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君にもわかるISO ~許可証を下さい!5~
2006-11-29 Wed 23:44
烏城あきら 著 / イラスト 文月あつよ
二見書房シャレード文庫 2006年11月発行

続けて昔の作品を取上げたので、今回は読み終えたばかりの最新作についてです。このシリーズ、今年初めて知って何ヶ月か前に1~4を読んだのですが、みなさんお薦め下さるだけあってとっても面白いです。特に今作は、ふたりの前向きで真摯な言動と行動に、自分自身の職場でのモチベーションも上がるんじゃないかと思うくらい、ちょっと感動してしまいました。
「君にもわかるISO」シャレード2006年5・7・9月号掲載
阿久津弘が勤務する中小化学薬品製造業・喜美津化学は、得意先からの要請を受けた事もあり、ISO取得が急務となった。品証部に所属する弘は、「ISO推進委員会」の中心的メンバーとして関わることになったが、昔ながらのやり方を重視する製造部門は全く乗り気ではなく、責任者の説得に苦労していた。ちょうどその頃、製造部の組長で弘の恋人でもある前原健一郎は、通信教育のスクーリングで東京の大学に行く為、一週間現場を離れることになった。だが、前原が留守の間に不良品問題が発生し、それを具体例としてISO取得準備を少々強硬に進めようとする弘に対し、製造部長は反発を強めていた。そして東京から戻った前原も、製造部を説得するには時間が必要だと言い、ふたりの意見も真っ向から対立する。

その上、問題は仕事だけではなかった。前原が赤ん坊の頃に母と離婚していた父が、突然弘を訪ねて来て、「息子とは別れて、ただの同僚に戻って欲しい」と言いだしたのだ。再婚して生まれた娘の縁談に響くから、というのが当初の言い分だったが、東京で前原にも会ったという父の思いは、娘のことだけではなかった。仕事と恋愛、それぞれの問題に立ち向かうふたりは、どういう道を選ぶのだろうか・・・。

以上表題作のほか、前原の側から職場を描いた書下ろし「理由」を所収。
前原妹も登場します。
ビジネス書コーナーで『あなたにも解るISO』などの類似のタイトルを目にしても、絶対私は手にしないと思いますが、BLでこの本が出たおかげでISOについて少しだけ知ること出来ました。「ISO9000」の頃はよく話題になっていたように記憶していますが、製造業以外も対象になった今では「ISO9001」なんですね。品質マネジメントのPDCAサイクル「計画(プラン)し、実行(ドウ)し、検証(チェック)し、活用(アクト)する。この四段階を着実に繰り返していけること。」、何ていうのも初めて知りました。昔々の独身社会人の頃、職場でTQC(トータル・クオリティー・コントロール)活動なんてやりましたが、あれから20年(汗)、そういう考え方もここまで進化したんですね。今の職場ではISO取得なんて全く話にも出ませんが、トラブル対応については「上司への報告・迅速な解決・再発防止」のマニュアルがより細かくなりました。コンプライアンス(法令遵守)研修も今年は2回受けさせられましたし。そんな訳でちょっとお勉強にもなりました。

そして何より、ここ半年ほど職場でのモチベーション下がりまくりの私に喝を入れるような、弘と前原のやりとりが良かったです。もともと兄貴肌で、後輩はグイグイ引張って行くし、先輩方にも言うべき事はハッキリ言う前原ですが、例え恋人だろうと弘に対してもその態度は変わりません。そして一見大人しそうで天然入ってる弘も、こと仕事に関しては自分の信念を持って行動し、納得が行かなければ一歩も引かない負けず嫌いな性格です。それでいて、ふたりの仕事に対するぶつかり合いは、単なる意地の張合いだけではありません。自身の立場と役割を踏まえ、仕事の将来やそこに働く人々の事も考えた上での、それぞれの最善策の主張なのです。喧嘩ごしのようでも、見ていて気持ちいいくらいです。

現実の職場というのは、社員の思いが届かない虚しさを感じる事の方が多いかもしれないんですが、たとえフィクションであろうとも、この物語に元気をもらいました。恋人同士であると同時に同僚であり、仕事の上ではライバル意識もバリバリ持っているふたりですが、相手の仕事への情熱や理解度その成果には、敬意をもって賞賛する気持ちも持っています。自分の方が負けであれば心底悔しいけれど、それだけなく相手の仕事ぶりには素直に感動さえ覚えているんです。私はその事に感動しましたよ。まさに切磋琢磨して成長していける、とってもいい関係ですね。羨ましい限りです。

突然現れた父の「別れてくれ」へふたりの対応にも、それぞれ前向きで真剣な深い想いがあふれていて、こちらも胸をあつくさせられました。今後は仕事だけなく、互いの両親へふたりの関係をどう伝えていくのかなど、難しい問題もありそうです。このシリーズ、ふたりが精神的に大人なせいか(前原父も息子をそう評してましたが)、これまでは恋愛関係での切な度はかなり低めでした。すれ違いも仕事がらみの事がほとんどで、仕事の問題の解決がふたりの問題の解決にもつながっていたんですが、これからはどうなるんでしょうか。心配ではありますが、それはそれで楽しみでもあります。

このシリーズは、シャレード文庫から下記の4冊が出ています。
1『許可証をください!』2003年11月発行
2『慰安旅行に連れてって!』2004年6月発行
3『嵐を呼ぶ台風!?』2005年2月発行
4『ただいま定修中!』2005年12月発行
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BREATHLESS -ブレスレス-
2006-11-26 Sun 16:39
たけうちりうと 著 / イラスト ビリー高橋
講談社X文庫ホワイトハート 1995年7月発行

『INTENSITY』から1年、司くんと出会った花屋の了くんの視点で書かれた物語です。この作品も書店では見つからなくて、図書館で借りて読みました。未だに古書店でも出会っていませんので、感想を書くために今再び図書館から借出中です。
リツさん、あれから1年以上経つよ。
あなたの生命をもらって、ここに一人残された僕は・・・。
『花々』で働く了は、注文の花を届けに行った先で、勝気なカメラマンと出会う。
心の奥に癒しきれない痛みを抱えながらも、優しいまなざしをなくさない彼を見ているうち、了の心にある感情が芽生え・・・。
『INTENSITY』の司、その後の物語!
この作品を読んでいて感じたのは、このカバーの紹介文にもあるように、『INTENSITY』の続編ではなく、あくまでもその後の司の物語なんだなぁ、ということでした。

たけうちさんは、1994年7月発行の『INTENSITY』でデビューした後、WHから『風の祭』(1994年11月発行) 、『海をわたるトンボ』(1995年3月発行)を出していて、『BREATHLESS』は4冊目になります。前2冊同様、イラストはビリー高橋さんで、表紙は花に囲まれた司のアップです。ビリー高橋さんのイラストも漫画も好きなんですが、この司は、私が『INTENSITY』から受けたイメージとは違う感じがして、ちょっと馴染めませんでした。何か思ったより線が細過ぎる感じがして。
『INTENSITY』は登場人物のイラストがなかったので、私の司くん像は、優しげな風貌の中にも、もっと凛とした気の強さがあるイメージだったんです。でも『BREATHLESS』の司くんは、きっと了くんビジョンだから、どこか行暮れて頼りなそうな感じなのでしょうね。だからやっぱり『INTENSITY』の続編ではないんです。

高校を卒業して写真の専門学校で勉強している司は、『INTENSITY』にも登場したリツの友人ミノさんの紹介で、カメラマンとしてライブハウスにやってきて、そこへ花を届けに来た了と知り合いました。ふたりは友情を育むように接近していくように見えるけれど、了が司という人間にいだく興味というのは、最初からもう一歩踏み込んだもののように感じられます。読み手の私が最初から意識してしまっているからかもしれませんが、この作品はBL小説として書かれているのだなぁ、と思いました。

『INTENSITY』はそうではなくて、普通の青春小説としても読める印象があったので、その点でも、やっぱり続編ではないように感じたんです。それが良いとか悪いとかの問題ではなくて、BLとそれ以外の恋愛小説・青春小説の違いって何だろう、と考えてしまいました。

明確な答えは出ないんですが、ひとつ思ったのは、主人公の孤独をどう扱うのか、という事です。突き詰めれば孤独な存在である人間を、孤独なまま放置しないで何らかの具体的救済策を講じているのがBLのような気がします。そういう意味ではJUNEとBLも別物です。
でもやっぱり、司が誰かと共にある幸せを再び感じてくれることを願わずにはいられませんが・・・。

『BREATHLESS』は、作品中に登場するCDのタイトルです。了が世話になっている花屋のお婆さんは、時々亡くなったご亭主を偲んでサックスのCDを聴いていました。そんなお婆さんも一緒に聴けるだろうと司が買ってきたのが、サックス奏者ケリー・Gのこのタイトルのアルバムでした。恋人を亡くしている司は、夫を偲んでサックスの音色に耳を傾ける老婦人に共感するところがあったのでしょうね。

家に偶然ケリー・GのCDがあったので、今それを聴きながらこれを書いています。以前ダンナが買ってきたものなんですが、『BREATHLESS』じゃなかったのがちょっと残念です。
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INTENSITY
2006-11-19 Sun 16:44
たけうちりうと 著 / イラスト いわもと葉月
講談社X文庫ホワイトハート 1994年7月発行

第1回ホワイトハート大賞を受賞した、たけうちさんのデビュー作です。
フジミを教え下さった方に、「是非読んでみて!」と薦められたのが、この作品でした。

その当時既に発行から数年経っていたので、書店では見つけることが出来ず、地元図書館で借りて読みました。フジミや、別の方のご紹介で読んでいた『終わりのないラブソング』とも全く違う雰囲気で、新鮮な感慨を誘われる作品でした。自分でも手元に置きたい本だと思いつつ、中々古書店でも出会わなかったのですが、つい最近やっと見つけました。

表紙にイラストを使わず、サングラスをかけた男性のアップの顔写真だけという、他のホワイトハート作品とは違うインパクトのある装丁です。文中のイラストも章ごとのカットだけで、登場人物を描いた絵は一枚もありません。それだけでも普通のBL作品文庫とはだいぶ違う雰囲気ですが、背表紙はパープルです。
誰にでも“忘れられない夏”はあるという。だとしたら、僕のは十六歳のあの夏だ。まばゆい川面、潮の匂いのよせる河口。
海鳴りとさざめきの中で、カメラをかまえる彼の横顔が、いまも鮮やかに心によみがえる。ティアーズ・フォー・フィアーズのメロディとともに…。
十六歳の司は、年上のカメラマン・律と出会う。彼に魅かれていく自分を、抑えきれなくなった司は…。
カバーに書かれている、冒頭の導入部分を引用した上の紹介文も、他作品と比べると随分と詩的な感じがします。これだけで何だかドキドキして、再びページをめくってみたくなります。
でもあらすじとしては簡潔過ぎるので、物語の内容をもう少し書いてみます。
デートの下見をするという友人に付合って湘南へやって来た高校生の司は、歩き疲れて偶然入ったカフェ「イルカの昼寝」でひとりの男と出会う。リツ(律)と呼ばれるその男が無性に気になった司は、ひとりで再びその店を訪れた。
カメラマンであるリツは、河川敷で鳥の撮影をする手伝いを司に頼んできた。ゲイであるという自覚を持つ司は、リツに惹かれていく自分の気持ちが何なのかわかっていた。時に意地を張って喧嘩ごしに接してしまう事もあったが、その思いは深まっていく。
リツと接し、しだいに写真にも興味を持つ司だったが、リツが本当に撮りたいモノは海外の危険地帯にあった。内戦の続くカンボジアに行くというリツに、司は同行を願い出るのだが・・・。
結論から言うと、司にとっては辛い結末が待っています。けれど、決して暗い物語ではありません。リツさんに惹かれていく司の初々しさは、新鮮で胸の高鳴りが伝ってくるような、青春という時間の輝きを持っています。自分の撮りたいモノを追い求め、カメラマンとしての仕事を優先して、今までの恋愛も結婚も上手く行かなかったリツもまた、途上の人です。そんなふたりの結び付きが、何ともいえない優しさと潔さを感じさせてくれます。

"INTENSITY"、リツさんがパスポートに挿んで持っていた、司のポートレートの裏に書かれていた文字。強さ、厳しさ、激しさを意味するその言葉は、残された司へのリツさんからの励ましのメッセージになったのかもしれません。リツさんにとっては、心残りはあったでしょうが、それほど不幸な人生の幕引きではなかったのかもしれません。

この物語を執筆中、カンボジアで選挙監視員としてボランティアをしていた日本人青年が亡くなるという事件があり、一時執筆を中断したという出来事が、あとがきに書かれていました。それから10年以上が過ぎ、世界の情勢はまたさらに大変な事になっています。イラクでの日本人人質事件とそれに伴う自己責任報道。たぶんその後だったら、この物語が書かれる事は有り得なかったでしょう。とても素敵な作品なので、復刊されるといいのにと思いますが、それを思うと何となく難しいような気もします。

巻末に、第1回ホワイトハート大賞の選評がありましたので、この作品に関する部分を抜粋して紹介します。
秋元康さんの選評から
"ゲイ"というテーマが古いと思うし、母親が、息子がゲイであることを認めるのが嘘っぽいが、思わず「うまい」とうならせたり、泣かせたり文章の巧さと、シャープなセンスが光るので、これを大賞に推した。

内館牧子さんの選評から
ゲイの息子を持った母親が、「母さんはもう乗り越えたよ」と言うが、このセリフがよかった。・・・これは母親の人間像が描けていたから出てきたセリフにほかならない。・・・作者の年齢を考えたとき、このレベルの作品では満足できない。
選評者の顔ぶれといい、書かれている内容といい、この作品をBL小説ではなく、一般的な青春小説として評しているのがわかりますね。ちなみに、この時の最終候補作には仙道はるかさんの『ヴァルハラ』(1996年3月発行ホワイトハート)も入っていました。

息子がゲイであることを受け入れている司の母親、確かに物分かりが良過ぎるような気もしますが、嘘っぽいとは思いません。もし、自分の息子がそうであるなら、親として一番に望むのは、息子本人が自分らしく幸せに生きて行ってくれることです。その為に認められない親もいるのでしょうが、たけうちさんも親として自分はどうなのか考えた結果、この母親像が生まれたのだと思います。
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八月の略奪者(ラプトル)
2006-11-15 Wed 00:05
いつき朔夜 著 /イラスト 藤崎一也
新書館 ディアプラス文庫 2006年11月発行

いくつかの書評blogさんの感想を拝見して読んでみたのが、著者の前作『コンティニュー?』(ディアプラス文庫) でした。初めて読む作家さんだったのですが、主人公達の馴初めがBL的にはありがちだけど非現実的なものなのに、仕事についてや職場の人間達は中々リアルに描かれていて、面白く読みごたえがありました。次回作を楽しみにしていたのに、うっかりチェックもれしていて、これまた書評blogさんでこの本が発売になっているのを知りました。

雑誌に掲載された表題作の他、3年後のふたりを描いた書下ろしを所収しています。
「八月の略奪者(ラプトル) 」小説DEAR+ 2005年夏号掲載
高校3年の椋本浩紀は、校外見学で訪れた博物館で、体験学習に使ったアンモナイトの化石を割ってしまう。適当に謝って済まそうとした浩紀を、手を上げてまで本気で叱りつけたのは、おとなしそうに見えた学芸員の香月草一だった。「弁償」の代りに夏休み中ボランティアとして博物館で働く事になった浩紀は、指導者でもある草一にしだいに惹かれていく。人を愛することに臆病になっている草一に、自分の気持ちをきちんと伝えようとする浩紀だったが・・・。

「十二月の暴君(ティラン)」書下ろし
交際3年目、互いに忙しく会える時間は少ないが、ふたりの仲は上手くいっていた。今の幸せを無上のものと感じながらも、就職活動に臨む大学生の浩紀が、やがて普通に家庭を持つ生活を送れるようにと、別れを考え始める草一・・・。
博物館での仕事を通して、しだいに縮まっていくふたりの距離。そして、草一にとって初恋の相手でもあり、今は親友でもある木部の存在。社会人ボランティアとして博物館にやって来る彼と関わることによって、浩紀はいっそう草一への想いを確信していきます。それぞれに草一を思いやる木部と浩紀の接し方や考え方の違いからも、若々しく勇気をもって進む浩紀の真直ぐさが際立ってみえます。それに引きかえ、健気な雰囲気をたたえながら、中々臆病さから抜けられない草一。そういう所が、読者の私にとってはちょっとイライラもするけれど、年下攻めの浩紀くんにとっては、庇護欲をそそるというか可愛い所でもあるようです。

そして今回はまた博物館の学芸員という一般的ではない職業ですが、書下ろしでは環境問題や行政側との対立まで描いていて、実際に起こり得るような具体性がありました。恋愛シチュエーションだけから見ると、わりとありがちな気もしますが、仕事の問題とふたりの関係の変化を上手くからめていて、小説として面白く読ませてもらいました。細かく書き込まれている仕事関係のエピソードや会話も、ちゃんと生かされています。

個人的に身近に感じたのは、書下ろしの環境問題の舞台として登場する「屏風谷」という場所の存在です。旧日本軍の弾薬庫跡で戦後米軍に接収され、数年前に自治体に返還された場所という設定なのですが、同じような旧日本軍の弾薬庫跡が我が地元にもあるんです。こちらは自治体への返還など話にも出ていなくて、期間限定で地元市民に開放される場所に入るのも事前の名簿提出と写真入の身分証明書(パスポートや免許など)提示が必要です。でもその場所は、ニュータウンとして宅地開発された場所に隣接しながら、明治大正以前からの自然が残されています。この作品のなかでも語られているように、米軍に接収されていなければ戦後間もなく宅地開発さていただろうと思います。著者はもしや地元の方かしら?、などと思ってしまいましたが、福岡のご出身なんですね。日本各地にそんな場所が点在していんだなぁと、BLを読みながら米軍基地問題も考えたりしました。

ところで、『コンティニュー?』を読んだ時には見つけられなかったデビュー作品『G1トライアングル』も、書店にあったので一緒に買ってきました。競走馬の騎手と馬主が主人公のお話です。これも中々楽しみです。

「ゲイ&腐男子のBL読書ブログ」さん
「月と凌霄花」さん
へTBさせていただきました。
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BL系、今年のベスト作品は?
2006-11-10 Fri 21:37
気が付けばもう11月、今年も残り2ヶ月を切りました。来年のカレンダーや年賀状も発売になり、街を歩くと商店には早くもクリスマスの飾り付けが見かけられます。何となく1年の締め括りモードに入って来た今日この頃、「ゲイ&腐男子のBL読書ブログ」さんで、BLファンなら注目してしまう企画が紹介されていました。

腐ログ。萌えプレ」さん共同の、投票によって今年のベスト作品を選ぼうという企画です。詳しくは「ボーイズラブアワード2006」でご覧下さい! サイドメニューのトップにもリンクを貼らせていただきましたので、興味のある方は是非参加してみて下さい。

私も投票して来ましたが、とっても悩みました。ちなみに今年発売になった作品で読んだもの(読む予定の積読本数冊含む^^;)は下記の通りでした。最後に書いたのは発行月です。
しかし、新刊けっこう買ってるんですね。やっぱり本にお金をかけ過ぎかも・・・。
ちょっとだけ反省(笑)

<コミック編>
水城せとな「窮鼠はチーズの夢を見る」 小学館クリエイティブ 1月
木下けい子「キスブルー」 ミリオンコミックス 5月
山田睦月「デコトラの夜」(原作:菅野彰) ウイングスコミックス 5・6月
国枝彩香「いつか雨が降るように」 バンブーコミックス 6月
二宮悦巳「いそがないで」(原作:菅野彰 毎日晴天!シリーズ) キャラコミックス 6月
山田ユギ「夢を見るヒマもない」シャレードコミックス 8月
麻生海「なんでも屋なんでもあり」(原作:菅野彰) ウイングスコミックス 9月
今市子「B級グルメ倶楽部2」 ダリアコミックス10月

<復刻&文庫化作品>
草間さかえ「災厄のてびき」 マーブルコミック 11月
まんだ林檎「コンプレックス」朝日ソノラマコミック文庫 9月~11月
(この文庫版は買ってませんが、今年古書のコミック版で読みました)

<小説編>
榎田尤利「執事の特権」 シャイノベルズ 1月
剛しいら「パパは大変!」 プラチナ文庫 1月
月村 奎 「家賃」 ディアプラス文庫 1月発行

英田サキ「エス 裂罅」「エス 残光」 シャイノベルズ 3月・11月
剛しいら「古都の紅」「古都の紫陽花」 アイノベルズ 3月・8月
木原音瀬「箱の中」「檻の外」 ホリーノベルズ 3月・5月
藤崎都「官能小説家」 ルビー文庫 3月
吉田ナツ「恋をしてはいけない 」 ビーボーイノベルズ 3月

いつき朔夜「コンティニュー?」 ディアプラス文庫 5月
栗本薫「流星のサドル」 クリスタル文庫 5月

英田サキ「さよならを言う気はない」 シャイノベルズ 6月
榎田尤利「犬ほど素敵な商売はない」 シャイノベルズ 6月

英田サキ「バカな犬ほど可愛くて」 ガッシュ文庫 7月
秋月こお「人騒がせなロメオ」(フジミシリーズ) ルビー文庫 7月
岩本薫「YEBISUセレブリティーズ4」 ビーボーイノベルズ 7月
烏城あきら「スパイは秘書に落とされる」 キャラ文庫 7月
榎田尤利「傀儡の巫女」(眠る探偵Ⅲ) X文庫ホワイトハート 7月
柏枝真郷「友-FELLOW-」(硝子の街にて22) X文庫ホワイトハート 7月
剛しいら「欲望の狼」 プリズム文庫 7月
木原音瀬「恋について」ホリーノベルズ 7月

秋月こお「王朝綺羅星如ロマンセ」 キャラ文庫 8月
榎田尤利「ギャルソンの躾け方 」 キャラ文庫 8月
榎田尤利「ごめんなさいと言ってみろ」 ビーボーイノベルズ 8月
剛しいら「恋愛高度は急上昇」 キャラ文庫 8月
ごとうしのぶ「暁を待つまで」(タクミくんシリーズ) 角川書店 8月
秀香穂里「くるぶしに秘密の鎖」 キャラ文庫 8月

英田サキ「夜に赦される」 プラチナ文庫 9月
英田サキ「DEADLOCK」 キャラ文庫 9月
木原音瀬「リベット」ホリーノベルズ 9月

榎田尤利「普通の恋」 クリスタル文庫 10月
榎田尤利「愛なら売るほど」 ビーボーイノベルズ 10月
剛しいら「シンデレラを嗤え」 クリスタル文庫 10月
佐倉朱里「月と茉莉花 ~月に歩す~」 リンクスロマンス 10月
月村 奎 「秋霖高校第二寮 (3)」 ディアプラス文庫 10月発行

<これから購入予定の作品>
いつき朔夜「八月の略奪者(ラプトル)」 ディアプラス文庫 11月発行
烏城あきら「君にもわかるISO」(許可証シリーズ) シャレード文庫 11月発売予定
秋月こお「嵐の予感」 ルビー文庫 11月発行予定
ごとうしのぶ「薔薇の下で」 ルビー文庫 11月発行予定
木原音瀬「吸血鬼と愉快な仲間たち(仮)」ホリーノベルズ 12月発売予定
榎田尤利「きみがいなけりゃ息もできない」(復刻)ビーボーイノベルズ 11月発行予定

あらためて書出してみると、榎田さんと英田さんは多作ですね! それから私が買ってないだけで、剛しいらさんは他に何冊も出してらっしゃいます。すごいですね。
それから、上の作品のうち半分は、リンクさせていただいてる書評blogさんの感想などを読んで買ったものです。素敵な感想を書いて下さったた皆さま、ありがとうございました!
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月と茉莉花 ~月に歩す~
2006-11-09 Thu 01:17
佐倉朱里 著 / イラスト 雪舟薫
幻冬舎コミックス リンクスロマンス 2006年10月発行

書店で見かけて「中国風歴史物」な所に心惹かれたのですが、前作を全く知らない続き物だしなぁ~、と躊躇していました。でもつい先日、いつも楽しみにおじゃましている、アキミさんの「ボーイズラブを読む!」でこの本のレビューを読ませていただき、「やっぱりとっても面白そう!」と我慢できなくなって、とりあえず今書店で買えるこの3作目だけゲットしてきました。

前2作は、下記の通り随分前に発行されています。
『月と茉莉花』 (2003年6月発行)
『月と茉莉花 ~羞花閉月~』(2004年1月発行)
前作までのあらすじ(幻冬舎コミックスHPを参考にしました)
戦で敵の湘国を滅ぼした琰国の太子煬大牙は、湘国の目の見えない第一公子(月心)を捕虜にする。自分を廃嫡・幽閉までした亡国を恨むことなく運命を受け入れようとする公子に対し、大牙は特別な感情を抱きはじめる。
大牙は、愛する月心の元服を行おうとするが、突然拒まれてしまう。理由がわからず月心を責めたことから行き違いが生じてしまった2人の関係は…。
前作までの内容はレビューで読ませていただいたので、完結編となる3作目から読み始めても、概ねその展開はわかりました。そして、3作目だけでも充分面白く読めましたし、結末も「なるほど、それもアリですね」と納得できて、余韻の残る物語でした。私の中で物語は完結したんですが、やっぱりふたりの馴れ初めなども詳しく知りたいと思い、書店で見つからなかった2冊はネットで注文中です。数日のうちに入手できると思うので、楽しみにしています。

さて本題の「~月に歩す~」ですが、表題作を含めた3話所収です。
「~月に歩す~」
大牙の計らいで元服した月心は、伶人として朝廷に仕えることになった。典楽庁で他の伶人に湘の楽曲を教えることがその役目だったが、滅ぼした敵国の楽曲を教わることに不満を持つ伶人もおり、その人物から嫌がらせを受けることも度々だった。月心はそれについて何も語ることはなかったが、大牙はしだいに気落ちしていく月心の様子を憂慮していた・・・。

「~月に乗ず~」
大牙は、楽師としての仕事にも慣れてきた月心を伴って、静養のために(と称して)温泉のある離宮へ赴く。穏やかなに流れる二人のひと時。ほのぼのラブラブな番外編的短編です。

「~月に酔う~」
一国の太子である大牙にとって、避けては通れない責任問題。それは妃を迎えて継嗣をもうけること。月心を愛し生涯を共にしたいと願う大牙にとって、自分の立場を踏まえてそれを実現するには、一大決心が必要だった。妃選びをめぐって大牙が下した結論とは・・・。
中国歴史物のBLといえば、江森備さんの『私説三国志』くらいしか思いつかない上に、この作品は未読です。読んだことがあるといえば、尾鮭あさみさんの「チャイナホリックファンタジー」シリーズなんですが、これは歴史物といっても西遊記がもとになってることもあり(しかも尾鮭さんだし)、だいぶ雰囲気が違います。たぶん今回が初めて読む中国歴史物BLだと思います。

なので、読んでいてふと思い浮かんだのは、酒見賢一さんの『後宮小説』でした。これまた全く違うお話なんですが、中国風の架空の王朝が舞台というところと、妃選びの話が共通点です。中国歴史物にそんなに詳しくないので、それぞれいつ頃の時代をモデルにしているのかは解りませんが、『月と茉莉花』の方が昔のような気がしました。
歴史小説というよりファンタジーとしてではあるけれど、それだけ時代を感じさせる描写がよく出来ているのだと思います。

月心と弟子にあたる伶人たちとのやり取りや、大牙の意を受けた第二公子の行動、従者たちの様子などからも、この国の王宮の雰囲気や力関係が伝わってきます。あえて難を言わせてもらうなら、王家の家族仲が良すぎること。特に男兄弟は次代をめぐって微妙な駆け引きがあるものなので、本来あまり心を許し合っていないものじゃないでしょうか。歴史小説的には、月心の家の状況の方がありそうだと思いました。

それはさておき、生まれて初めて人の中に出て行くらしい月心を、仕事に身が入らない程心配する大牙。月心を信じてない訳じゃなくて、臣下の火烏にも言われているように、子を見守る親のような気持ちなんですね。でもその心配をよそに、真摯な態度で弟子たちに接し、悩みながらも、楽師として認められていく月心。大牙の意を受けた第二公子の気遣いなどもあったものの、月心が誠意と自分の実力で道を拓いていく様子がいいな、と思いました。ラブファンタジーだけじゃなく、自己実現ファンタジー(?)もBLでは結構大きな要素ですので、私的には。

それにしても月心、故国では酷い目にあってたらしいのに、なんて真直ぐに育ったんでしょう! 無欲で純な人です。本来なら一国の太子だったのに、大牙に対して「従」であることを心得ていて、それをごく自然に受け入れている、ものすごく謙虚で誠実な人です。この月心の健気さが、この物語のツボでした。

月心に求められたい一心で、
「・・・おれが欲しいと思うことはないのか」
と問う大牙に、
「私はあなたのものです。けれど、あなたは私一人のものにはならない・・・」
と答える月心。

どんなに想い想われていても、自分と大牙の立場の違いをよくわきまえています。
そんな月心を日陰者にはせずに共に生きて行きたいと願う大牙は、その決意を父王に表明し、月心には何も告げずに引き合わせます。月心の人柄に接し、息子の願いを聞き入れる王ですが、太子である息子に対して当然譲れない条件を出します。それは跡継ぎをもうける為に妃を迎える事でした。ちょっと物分りが良すぎるような気もするお父さんですが、王としての責務は忘れていません。

そして、その妃選びにまつわる出来事では、「事が決するまで待て」と言いながら度々使いを立て贈り物を遣す大牙の態度に、寂しさを感じる月心。それが大牙の寂しさに呼応するものと理解し、また一層深く人としての情愛の機微を知ったようでした。そして大牙から重大な申し出を受けることになります。

妃選びに苦慮していた大牙も、男勝りで気立ても良く、夫婦というより同士として共に歩めそうな、陸小扇という女性を見出していました。舞台が古の中国らしき国であるので、王族たる者は現代のように一夫一婦制ではありません。彼女もそれをよく理解しています。もちろん月心も。

現代の感覚で思うと、女性と一人の男を共有することになる月心も、実質的に第二夫人に徹することになる小扇も、かわいそうな気がします。でも、王族であり太子でもあった月心は、大牙の果たすべき責任の大きさも王族の婚姻形態も熟知していたはずで、男である自分が大牙の結婚後も傍にいられるというだけで幸せだったではないでしょうか。一方の小扇も、唯一の女性の妃としてやがては太子の母にも成る訳ですから、当時(物語内の)としては幸せな妃だったのではないかと思います。

大牙には弟が二人もいるので、妃を持たず自分の代になったら弟を太子に立てる、という手に出たらいいんじゃないの、とも思いました。でもそうしたら、自分の為に実子に位を譲れない大牙に対して、月心は一生申し訳ない気持を持つのかもしれません。それを思うと、この物語が行き着いた結末が、この設定の中では最良のハッピーエンドだったのではないでしょうか。
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ホワイトハート新刊
2006-11-05 Sun 13:32
講談社X文庫ホワイトハート今月の新刊、「硝子の街にて」シリーズを終えた柏枝真郷さんの新シリーズが出るというので、楽しみにしていました。書店に行ったら、ホワイトハートではお久しぶりの、たけうとりうとさんの作品も出ていたので、2冊買ってきました。まだ読んでいないので、ご紹介のあらすじは講談社HP掲載のものです。

『ライバルvol.1 競争と協力と』 柏枝真郷 著 / イラスト 木下けい子
同い歳のルーキーが、情報戦を繰り広げる!
常泉崇志、ナンパな性格ながら、なりたてほやほやの刑事(デカ)27歳。
八木澤克、日本文化新聞社会部の記者(ブンヤ)。唯我独尊の自信家27歳! 大学卒業後、それぞれの道を歩んでいた二人が、ばったり出会った! 刑事と記者、同じ事件をめぐるライバルか? それとも友人なのか? 東京を舞台に熱く繰り広げられる待望の新シリーズ、スタート!

『花ざかりのパライソ』 たけうちりうと 著 / イラスト 古街キッカ
この世の天使の吹き溜まり、パライソ的ゆるライフにいらっしゃいませ。
ああ、俺ってやっぱり何やってもダメ。非力で美しく、挫折しやすく困難に弱く、ときに強気でかつ素直。それがヘタレっ子、柏木文哉だ。そんな文哉が、ある日突然、ちょっと不思議なアパート、パライソ・パラダイスの管理人代理を務めることになったから、さあ大変!? 個性豊かな住人に囲まれて送る、頑張れない文哉のパライソ的ゆるライフ、あなたもぜひご一緒に!
ホワイトハートはご存知の様にBL専門レーベルではなく、それ以外の作品の方が出版点数は多いのですが、ひと目でBL系かそうでないか見分けられる様になっているんですね。私はつい最近まで知らなかった(気が付かなかった)のですが、BL系は帯がパープルなんですね。BLでないものグリンです。これは、カバーの表紙・背表紙・裏表紙に書かれている"white heart"を囲む色も同じ区分けになっているんです。書店の棚を見れば一目瞭然だったのですが、カバーの色はわりと淡い感じなので、2色ある事に全く気が付いてませんでした。BLファンにとっては密かな常識だったみたいなのに(^^;)

いきなり何でこの話なのかというと、上の作品が2冊ともグリン帯の作品だったからなんです。たけうちさんは、2004年発行『ウスカバルドの末裔』もグリンだったんですが、柏枝さんは初グリン作品です。他にも『イノセンス・ブラッド』の仙道はるかさんとか、「神話の子供たち」シリーズの榎田尤利さんとか、パープルもグリンも書いてる方いらっしゃるんですね。

皆さんのグリンな作品はまだ読んだことがないのでわかりませんが、『ライバルvol.1』は主人公が恋愛関係にはなり得ないというだけで、BLテイストな感じはあります。同じ柏枝さんの新書版シリーズ『PARTNER』(中央公論 C・NOVELS)も、相棒で友人で時にライバルかも、という二人の人間の関係性を描いていて、こちらは男女だけど恋愛とは違う信頼関係を築いていくお話です。今後はどうなるかわかりませんが、恋愛にならないとすると、男女なのにBLテイストを感じてしまいます。

パープルとグリンの違いって、男同士の恋愛があるかないか。というかやったかやらないか(今後その予定があるか)ですかね、やっぱり。私はもっぱらパープルな作品しか読んでなかったですが、グリンな作品ファンの方もこの区分はご存知なんですよね、きっと。講談社からの説明は一切無いようですが(笑)

ちなみに今月のホワイトハート、パープルは伊郷ルウさんの『淫らに堕ちる夜』(イラスト 黄河洋一郎)1冊のみです。毎月BL系は1~2冊だったんですかね。それも全然気が付いてませんでした(^^;)

ところで柏枝真郷さん、シリーズもの2作も手がけていたら、他の作品は書かれないでしょうか。まさかBL系から卒業してしまわれるのかしら・・・。「厄介な連中」の篤史もその後どうなるのか、とっても気になっているのですが・・・。何より「DESPERADO」シリーズの続きってもうないのでしょうか?(涙) 私はもう一度アンソニーに会いたいです。

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B級グルメ倶楽部
2006-11-03 Fri 16:05
今市子 著(フロンティアワークス ダリアコミックス)

『B級グルメ倶楽部』2005年11月発行
  表題作(act.1・2)の他、同人誌に描いた短編を所収

『B級グルメ倶楽部2』2006年10月発行
  2004年11月~2006年8月の間に雑誌「Daria」に掲載されたact3~7と
  描き下ろし番外編「他人の趣味」を所収

古書店で見つけた『B級グルメ倶楽部』を読んだのは今年の前半でしたが、2002年11月に雑誌掲載された表題作act1と描き下ろしact2の他は、90年代に同人誌で発表した作品でしたので、てっきり初期短編集だと思っていました。そしたら「2」が出たのでちょっとビックリでした。続きが雑誌に連載されていたんですね。ちっとも知りませんでした。
さて、act1・2のあらすじ。
新入社員の吉野は、高校時代憧れの先輩だった派遣社員の鬼塚と再会した。部活で、ゲイであることをカミングアウトして他の部員たちに引かれまくっていた吉野を、批判しながらも理解してくれていた鬼塚。格好良くて、恐くて、特定のカレーパンに強いこだわりを持つ変わり者。密かに想いながらも様々な行き違いがあり、告白することも出来ぬまま吉野は転校。職場での再会はそれ以来だった。今も変わらず特定のカレーパンにこだわる鬼塚は、吉野が好きだったクリームパンの銘柄を覚えていた・・・。
鬼塚のとっても解り難い意思表示の為にすれ違っていたが、実は高校生当時から両想いだったと知ったふたり。あらためて告白され、鬼塚と7年越しの恋を実らせた吉野だったが、相変わらず本心の伝わり難い鬼塚の行動と自分の臆病さから、誤解やすれ違いも生じて前途多難・・・。

そしてact3~
兄弟の多い実家に住んでいた鬼塚が、マンションで一人暮らしを始めた。これで吉野とのプライベートタイムも円満か、と思ったが、物事を素直に伝える事が出来ない鬼塚と何事もネガティブに考えがちな吉野は、やっぱり何だかすれ違い。それに加え、互いの家族や友人を巻き込んだ問題も起きたりと、ふたりの関係は更に前途多難・・・。
基本的にコメディータッチなので、すれ違うふたりも切ないより「仕方ない奴らだ」と笑える展開です。脇を固める登場人物たちもまた、時に主役ふたりを振り回したり、慰め勇気付けたりしながら、それぞれに我が道を行く個性派で魅力的です。ちょっと極端な喜怒哀楽の中にも、人生のシリアスな部分に触れる描写があったりします。 

ふたりの恋の行方だけでなく、様々なエピソードを通して、周りの人々も含めてのゲイとしての生き方の問題なども描き出しています。ふたりそれぞれの恋愛経験エピソードや、カミングアウトに対する考え方や回りの反応など、何だか妙にリアリティがあります。現在のふたりの行き違いにも、それなりの影響を与えてるという説得力があります。

それ以外にも、吉野にとって天敵と言える、ブラコン気味の鬼塚弟や超マイペースな兄も面白い人たちです。そしてこちらは鬼塚の天敵、吉野姉がまた中々強烈なお方で、あの気弱そうな吉野の血縁者とは思えません。つわものです(笑)

今までに読んだ今市子さんの作品の中では、一番主人公の恋愛関係に踏み込んだお話だったかもしれません。
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