スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ↑top
藤井沢商店街シリーズ(?) 
2006-07-30 Sun 23:54
『ゆっくり走ろう』イラスト やまかみ梨由
徳間書店キャラ文庫2004年8月発行
表題作(小説キャラ2003年7月増刊号掲載)の他、
書き下ろし『これは大人の恋だから』を所収。

『歯科医の憂鬱』イラスト 高久尚子
徳間書店キャラ文庫2005年8月発行
表題作(小説キャラ2005年1月増刊号掲載)の他、
書き下ろし『歯科医の秘密』『THE SPECIAL GIFT』を所収。

正式にはこんなシリーズ名は付いてないのですが、上の2作品はどちらも同じ藤井沢商店街が舞台になっています。それぞれの主人公もイラストの方も違うので、同じ商店街を舞台にした連作という方がいいのかもしれませんが、1作目の主役が2作目にちょっと出てきたり、同じ小料理屋が登場したりするので、私は勝手に「藤井沢商店街シリーズ」と呼んでいます。あらすじは下記のとおりです。
『ゆっくり走ろう』
自動車メーカーの販売計画推進室に勤める里見廣之は、営業指導のため販売店出向を命じられた。あまり仕事熱心とは言えない社員が多いその販売店で、地元商店街のアイドルと呼ばれるほど顧客に浸透するサービスをする立浪寛一は、社内でも屈指の営業成績を上げていた。
そんな実力派営業社員がいることもあり、販売店社員は本社からの営業指導に反発を感じていた。所長以下全員が里見に非協力的な態度を見せる中、当の立浪だけが里見の提案する営業改善に乗り気だった。それは立浪が、里見の自社製品に対する愛情からくる仕事熱心さに共感したからだった。仕事を通して信頼感を深めていくふたりの間に、やがて別の感情が芽生えてゆく・・・。

『これは大人の恋だから』
恋人同士になったものの、予定より早く本社に戻された里見と土日は休めない立浪は、中々ふたりの時間を持つのも難しい状況にあった。そんな時、里見は本社内での移動で、やりがいはあるがより忙しい部署に移り、ますます会う機会は減って行った。里見の能力を買ってその部署に引抜いたチーフの羽賀は、以前から立浪も知っている要注意人物だった。立浪の危惧するように、羽賀は私生活でも里見に興味を持ち近づいてくるのだが・・・。

『歯科医の憂鬱』
仕事の出来では評判の板金塗装屋2代目新城穂高は、後輩の面倒見は良いが仕事には厳しく、気性も荒くて腕っ節も強かったが、歯医者は大の苦手。そんな新城が行った歯科医院で治療にあたったのは、腕は良いが患者には厳しい歯科医の三和悠紀生だった。ところが、街で出会った三和は、マスクをした歯医者の姿しか知らない新城には本人と判らないほど、別人の様に物腰が柔らかく弱気な人物だった。そんな二面性を持つに三和に興味を持つようになった新城は、ある日偶然、旧友からの度重なる借金の申し出を断らない三和の姿を見て、苛立ちと不安を覚える・・・。

『歯科医の秘密』『THE SPECIAL GIFT』
車雑誌に記事を載せたいと、新城に強引な取材を申し込んできた東郷は、学生時代に三和が付き合っていた元恋人だった。新城と三和が親しいと知った東郷は、昔のよしみで新城への口利きをしてほしいと三和に頼み込んでくるのだが・・・。それから、誕生日プレゼントをめぐる気持ちの行き違いあったりと、恋人同士にはなったけれど、まだまだぎこちない新城と三和。様々なトラブルを経て、ふたりの距離が縮まるまでを描いています。
どちらの作品も、自分の仕事に誇りと情熱をもっている人達のお話で、恋愛話だけではなく仕事の話も面白く読ませていただきました。特に『ゆっくり走ろう』で里見が語る自社製品への思い入れと愛社精神には、思わず読んでいる自分まで胸を熱くしてしまいました。立浪が惚れ込む気持ち、よくわかります。

社会人として、それぞれの業種で優秀な人材として認められている反面、里見のように極端に方向音痴だったり、三和の様に白衣を脱ぐと感情を殺して怒れない人間になったりと、男なのに何だか庇護欲をそそる人物になっている所は、BLらしい設定です。

でも、立浪や新城が相手に惹かれていくのは、そんな部分だけではありません。仕事に対する生真面目さ、真摯に生きようとする姿勢、そいうところに共感を覚え、一緒に生きたいと思うからです。それは、かれら自身がそういう生き方をしているからでもあります。それぞれが、魅力的で気持ちの良い人物として描かれています。

榎田さんのキャラ文庫での次回作は、8月発売予定の『ギャルソンの躾け方』(イラスト 宮本佳野)ですが、「藤井沢商店街シリーズ」3作目ではなかろうかと密かに楽しみにしています。
スポンサーサイト
別窓 | 榎田尤利 | コメント(0) | トラックバック(0) | ↑top
読売新聞に「ヤオイ」と「性」に関する記事が
2006-07-26 Wed 22:00
読売新聞家庭欄(朝刊)に7月11日から21日の間に9回にわたって連載された「性の風景」。19日掲載の7回は「ヤオイ好きの女性」についてでした。ちなみに9回のサブタイトルは下記の通り。

1、脱AV「過程」楽しむ・・・男も女も”演技”から解放
2、親娘同居 彼がお泊り・・・戸惑う父イヤと言えず
3、150歳の"園内夫婦"誕生・・・新居は8畳一間、入籍はせず
4、モノ言う妻、萎縮する夫・・・セックスレス傾向3割
5、失敗恐れ30代でED・・・リストラ、負け組 ストレスに
6、「脱セックスレス」難しく・・・子どもが欲しいが埋まらぬ溝
7、男性キャラに「萌え」・・・生身のオトコは「面倒」
8、最愛の人”再愛”の時・・・夫婦関係を模索するシニア
9、「いい関係」もう一度

タイトルから内容がほぼわかる回もあると思いますが、スローセックスのすすめ、子どもの性に寛大過ぎる親の姿勢、若い世代のセックスレス、熟年夫婦の在り方、などの問題が取り上げられています。その中にあって、7回目の「ヤオイ」な話題だけちょっと浮いてる様な気もします。それしてもやっぱり、何時の間にかメジャーになってるんでしょうか、ヤオイとかBLとかって・・・。

そしてここでも、取材は池袋「乙女ロード」を訪れた20代の女性が中心でした。
「自分って、ちょっとヘンかな」と思うことがある、現実の恋愛もするが「『彼』か『ヤオイ』か、どちらを選ぶか」と言われたどうだろうと思う、「生身の男と交際するのは大変そう」と思う、などの気持ちが語られます。そこから、現実の恋愛に少し二の足を踏む女性たちの姿を導き出しているのですが・・・。

最後に、オタク現象に詳しい精神科医の斉藤環さんのコメントが添えられています。
「仮想世界のキャラクターへ萌えの感情を持ち、ある程度の性的な満足感を得始めると、現実の恋愛やセックスは消極的になる傾向がある」、「性愛に限らず、体験自体にも仮想体験だけで満足した気になる若者が、男女問わず増えている。仮想世界の『感動』や『快楽』なのに、現実以上に体験した気持ちになってはいまいか」と指摘してます。

そもそも「やおい」か「ヤオイ」かと言うと、私はひらがな派ですが、この記事はカタカナでしたので、上ではそちらを使いました。些細なことかもしれませんが、カタカナというのは、何だか他人事として切り離された様な余所余所しさを感じます。この記事自体、以前の「きょうの出来事」もそうでしたが、ファンの女性たちを何処か特別視して、現実逃避な行動として否定的に語ろうとしているように思います。

別に一般メディアに共感していただかなくても結構ですが、「乙女ロード」しか取材しないような内容で「ヤオイ」と「性」を語っても、あまり意味がないような気もします。このジャンルのファンは20代の女性ばかりではないですし、それぞれの世代にとって直視すべき現実との折合いという問題もあると思います。それは決して現実逃避と否定するだけで解決するものでもありません。それに、出版界その他だって煽ってるだろう、という経済効果的問題などもあるだろうと思います。

別窓 | JUNE・やおい・BL | コメント(2) | トラックバック(0) | ↑top
ジャンプ系やおいの「受」キャラ
2006-07-22 Sat 02:34
10年程前にTVアニメが放送されていた『るろうに剣心』、何故か今頃ゲームが発売になるようでCMが流れています。懐かしい~と思ったら、完全版コミックも発売になっているんですね。ジャンプ連載当時は私もコミック買って読んでいました。同人誌に手を出す程ではなかったんですが、『DRAGON BALL』特集目当てに読んだコミックジュニアで、たまたま載っていた佐之助×剣心のやおい漫画を見たことがありました。うーんでも、『るろ剣』キャラのやおい自体が何だかあまりピンと来なかったんです。その時、自分は『るろ剣』という作品は好きだけど、剣心や佐之助という個々のキャラにはそれ程深い思い入れが無いんだなぁ、という事に気が付きました。といいながら、剣心が「受」というのにはとても納得がいきいましたが。

剣心といえば、『テニスの王子様』の不二先輩って、普段はニコニコしてるのに試合になると鋭い目付きになるところが剣心に似てると思っていたんですが、彼も「受」キャラらしいです。この作品も、アニメは見てましたが「これって最初から同人系女性ファン(腐女子ともいう)を狙ってるよなぁ」と思いつつ、自分自身はそういう思い入れがありませんでした。でも聞けば納得です、不二先輩「受」。そういえば、アニメでは先輩陣の中で不二だけが女性の声優さんだったような気がします。ちなみに、主人公のリョウマ君も「受」かな、手塚先輩「攻」で(笑)。

自ら進んでやおい同人誌を探したのは『DRAGON BALL』だったのですが、前にも書いた様に最初に読んだのはべジータ「総受本」というものでした。王道はカカ×ベジですが、トラ×ベジという親子モノもあるんです。初めて知った時は驚きましたし、ちょっと引きました。けれど二次創作では、キャラの心情を「やおい」という形でデフォルメして表現していると思うので、トランクスの父親をどこかで憎みつつも求めてやまない気持ちにシンクロ出来れば、納得がいきます。同じことは、悟飯×悟空でも言えます。カカ×ベジ派かベジ×カカ派かも、ベジータがどの様にカカロット(悟空)を追い求めていると感じるのか、によって微妙に違って来るのだと思います。ちなみに私は、カカ×ベジ派です。ベジータの実力を認めながらも、飄々としてより強い自分を追及する悟空に対し、そんな態度に苛立ちながらも、自身を確認する為にどうしても悟空を必要とするベジータの執拗なまでの思いに肩入れしてしまうから、悟空に求められるベジータを見たいのだと思います。

それでは悟空は「攻」キャラだと思っているのかといえば、それはベジータ限定で、ベジータ以外のキャラに対しては「受」だと思っています。悟空は自分から誰かを必要とするキャラではなくて、他者に対してあまり執着がないからなんです。だからベジ×カカというのもありだとは思うんですが、ベジータの屈折した思いを本人以上に悟空が理解していそうで、それが微妙なところなんです。

そしてもうひとつ同人誌を探したのが『ヒカルの碁』。私はアキラくんが好きですが、ベジータと同じで主人公をライバルとして求めているのに、「受」なのはヒカルの方だと感じます。ヒカ×アキもありだけど、どちらかというとアキ×ヒカ派です。この違いは何なのでしょう。アキラが、屈折してるベジータと違って真直ぐだからなのかもしれません。それにヒカルも、アキラにライバルとして認められることを切に願っています。知らずに佐為こみのヒカルを求めているアキラに対し、ヒカルだけを見つけてやってよ、という思いがあるからかもしれません。

このカップリング絶対ダメ、というのはありませんが、それぞれのファンが「受」「攻」に拘る気持ちはよくわかります。

『るろうに剣心』和月伸宏 著
(集英社ジャンプコミック1994年9月第1巻発行、99年11月発行28巻にて完結)

『テニスの王子様』許斐剛 著
(ジャンプコミック2000年1月第1巻発行、WJ連載中)

『ヒカルの碁』ほったゆみ 原作 小畑健 作画
(ジャンプコミック1999年5月第1巻発行、2003年9月発行23巻にて完結)

『DRAGON BALL』鳥山明 著
(ジャンプコミック1985年9月第1巻発行、95年8月発行42巻にて完結)
別窓 | JUNE・やおい・BL | コメント(0) | トラックバック(0) | ↑top
これがワタシたちの小説ベストセレクション70
2006-07-13 Thu 01:16
(株)マックガーデン  2006年7月14日発行

二宮悦巳さんの表紙イラストが目に留まって、思わず手にしたのがこの
「これがワタシたちの小説ベストセレクション70」です。発売は6月30日だったようです。

小説を読むとき、その何に心惹かれるのかと言えば、ストーリーや登場人物の個性もさることながら、その中で語られる人間関係の在り方というのが、大きなウエートを占めていると思います。この本では特に、オトコたちが活躍する作品に焦点をあて、時にはライバルという形で、または主従という形で、あるいは何者にもかえがたい友情という形で、その熱い関係性を描いた小説を紹介しています。

本好きの編集者とライター(全て女性)がセレクトした選りすぐりの70タイトルに、それぞれ描き下ろしイラストコメントも付いた、眺めても楽しめる1冊です。イラストは、表紙同様、BL小説でもお馴染みの豪華メンバーが揃っています。しかし、紹介されている作品は全て、BLレーベル以外から出版されている一般小説です。

ちなみに、70タイトルの中で私も読んだことがある作品は、

学生時代に読んだのは、映画を観ての、つかこうへい『蒲田行進曲』と宮本輝『泥の河』。教科書にも載っていたのが夏目漱石『こころ』、中島敦『山月記』、太宰治『走れメロス』。あとは森鴎外の『舞姫』でした。

BL小説を知った後では、最初に読んだのが、かつてJUNE読者のバイブル的作品といわれた、森茉莉『恋人たちの森』でした。森茉莉は森鴎外の娘ですが、70タイトル中親子で登場はこのお二人だけでしょう。それから映画にもなった江國香織の『きらきらひかる』。比留間久夫『YES・YES・YES』、三島由紀夫『仮面の告白』。

そして一番最近読んだのがアニー・プルーの『ブロークバック・マウンテン』で、映画を観た帰りに書店で文庫本を購入しました。イニスが亡きジャックの実家を訪れる場面は同じなのに、同じ台詞を言われいるのに、映画と違ってジャックの両親(特に母)に拒絶されいるのが辛かったです。

未読の作品で読んでみたいモノも幾つかありました。BLレーベルの中に読みたい本が見つからない時、ちょっと違う視点の作品を読んでみたいと思った時、はたまた、BLと一般小説の違いって何だろう? と考えた時などに、この本を参考にしてみるのもいいのかなぁ、と思いました。

表紙に惹かれて手にしたといえば、よしながふみさんがイラストを描いていた、この本の前シリーズ『これがワタシたちのDVDベストセレクション70』もそうだったのですが、こちらは見ただけで未購入、読んでいません。そのかわり(?)買ってしまったのが、同じくよしながさんの表紙だった、夏目房之介さんの「マンガは今どうなっておるのか?」でした。どちらの本も、題名より著者より、まず絵に反応して手にとってました。

そういえば、夏目房之介さんは最近「よしながさんと対談!」されたようです。それを読むのも楽しみです。
別窓 | BL関連本の話題 | コメント(0) | トラックバック(1) | ↑top
箱の中・檻の外
2006-07-11 Tue 20:02
木原音瀬 著  イラスト 草間さかえ
蒼竜社 HOLLY NOVELS
『箱の中』2006年3月25日発行( オークラ出版「小説アイス」2004年1月号初出 )
『檻の外』2006年5月25日発行( オークラ出版「小説アイス」2004年5月号初出 )
初出誌は著者オフィシャルサイトで確認しました。

『箱の中』が発売になった時、書店平積みのBLノベルズの中で、草間さんの絵によるこの作品の表紙だけが、何か朴訥とした異質な雰囲気を醸し出していて、妙に心惹かれました。
うーん、でも、刑務所モノというのが引っかかって、手には取ってみたものの購入には至りませんでした。その後続編が出て、「二人とも無事刑期を終えたんだ、よかったね」という所まではチェックしていたんですが、気に掛かりつつ読まないリストに入れていました。

ところが続編が出たあたりから、複数の書評サイトさんで絶賛されいるのを目にするようになりました。2006年折返し地点の現段階で、今年のベスト5上位に入る事必至という方、充実した読後感を味わえた方が多くいらしたようです。特に、いつもお伺いしてる「ゲイ&腐男子のBL読書ブログ」さんの感想を読んで、是非この作品を読んでみたいと思いました。という事で、人様の感想に押されて、これはやっぱり読んでみたいと、2冊まとめて買ってきました。
『箱の中』・・・ 市役所に勤務していた堂野祟文は、痴漢と間違われて逮捕され、冤罪を訴え最高裁まで争ったため、実刑判決を受けてしまう。服役中、雑居房での受刑者たちとの生活に馴染めずにいる中、「自分も冤罪だ」と言って近づいて来た同室者に心を許すが、騙されて疑心暗鬼に陥ってしまう。そんな堂野に近づいて来たのは、無口で孤立している様に見えた殺人犯の喜多川圭だった。見返りを求めず無言で傷ついた自分を慰めてくれた喜多川に、堂野はその孤独を理解し寄り添いたいという思いを抱くようになる。喜多川はそんな堂野にべったりと懐くようになるが、それは友情を超えた執着となっていった。堂野はその想いを受止め切れぬまま、連絡先も告げずに出所した。時は流れ喜多川も出所する日がやって来たが、社会復帰して結婚し、やがて父親になる事になっていた堂野には、友情以上の気持ちを持つであろう彼を迎えに行く勇気がなかった。
『檻の外』・・・ 別れから6年経ったある日、堂野は、自宅近くの公園で喜多川と再会した。「やっと、やっと見つけた」「話したいことが沢山あるんだ」と言い募る喜多川に、既に妻子持ちとなっていた堂野は、躊躇しつつも住所を告げる。程なく近所に移り住んできた喜多川を、堂野は友人としてして家に招き入れるようになるが、思わぬ悲劇が堂野の娘に襲いかかり、家庭は崩壊していく・・・。
良かったです。BL業界、こういう作品、作家さんが出て来るって事は、まだまだ捨てたもんじゃありません。有り得ないかもしれないけれど、人が文学の中に追い求める純愛のカタチ、それを地道な生活の中に描き、30年近い時の流れの経て、二人が添い遂げた生き様を肯定している物語です。色々と辛い出来事も起こりますが、最終的に二人は幸せだったと思える、心温まる読後感を得られる作品でした。

『箱の中』は表題作の他、出所後に生活の全てを賭けて堂野を探す喜多川を探偵の目から描いた『脆弱な詐欺師』『それから、のちの・・・』が、『檻の外』には、二人暮らしを描いた『雨の日』『なつやすみ』が所収されています。特に物語の締めくくりとなる『なつやすみ』は泣けました。BL的シーンは全部『雨の日』に任せて、最後は二人の穏やかで揺るぎない愛のカタチを物語っていました。

人の孤独が何処から来るのか、それを埋めるために何を求めるのか。恐れとプライドから孤立する痛々しいさと、他者を受け入れていく勇気と思いやり。BL作品でも重要な要素となるテーマですが、この作品ではそういう思いが、せつなくヒシヒシと伝わって来ました。小説として読ませる作品です。
別窓 | 木原音瀬 | コメント(2) | トラックバック(1) | ↑top
ホワイトハート発売日
2006-07-03 Mon 23:16
今日は講談社X文庫ホワイトハート新刊の発売日でした。
その中に、ずっと新刊本を待ちわびていた柏枝真郷さんの「硝子の街にて」シリーズの22巻もありました。タイトルは『友-FELLOW-』、シリーズ完結編です。文庫書下ろしで10年続いたお話で、私が読み始めたのはまだ5巻か6巻の頃だったと思います。その時に既刊分を一気に読んで、その後はいつも新刊待ちでした。

人気シリーズなので、職場近くの書店ではすぐ売切れてしまいます。発売日、会社帰りに寄ったら既にアウトだった事があるので、今日はお昼休みに書店に行きました。同じくホワイトハート新刊、榎田尤利さんの『傀儡の巫女』(眠る探偵Ⅲ)と一緒に買って来ましたが、2冊とも帰りだったら危なかったかしれません。近頃何となくBL系文庫の棚が縮小ぎみな感のあるその書店、そもそも入荷冊数が少ないのかもしれない、と少しばかり憂えています。

売切れが心配で新刊本2冊も買ってしまいましたが、我家にはまだ読んでない本もたくさんあります・・・。BL系では、『エス』シリーズや『夜が蘇る』が中々心に迫った英田サキさんの『さよならを言う気はない』(大洋図書セイノベルズ)と、ルビーじゃない一般の角川文庫から出てる『キャバレー』の続編であるという栗本薫さんの『流星サドル』(成美堂出版クリスタル文庫)。

そして、よそ様のBL書評を拝見して是非読んでみたいと思い、2冊まとめて買ってしまったのが、木原音瀬さんの『箱の中』と『檻の外』(蒼竜社ホリーノベルズ)。今まで知らなかった作家さんなんですが、お薦め本として紹介してる方が多いので、楽しみにしています。ついでに木原さんのデビュー作も入っている『セカンド・セレナーデ』(ビブロス)も買ってしまいました。初めて読む作家さんって、デビュー作がとっても気になるんです、特にBL系は。

他にも一般書が何冊かあるので、しばらく新しい本は買わないで楽しめそうです。

別窓 | 書店徘徊・BL全般 | コメント(0) | トラックバック(0) | ↑top
人騒がせなロメオ( 富士見二丁目交響楽団シリーズ )
2006-07-02 Sun 02:43
秋月こお 著  イラスト 後藤星
角川書店ルビー文庫 2006年7月1日発行

フジミシリーズ第6部の新刊です。発行日は7月1日になってますが、6月29日には書店に出ておりましたので、早速購入して読ませていただたきました。JUNE休刊以来書き下ろしになっているので、これまでは1冊で1話のお話だったのですが、今回は表題作の前に「ポルタメント序曲」が所収されていて、1話の長さがJUNE掲載当時に近いものになっています。

「ポルタメント序曲」では、いよいよフジミの専用練習場建設に向けて実行委員会を立ち上げようという話になっています。そんな折、コンテストに優勝してガラコンサートをやるソラ君の演奏を聴くために、悠季と圭はニューヨークに行くことになります。
そして「人騒がせなロメオ」は、音大で講師を務める悠季と、可愛い生徒(?)由之小路君や杏奈ちゃんとの、気苦労が絶えなそうなお話です。

フジミ新刊、楽しく読ませていただきました。しかし、私をBLに導いたと言っても過言ではないこのシーリーズですが、何というか、もはやBLでなくてもいいんじゃないかと思えてきました。何故かというと、悠季と圭の関係が安定しているので、あまりその部分に心惹かれなくなったからです。ふたりが愛しあっていて、お互いを気遣ったり、音楽性を認め合いそこに惹かれ、っていう関係は素敵だと思うんです。でも、前作でも思ったんですが、今回の2作でも、ふたりのベッドシーンが何か取って付けたようで、無くてもいいんじゃかとさえ感じてしまいました。

「ポルタメント序曲」には、互いの理解を深め合うためにと計画されている、悠季とM響の飯田さとのセッションの話も出てきます。メンバーを募集してカルテットで行こうという話になり、「人騒がせなロメオ」では由之小路君もからんで来ます。圭との関係より、悠季が彼らとの関係をどう発展させて行くのが気がかりだし、面白いんです。杏奈ちゃんをどう育てられるのか?とか。

今回久々に登場の遠藤君も、かつて音楽教師時代の悠季を手こずらせた生徒でしたが、あいかわらず大迷惑をかけつつも自分の道を見つけつつあるようです。マミーとまで呼ばれて世話していたソラ君だって立派に音楽家として独り立ちしようとしているし、出来過ぎた話ではあるけれど、そういう周りの人たちとの関わりがとっても良く描かれていて面白いです。私にとっては、悠季と圭の恋愛問題というより、ふたりが周りの人々とどのように関わって成長して行くのかに、興味を持つ物語になって来ました。

それから。ずっと以前の圭と生島さんの番外編で、圭がやがて音楽家として活躍し、短くも華々しく世界的に注目されることになる、というような締めくくりの作品があったと記憶しています。そういう気になる終わり方は反則ですよ~、秋月せんせい~、と思ってたんですが、やっとその結末が見えかかって来たような気もするのが「ポルタメント序曲」でした。「短くも・・・」と言われたら、考えられる結末は2つくらいですよね。そしてその一つは悲しすぎる結末です。でも幸いな事に、そっちではない結末に向かって行きそうな事が具体化して来たようで、安心して先を楽しみに出来そうです。
別窓 | 秋月こお | コメント(0) | トラックバック(0) | ↑top
| グラス・エイジ |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。