事や、『真夜中の天使』の登場人物、結城や今西良の名前が出て来たりもする事もあって、『キャバレー』の続編というより、『真夜中の天使』系(つまりJUNE系)の作品です。
スポンサーサイト
別窓 | BL周辺の作品 | コメント(0) | トラックバック(0) | ↑top
<<初めて読んだ作家、烏城あきらさん | ホーム | 男だけの育児>>
コメント
↑top
コメントの投稿














管理者だけに閲覧

↑top
トラックバック
この記事のトラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
↑top
| グラス・エイジ |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。