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純情 1
2007-02-28 Wed 17:13
富士山ひょうた 著
フロンティアワークス ダリアコミックス 2007年1月発行
「Daria」2006年4月号~12月号掲載+描下ろし

小説JUNEで挿絵を拝見してから、ちょっと気になっていた漫画家さんでした。一冊完結ということで読んでみた『1Kアパ→トの恋 』が中々良くて、要チェックの方だったんですが、そのわりには最近読んでなかったと、思わず購入した一冊です。
フリーライターの戸崎圭祐は、取材相手として現れた初恋の人倉田将成と再会した。彼とは高校1年の時クラスメイトだったが、戸崎が一方的に陸上部員として走る倉田の姿を眺めているだけの片思いで、さして親しくもならないうちに倉田が転校して、それきり会ってはいなかった。戸崎はすっかり忘れられているだろうと思ったが、倉田は覚えていた。それどころか、あの頃戸崎が自分をよく見ていた事や、その意味にも気が付いていた倉田は「抱かせてくれるなら」と、戸崎を誘ってきた。戸惑いながらも、断って逃げ出すのも悔しいと思った戸崎は、倉田に抱かれてしまう。しかも、一夜限りの事と割切ろうとする戸崎の複雑な思いをよそに、倉田の方から訪ねて来て二人の関係は続くのだが・・・。倉田の真意がわからず心乱れる戸崎と、戸崎のはっきりしない態度や元彼の存在に複雑な思いを抱き苛つく倉田。そこにまた戸崎の先輩も現れて、二人の関係の行方は・・・。
再会したその日に結ばれちゃってはいるんですけれど、それは体だけの事であって、互いに想い合っているようなのにギクシャクする二人。ありがちな話のように見えて、何か新鮮なトキメキを感じさせてくれるお話です。体だけは重ねあっているのに中々ひとつになれない心の襞を、高校時代の回想や周りの人間の同行を交えながら、時に切なく時にハラハラさせながら描いています。最終的には上手く行くんでしょうが、どういう道程をたどるのか、今から続きが楽しみな作品です。
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顔のない男
2007-02-11 Sun 13:27
剛しいら 著 北畠あけ乃 イラスト  
徳間キャラ文庫 2003年7月発行

近頃、『王の男』にハマったり(笑)、既刊9巻という長めの小説を読んだり(松岡なつき著「FLESH&BLOOD」面白いですね!)、などしているうちに、更新をサボっておりましたが、久々の小説の感想です。以前から読みたいと思いつつ、中々古書店でも出会えなかったこの作品、先月続編の『見知らぬ男』(2004年3月発行)『時のない男』(2005年9月発行)をやっと見つけたので、ゲット出来なかった『顔のない男』はネット注文で買いました。
デビューして3年、まだに大きな役を演じたことのない駆出し俳優の音彦に、若手トップ映画監督である桐生から声かかった。主役の弟である重要な役柄「玲二」を演じて欲しいという願ってもない話だったが、それには条件があった。主演俳優である飛滝と、役柄同様に兄弟として同居生活をしろと言うのだ。戸惑いながらも条件を受け入れた音彦だったが、初対面の挨拶もないままいきなり兄として現れた飛滝は、弟を必要以上に溺愛するあまり、毎夜「玲二」である音彦を抱いて寝るのだが・・・。
剛しいらさんの作品は、好きなものは何度も読み直したくなるほど気に入っているんですが、何か個人的にはハズレと思う作品もあったりと、幅が広すぎてうっかり作家買い出来ないという問題があるんですが、このシリーズはとても良かったです。もっと早く読んでおけばよかったと思いました。

自分ではない人物を演じる俳優という職業に、恐いほどの完璧主義を求める飛滝は、配役が決まったその時からその人物に成り切ろうとします。前作のストーカー役では、役に成りきるあまり相手役の女優を本気で殺しそうになるという事までありました。

弟「玲二」として愛される音彦は、しだいに役柄としての兄ではなく、飛滝本人を想うようになっていくのですが、飛滝本人の素顔が分からない事に不安を感じ、それを知りたいと切実に思うようになります。そういうのは、ごく自然な感情ですよね。役に成りきる飛滝が、撮影を終えて役柄としての兄弟という関係に終止符が打たれた瞬間、音彦を忘れ去ってしまう怖れや不安もよく分かります。

あとがきで、著者の剛しいらさんも言っておられますが、人は俳優でなくても、自分の属性である何かを演じて生きている部分がありますよね。その上、こうしてネットが生活の一部となった今では、ネット上の自分と言う少し特殊な役割を演じる場合もあります。役に成りきる事で素の自分を見失っていく飛滝と、俳優飛滝を尊敬しながらも、素の飛滝を見出そうとする音彦の話は、何処か現代人の本質に迫る問題を投げかけているように思いました。

天才子役としてデビューした飛滝は、30歳にして芸暦20年以上のキャリアを持っている実力派俳優です。母子家庭に育った彼は、子どもに完璧な演技を求める母の期待に応えるべく、役に成りきる技を身に付けてきた訳なのですが、それは殆ど多重人格といっていいほど病的な感じさえします。前作で相手役の女優を殺しそうになった彼は、しばらく俳優業を休んで、ラーメン店の経営をしていました。実はその間にさえ素の飛田(飛滝の本名)に戻る事はなく、何とラーメン店の経営者という役割を完璧に演じていたのです。

いったい何時素の飛田に戻るのか、そもそも素の飛田とはどんな人物なのか、音彦だけでなく飛滝本人にも解っていないのではないかとさえ思われます。音彦がその愛情をもって、飛滝を見守り、本当の飛田を見つけられるのか、というのがシリーズ全編を通じての課題です。『顔のない男』は序章ということで、続編も緊張感が続きます。
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