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「私説三国志 天の華・地の風」完全版 10巻!
2008-12-19 Fri 22:53
江森備 著
ブッキング 2008年4月発行

第6話「ゆけ 金色の翼」(5)
  1998年11月光風社出版発行「私説三国志 天の華・地の風 9巻」初出
外伝「死者たちの昏き迷宮」
  1995年6月角川書店発行「妖花」(ルビー・アンソロジーⅠ) 初出
外伝「桃始笑」
  1986年3月新書館発行「小説道場Ⅰ」初出
  1995年11月マガジン・マガジン発行「JUNE全集 第10巻」所収
 
遅々として読み進めない「私説三国志」ですが、ようやく3巻目も終盤にさしかかりました。読み始めると凄く面白くて引き込まれるのですが、人物名が難しい上に似たような名前が多いのと、馴染みのない地名が把握出来ないのとで、私には速読不可です。じっくり読まないと解らなくなる…。でも、結末は解っているのに、先が気になる…。

という訳で、次の4巻でとうとう劉備玄徳さまがお亡くなりになるんだと思ったら、我慢できずにそこだけ読んじゃいました。ビックリです。そんな展開なの! 玄徳さまへの思い(想い)だけは別格だと思ってたのに…。孔明さん、あなたというお方は、三国志演義とはすっかり別人ですね。もちろん吉川英治版三国志とも…。でも好きですよ。

そんな孔明さんが、三顧の礼を受けて玄徳さまのもとへ来た時はどうだったのかが気になって、10巻にある外伝「桃始笑」を読みました。1巻の「わが天空の龍は淵にひそみて」より前に書かれていて、1984年JUNE7月号の小説道場で江森さんが初登場した時の作品です。権力者の寵童だった子どもの頃の忌まわしい過去、具体的にではないにせよ、最初から玄徳さまには知られちゃってたんですね。それを知った上で自分を軍師として受け入れた玄徳を敬い、固い絆を結んだと思っていたのに、時の流れは人を変える、残酷なものです。

それでも、三国志演義にあるように玄徳さまに後事を託された孔明さんは、わが生涯の主と決めていた人との別れを悼むのでした。その後彼には、さらなる過酷な戦いの日々と、五丈原への道が待っている訳です。10巻を手に取ったついでに、どうせわかってる最後だからと、結末を読んでしまったんですが・・・。

これ、衝撃でした。江森さん、そう来ましたか! 三国志演義のエピソードを上手く取り入れて、物語内での世間への公式発表は演義を大きく離れることなく、全く別の驚くべき結末を描いています。秋風の五丈原、孔明さんそんな事になっちゃうんだ…。

一方、周瑜とは別に孔明さんと深い関わりを持つことになった魏延。吉川三国志では最後まで孔明に反逆を懸念され全く信用されてなかったのですが、同じ最期を迎えながら、こちらではとっても株を上げてます。

まさに江森さんの「私説」三国志です。こちらで演義と同じ終焉を迎えていたとしたら、孔明さんはとても悲しいだけの報われぬ思いだけが残る人でした。でも江森さんは彼に、自業自得を突き付けながらも、魂の救いを与えたのだと思いました。生涯逃れられなかった悲惨な過去より更に以前の、生まれたての子どもに戻っていくような、胎内回帰のような・・・。 
だから孔明さん、最後は幸せだったんだと思いますよ、あれでも。

孔明と周瑜の関係について

>この二人の間には、「レッドクリフ」にあるような、
>無言で琴を奏でながら惹かれあい理解を深める、
>という関係になり得る情は生まれません。

と前に書きましたが、「私説三国志」の孔明と周瑜の間にある情は、惹かれあい理解するなどという、生易しいものではありません。何というか、怨讐ともいうべき情愛です。孔明さんは最後までこの想いに囚われていました。魏延との間にあったのは、秘密の共有や打算から始まりながら、依存に近い関係かもしれません。

三国志演義に描かれる完全無欠の天才軍師諸葛孔明を、その公の姿を維持する反面、弱き心に流される自分との葛藤を抱え、同時に冷徹な非情さを持つ人物として描いています。一般に語られる孔明像とはかなり違う印象に驚きますが、私は、「私説三国志」で初めて孔明さんに心を動かされました。

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コメント
ああ、途中でどうにも挫折した江森三国志……。またイミシンな孔明の結末が気になる……!でもきっと、今読んでも、途中で挫折しそうです。中国歴史モノってヤツは……。

しかし、ヒトコさんのレビューのおかげで、なんだか満足感のようなものを感じます(笑)。江森三国志、以前ネットで検索した時、「これはこれで面白い」というレビューが男性からも上がっていたのですが、江森さんは本当に三国志がお好きで自分のものにしてらっしゃったんだろうなぁ…と思います。
2008-12-27 15:25 | URL | lucinda #- | [内容変更]
江森三国志、やっと6巻に突入しました。玄徳の後継いだ二代目皇帝に「出師の表」を奉じて魏との戦に向かって行くところです。中国歴史モノは、人の名前がごっちゃになって、主要人物以外すでに「?」な状態です。たまに地名と人名の区別もできません(^^;)

三国志モノの小説はたくさんありますが、ほとんどが男性作家による作品のような気がします。女性作家によるこれだけ長編の三国志モノって珍しいと思います。歴史小説としての面白さを認められる作品を書き切ったのは凄いことですね。 そのせいか、書籍販売サイトの作品リストで、江森さんを男性作家に分類してるのを見かけたことあります。(そういえば柏枝真郷さんも…)

私は吉川英治版しか読んだことがありませんが、たぶん多くは、男性的歴史ロマンというか社会的存在としての人間孔明に魅せられて、それを描こうとしているように思います。それに対し江森さんは、孔明のとても私的な自己中心的ともいうべき部分や、嫉妬や欲望に苛まれる負の感情を通して、彼を女々しさ弱さを持った個人として描いています。江森さんの孔明は、偉大な人ではなく、愛おしさを感じる人です。

その最後は結構可哀想なんですが、それでも救われたんじゃないかと、思えなくもないです。
2008-12-28 15:25 | URL | ヒトコ #hHr8eLEw | [内容変更]
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