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男だけの育児
2006-08-04 Fri 22:56
ジェシ・グリーン 著  伊藤悟 訳
飛鳥新社 2001年6月発行

読んだのは、5年も前の発行当時になりますが、とても印象に残る作品でしたので紹介します。著者のジェシさんは、ニューヨークで活躍されているゲイのライターで、パートナーのアンディさんとともに、彼が養子に迎えた二人の男の子を育てています。

この『男だけの育児』は、まだ赤ちゃんだった最初の息子を迎えたばかりのアンディさんと出会うところから始まります。ゲイのジェシさんは、ゲイなのに子持ちのアンディさんと出会うまで、自分が親として子育てをするなど、考えたこともありませんでした。ゲイのカップルと養子の息子、3人の家庭を作り上げていく過程と、二人目の息子を迎えるまでの苦労などを通して、親になるとはどういう事かを描いた自伝的作品です。

翻訳者の伊藤さんは、以前の記事にも書いた「すこたん企画」を、パートナーの梁瀬さんと主宰されています。この本も、すこたん企画のサイト内にある『男だけの育児』コーナーを見て知りました。

異性愛者の夫婦が養子を迎えるのとは違い、法的な伴侶のいないゲイの男性が養子を迎えるには、様々な困難がありました。法律が、親としての資質を問うからです。子ども達に愛情を持って真摯に向き合い、恋人同士としても互いを思いやるアンディさんとジェシさんは、カップルとしても親としてもすごく努力しています。それなのに、法律は親としての二人に中々厳しいです。産んだという事実だけで、何の問題もなく親として世間に認められている異性愛者の私たちは、自分の親としての資質を検証したことがあるのだろうか・・・。実父母からの虐待が多々ある中、何だか矛盾を感じました。

BLにも子育てをする話はよくあります。大概はどちらかの実子か、兄弟など血縁者の子どもという設定が多く、血が繋がらない養子を育てる話はあまりないように思います。しかも、子ども達はよく出来た子が多いですよね、父親の同性の伴侶にも懐くし。現実の子育ての問題とは関係なく、BLの子育ては家族のいる幸せの象徴のようなものです。養子を迎えるとなると、話は複雑になりますので、ノベルズや文庫本またはコミック本1冊で、カップル二人の関係の他にそれまで描くのは無理でしょうね。

そんなBL系作品の中で、他人を養子に迎えて二人で育て上げた物語があります。羅川真里茂さんの漫画『ニューヨーク・ニューヨーク』です。BLテイストですが、著者自身はBLではなく普通の漫画として世に出した作品のようです。ゲイの方にも支持されているようで、実はこの作品も上記のすこたん企画のサイトで紹介されいたの見て読みました。同性を伴侶とした事を家族に受け入れてもらえるまでの苦悩から、養子を育て、二人の人生を全うするまでを描いた、胸に迫るお話でした。文庫版の解説(2巻の)は、伊藤悟さんが書かいていらっしゃいます。

ちなみに、『男だけの育児』を読んだ直後の感想と、当時はコンスタントに発行されていた小説JUNEの「私だけの探美図書館」の記事を『男だけの育児』コーナーに載せていただいております。
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