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健全育成条例と権利条約
2010-12-18 Sat 01:20
12月15日「東京都青少年健全育成条例」の一部改正が都議会本会議にて可決されてしまいました。今回のおかしな規制強化には納得がいかず反対でしたので、非常に残念です。

この改正には弁護士山口貴士さんのblogでもその問題点を指摘されている「第7条第2号」の改正(改悪)があります。これは、現行条例でも「図書類又は映画等の内容」に対する性表現規制があるにも関わらず、「漫画・アニメーションその他の画像(実写を除く)」を対象とする性表現規制だけを強調したものです。しかも改正案にも「映画等の」と書かれているのに(実写を除く)っていうのは矛盾があります。

性表現に対する規制もある程度は必要でしょうが、法的な規制は最小限であって欲しいのです。知事が会見の度におっしゃる酷い漫画なら、「図書類」という事で現行条例での規制が可能なのではないでしょうか。書店やコンビニで販売される漫画も図書類に含まれるとしか理解できない私は、根本的に大間違いなのでしょうか・・・。

そして15日の可決を受けてのTV番組などが、あたかも今回初めて都条例に「性表現に対する規制」が出来たかの様な印象を持たせる報道だったのは、大きな誤解を招くのでやめて欲しかったです。現行条例で既に性表現規制はされています。にも関わらず更なる(しかも曖昧な)規制強化をしようとしている事に対して反対しているのです。

そもそも石原知事の会見での発言からして、今回の改正で初めて「性表現に対する規制」を盛り込めたかの様な言い方で、さらに改正反対派に対し「無闇に一切の規制に反対している子どもの敵」という印象を与える様な発言をし、人権意識が皆無としか思われない言葉を連発しているのには怒りを感じます。その前に、すでに性表現規制がある現行条例に今回の改正がなぜ必要なのか、納得のいく説明をしてもらいたいです。

「子どもを守る」為の条例という事になっているので、改正反対派は子どもの事を考えていない、という言う人もいますが、それは全く逆です。子どもの事を考えるからこそ、規制には慎重になって欲しいのです。規制ばかりに頼る事によって、子ども自身の判断力を育てる事の重要性を忘れてもらっては困ります。

特に性に関す問題は、生きていく上でとても重要なことです。子どもが自身を守るためにも、性の自己決定が出来るような教育も必要です。規制強化より先に、家庭や学校で、自他の人権問題も含めて「性と生」について子ども達に教えられるような支援をこそして欲しいのです。

「子どもを守る」といえば、日本は1994年に国連「子どもの権利条約」(日本では「児童の権利に関する条約」)に批准していますが、この条約の目的は「子どもにとって最善の利益を考慮する」ことです。

人権を大人の側からだけ見た場合、子どもはどうしても保護しなければならない対象としてのみ考えられがちです。保護する事は大切な事ですが、その場合の「保護」は、大人にだけに都合のいい方法に成ってしまう可能性があります。一見大切にされているようでも、そのかわりに全て大人の指示通りに行動しなくてはならなかったり、自分の考えを言う事も許されなかったら、子どもにとって幸せな事といえるでしょうか。

健全育成条例による様々な規制は、子どもを保護する上で有効な場面もあるでしょうが、行き過ぎれば大人にだけ都合のいい保護になってしまうのでは、という懸念があります。今回の改正案に、ちょっと待った!と言いたくなったのも、そういう心配が頭を過ぎったからです。特に性表現規制については、これによって子ども達が見る漫画やアニメからそういう表現が一切なくなるような方向へむかうとしたら、昔の純潔教育みたいな事になってしまうのでは、と嫌な気持ちになりました。

「児童の権利に関する条約」に関して、実は批准以来様々な逆風が吹いております。小学校の教科書に載っているのに先生方は内心眉をひそめ、地域の年配者が「権利ばかり主張して我がままになる」「紛争地域の子の為の条約であり、平和な日本の子には当てはまらない」と言うのを私自身実際に見聞きしています。

そしてこれは全国各地の自治体で「子どもの権利条例」を制定しようとする時に、反対派の方々から上がる意見と同じなのです。この方々の主張というのは、どこか健全育成条例推進派方々の意見と似ているなぁ、と思います。これは各地で「権利条例」VS「健全育成条例」な展開が頻発しているのではないか、と想像されます。東京でも「子ども権利条例」をつくる活動がされていますけれど、現知事のもとでは難しそうです。

しかし「児童の権利に関する条約」は、やたらに子どもの権利のみを主張するものではなく、他者の権利や公共性を考慮した一定の制限を課しながら、その中で最善の利益を受けられるようにというものです。たとえば義務教育は、子どもが教育を受けられる権利を保障するものであって、子どもの義務ではなく、保護者や社会が子どもに教育を受けさせる義務です。権利条約も同じように、子どもにとっての最善を大人が考える義務あるということを示しています。

それは子どもの言いなりなる事とは全く違います。子どもが成長する過程で必要な様々な知識を、その最善の利益を考慮して教える義務があるということです。子どもの主張にも耳を傾けながら、必要があれば、時に厳しく他者の権利や公共性について教えることも、その中に含まれると理解しています。

そして国は、子どもの養育及び発達には父母が共同に責任を有することを認めることとしています。法的な規制より先に、親が子どもの判断力を育てることに責任を持つということです。国や自治体はそこにまず留意し、我々親も上からの規制に頼らず、自分の価値観をしっかり持って、子どもと向き合わなくてはいけないということです。

性表現につてもある程度の規制は必要でしょうが、今回の様に漫画やアニメのみを対象として強調し、しかもその線引き判断が曖昧な規制というのは、子どもにとっての最善の利益とは思いません。そして親が子どもに見せたくないと思う性表現に出会った時、その理由を条令による規制に委ねるは間違えです。何故見せたくないのかは、親自身の責任判断と言葉で、ちゃんと伝えて欲しいのです。

子どもと情報・表現の自由については、下記の様な条文があります。「児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する」という文言もありますが、それには「第13条及び次条の規定に留意」することが求められています。
「児童の権利に関する条約」より

第13条
1 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

2 1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。

(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

第17条
 締約国は、大衆媒体(マス・メディア)の果たす重要な機能を認め、児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。このため、締約国は、

(a) 児童にとって社会面及び文化面において有益であり、かつ、第29条の精神に沿う情報及び資料を大衆媒体(マス・メディア)が普及させるよう奨励する。
(b) 国の内外の多様な情報源(文化的にも多様な情報源を含む。)からの情報及び資料の作成、交換及び普及における国際協力を奨励する。
(c) 児童用書籍の作成及び普及を奨励する。
(d) 少数集団に属し又は原住民である児童の言語上の必要性について大衆媒体(マス・メディア)が特に考慮するよう奨励する。
(e) 第13条及び次条の規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。

第18条
1 締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする
「児童の権利に関する条約」全文は外務省サイト内に掲示されていますので、参考にしてください。うちの母屋のサイトにも「子どもの権利条約」についての備忘録的コーナーがあります。
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