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DEADLOCK
2007-07-28 Sat 01:12
英田サキ 著 イラスト 高階佑  徳間キャラ文庫
『DEADLOCK』 2006年9月発行
『DEADHEAT』DEADLOCK2 2007年2月発行
『DEADSHOT』DEADLOCK3 2007年6月発行

角川さんの限定カバー作戦に乗ってしまった『そして春風にささやいて』に続いて、徳間さんの小冊子作戦でもう一冊買ってしまったのがこのシリーズ最初の『DEADLOCK』。いつも通ってる書店さんで、平積み最後の一冊だったのを見たら誘惑に勝てずについ(笑)
ニューヨークで麻薬捜査官をしていたユウト・レニックスは、ある日突然同僚殺しの容疑で捕らえられた。冤罪を訴えるが認めらず、15年の実刑を受ける事になったユウトに、FBIが接触して来た。刑務所に潜伏しているテロリストを探し出せば、交換条件として刑務所から出してやると言うのだ。

様々な罪状で収監されている様々な人種の受刑者達。黒人グループのリーダーで暴力的なBB、刑務所内で商売をする気さくなミッキー、思いやりのあるネトと弟のトーニャ、落着いて理知的なネイサン、そして無愛想だが腕が立って皆の信頼も得ているユウトの同室者ディック・・・。偽名を使って受刑者になっているコルブスなるテロリストは、背中に火傷の跡があるという。果たしてユウトはコルブスを探し出すと事が出来るのか。

BBに目を付けられ度々災難に遭うユウトを気にかけてくれるディック。ユウトは次第に彼に惹かれていくのだが、彼の背中には火傷の跡が・・・。そして刑務所内の人種対立が暴動に発展する中で、ユウトはネイサンとディックの秘密を知る事になる。CIAの密命を受け、自らも偽名を使ってコルブスであるネイサンを追っていたディック。FBIの側であるユウトとは対立関係になるが、それと知りつつも二人はお互いの想いを確かめ合う。だがそれが二人の別れの時でもあった・・・。

暴動に乗じて脱獄したコルブスと、彼を追って行ったディック。一方、真犯人逮捕で刑務所を出られたユウトは、刑務所で接触したコルブスの情報を持つことでFBIの捜査官に採用される事になった。本名も知らぬまま別れたディックとも、コルブスを追っていれば必ず会えるはず。そして、ディックを殺人者にさせない為にも、彼より先にコルブスを見つけ出し捕らえなければならない。その想いを胸に、ユウトのコルブスを追う新たな闘いが始まった・・・。
ここまでが『DEADLOCK』のあらすじ。そして2巻以降は、FBIの捜査官として犯罪学者のロブという協力者と共にコルブスを追うユウトと、過去に仲間を殺された復讐を胸にCIAの人間としてコルブスを狙うディック、そして二人に挑戦するようにテロを企てるコルブスとの、ある種三角関係の様な緊迫した物語が繰り広げられて行きます。

昨年初めて『DEADLOCK』を読んだ時は、途中までBLであることをすっかり忘れて読みふけってしまいました。この物語、ユウトとディックがBLな関係ではなくて、ライバル意識の中に友情とシンパシーを感じる関係に留まっていたとしても、充分に面白いのではないでしょうか。BLキャラとしてはユウトより椎葉の方が魅力的だけれど、お話としては『エス』より好きかも知れません。

それに『DEADSHOT』で敵役のコルブスの生い立ちを謎解きのように入れたことで、彼の存在の切なさが描かれたのも良かったです。コルブスという名さえ本名ではなかった彼が、本当の自分をユウトに知って欲しかったのではないか、という事。そしてユウトも、ディックを殺人者にさせない為だけでなく、コルブス自身の為にも彼を助けたかったのではないかという事。そして、追う者追われる者として、互いを必要としていたかのようなディックとコルブスの関係の中にも一種の情愛を感じました。ラスト、ユウトが問いかけるディックへの言葉、私はコルブスの為に泣きました。

ところで、最初に書いた『DEADLOCK』の小冊子は、懲罰房から帰ったユウトから麻薬捜査官だった事を告げられた直後のディックの気持ちを綴ったお話です。物語の結末を読んだ後だと、何だか懐かしいような気持ちになります。それにしても、あのシェルガー刑務所って、殺人犯とかも収監してる刑務所なのに、学生寮みたいですよね。アメリカの刑務所ってあんなに囚人任せの自治なんでしょうか? あれじゃユウトやマシューが簡単にレイプされり、殺人や暴動が起きても仕方ないような気が(^^;)
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再読・そして春風にささやいて
2007-07-22 Sun 18:54
ごとう しのぶ 著 イラスト おおや和美
角川ルビー文庫 1992年4月発行 (2007年5月 29刷)

1992年12月の角川ルビー文庫創刊以前分はスニーカー文庫より発行。
小説JUNE1987年2月号掲載の表題作の他「若きギイくんへの悩み」(小説JUNE87年4月号掲載)、「June Pride」(小説JUNE87年6月号掲載)、「それらすべて愛しき日々」(小説JUNE88年6月号掲載)、「BROWN」(89年12月同人誌掲載)を所収。

去年書いたように小説JUNE10号(1984年12月)に「季節はずれのカイダン」(ルビー文庫「FAREWELL」(1993年)に改訂版所収)が掲載されてから20年以上続いているタクミくんシリーズの文庫版第1巻です。私が持っていたのは、古書店で買ったスニーカー版なんですが、この夏、角川文庫夏の100冊として限定カバーで発売になったので、ついまた買ってしまいました。
人里離れた奥地にある全寮制男子校私立祠堂学院の生徒である葉山託生(タクミ)は、高校2年の新学期を迎え、クラスメイトでもあるギイこと崎義一と寮で同室となった。ギイいわく“人間接触嫌悪症”という通り対人関係が苦手で自分の殻に閉じ籠っているタクミとは反対に、学校中の人気者であるギイは人望を集める人柄で級長も務めていた。

そんなギイとタクミが接近する事を快く思わない高林泉とその取巻きは、何かとタクミに突っかかって来た。その挙句、タクミとギイは取巻きたちに今は使われていない音楽堂に閉じ込められてしまう。人との接触を避けたいタクミだが、この非常事態にギイと二人で脱出するために協力し合わなければならない。おまけにギイから思わぬ告白をされ、動揺するタクミだったが・・・。
この表題作ではキス止まりですが、親兄弟からも愛された実感がなかったタクミくんが、半信半疑ながらギイの想いを受け入れる事で、他者との関係への一歩を踏み出すお話です。このジャンルに「ボーイズラブ」という名前が付く以前の作品ですが、JUNE誌に掲載されながら、古典的JUNE作品とは一線を隔す、というか「ボーイズラブ」への分岐点となった代表的な作品ではなかろうか、と個人的には思っています。

最近の大人が主人公のBLを読んだ後だと、何とも面映いような昔の乙女チック少女漫画を彷彿とさせるような気恥ずかしささえ感じますが、携帯が無かった時代の高校生活や恋の初めの緊張感が懐かしくもあります。

「June Pride」で主人公二人は一応めでたく結ばれ、その事がきっかけになって、タクミくんを“人間接触嫌悪症”に追い込んでいた亡き兄への思いも吹っ切れていきます。ギイはタクミくんにとって、閉ざされていた心の扉をこじ開けてくれた救世主でもありました。他者への想いが、破滅に向かう執着ではなくて、希望や成長につながる深い情愛として描かれることは、人間関係、特に恋愛関係において、時に理想的過ぎてファンタジーの領域なのかもしれません。でも、あえてそれを描くのが「ボーイズラブ」なのだと思っているので、このタクミくんシリーズ1巻はBLの原点をきっちり押さえた作品ということになります。そんな所が、古典的JUNE作品との違いかな、と思っています。

角川タクミくんシリーズHPでも紹介されますが、珍しく画像を置いてみました。
下の左がスニーカー文庫以来のカバーで、右がこの夏の限定カバーです。15年経っていると、おおや和美さんの絵もだいぶ変わってますね。二人とも可愛らしくなってる感じです。特にギイ、若返ってます。

sosite1 ssosite2

しかし角川文庫夏の100冊、何故にルビー文庫からもチョイスしてるの? 映画化されるというのもビックリでしたが、商売の為とはいえBLを何処へ導いて行く気なのでしょうか角川書店・・・。ルビー文庫にも「角川文庫発刊に際して」が載ってますが、草葉の陰の角川源義さんはどう思っておられるでしょうね。まあ、すっかり乗せられて限定カバー本まで買ってる奴が何を言っても始まりませんが(^^;)
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逃避行動としてのBL読書
2007-07-20 Fri 03:16
先週末から火曜まで4連休だった私。PTA関連でパソコン使ってやらなくてはいけない事もあったんですが、打合せの日程を決めるメールを出せど返事は来ないし、その日程が決まらないのでその仕事もやる気が起きないしで、パソコンから逃避して読書に耽っておりました。でも、職場の方からお借りしてる『柳生十兵衛七番勝負』などは読む気がしなくて、ついついBL本にのみ手が伸びてしまう有様。読み始めたら次から次へと・・・。お陰で随分積読本が減りました。

そんな訳で、古い順にリストアップ。
まずは古書店で買ってそのままになっていた2冊。

『もうひとつのドア』月村奎 著 
イラスト 黒江ノリコ 新書館ディアプラス文庫 2001年12月発行

『猫はいつでも甘やかされる』榎田尤利 著 
イラスト 紺野けい子 大洋図書シャイノベルズ 2003年3月発行

月村作品はもう6年も前の発行ですが、買ったのは去年だったと思います。もの凄く悲しいという程ではないですが、親子の情に涙してしてしまう作品でした。今回一番泣けちゃいました。榎田作品は『放蕩長屋の猫』の続編というか、サブキャラだった春彦のお話。彼も最終的に長屋を出て行っちゃうのね。でも、まひるの事が吹っ切れて良い人と出会えたので、「お幸せに」と言って上げましょう。

そして新刊で買ったのに読まずに1年以上過ぎた作品は。

『海に還ろう』剛しいら 著 
イラスト 金ひかる 雄飛アイノベルズ 2006年4月発行

『裏切りのディスタンス』佐々木禎子 著
イラスト 石原理 二見シャレード文庫 2006年4月発行

あら、いつの間にこんな長い事置き去りにしていたんでしょう。珍しく裏社会モノの佐々木作品は、英田さんの『DEADSHOT』を読んだ後だったので、ちょっと物足りなく感じてしまいました。佐々木さんは今時の少年を描いた作品の方が好きかもしれません。『海に還ろう』は思っていたより面白かったです。あらすじには20年愛と書かれてましたが、実際には30年愛と言っていいと思えるお話です。

割と最近のモノもある今年の作品。

『ノンフィクションで感じたい』秀香穂里 著 
イラスト 新藤まゆり 徳間キャラ文庫 2007年1月発行

『愛を売る男(ひと)』剛しいら著 
イラスト 須賀邦彦 成美堂クリスタル文庫 2007年2月発行

『交渉人は黙らない』榎田尤利 著 
イラスト 奈良千春 大洋図書シャイノベルズ 2007年3月発行

『華の闇』榎田尤利 著 
イラスト 蓮川愛 大洋図書シャイノベルズ 2007年5月発行

どの作品も作家買いしてそのままになっていました。上ともダブってますが、御三方ともやっぱり読ませる作家さんですね。今まで積読してたくせに何ですが、読み始めたら話の先が気になって止まりません。詳しい感想はまた改めて書けたらいいなと思います。『華の闇』は明治期の吉原遊郭モノですが、この間職場の方に借りた『輪違屋糸里』を彷彿とさせる、花魁の意地と格式をちゃんと伝える作品でした。

こんなに一気に沢山BL読んだのは初めてかもしれませんが、わりと手堅く買っていた作品なので、どれも楽しめました。『牛泥棒』で復活した木原作品も5冊くらいあるんですが、そちらはまだ手付かずです。次は『秘密』行こうかな、と思ってるところです。
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牛泥棒
2007-07-19 Thu 03:46
木原音瀬 著 イラスト 依田沙江美
蒼竜社ホリーノベルズ2007年7月発行

昨年10月の『リベット』以来、やっと木原さんの作品を読む事が出来ました。これまで読んだ木原作品とは随分と趣の違う、明治時代の主従モノです。
地方の造り酒屋の長男である佐竹亮一郎は、上京して帝国大学で植物学を修め、家業は継がずに大学で助手をしていた。東京の住まいには、女中の他に乳母の息子である徳馬を実家から連れて来ていた。亮一郎より少し年長の徳馬は、ある事情から口がきけなかったが、幼い時から亮一郎の側にいて、使用人ではあっても共に学校へも通ったのでそれなりの学問も身につけていた。自分の生活習慣や性格を理解し、大学の仕事の手伝いも出来る有能な使用人。しかし、徳馬を伴って上京した本当の理由は別にあった。亮一郎は密かに徳馬に想いを寄せおり、常に側に置いておきたかったのだ。

そんな云うにいわれぬ想いを抱きつつ東京で暮らす亮一郎に、実家の火災による家族の死という思わぬ災難が襲いかかった。そして、実家で働いていた母をこの火災で亡くした徳馬から、東京には戻れないと暇を願い出られ、亮一郎は想いを隠せなくなった。そんな折、地元の祭事に使う牛を徳馬が盗んだという疑いをかけられるのだが、それには徳馬だけが知る深い事情があった・・・。
それにしてもこのタイトル、そのものズバリである意味わかりやすいですが、何ともBLにあるまじきとも云えるタイトルですので、返ってどんなお話なんだろうと興味を引きました。そして明治モノに加えて、冒頭からいきなり異界の者が登場したりする百鬼夜行抄的な雰囲気も、これまで読んだ木原作品と全く違っていて、それがかえって個人的には色んな先入観を取払って物語りに入り込めて助かりました。木原さんの作品は、やっぱり小説として面白いです。おかげで『リベット』ショックが吹っ切れたようで、積読木原作品も順次読めそうです。

木原さんがよく作品の中に描く、相手を追い詰める様な人間のエゴイスッテクな部分。この作品では、亮一郎の我が儘な性格に多少は現されていますが、人間たちよりもアヤカシとなったものの情念として描かれている方が印象にのこるので、全体的にはわりと軽めに感じます。

ひたすら亮一郎に従っているような徳馬が、時には嫉妬心から彼を疑ってしまう事もありますが、亮一郎は徳馬を信じています。それを知って自分の猜疑心を省みる事が出来る徳馬も、基本的には真直ぐな性格です。色々災難は降りかかりますが、ハッピーエンドなお話です。

でも、亮一郎の気難しさや徳馬への執着、それに対する徳馬の自己犠牲的な献身というのは、明治モノだからこそ有り得る主従関係と妖魔の存在する世界を通して見るとすんなり受け入れられるけれど、よく考えたら結構怖いところもあるのかもしれません。
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