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そして春風にささやいて(タクミくんシリーズ)
2006-02-25 Sat 02:00
ごとう しのぶ 著  イラスト おおや和美
角川スニーカー文庫 1992年4月発行

1992年12月の角川ルビー文庫創刊により、増刷分と継続中のシリーズはそちらから刊行中。小説JUNE10号(1984年12月)に「季節はずれのカイダン」(ルビー文庫「FAREWELL」(1993年)に改訂版所収)が掲載されてから20年以上続いているシリーズの文庫版第1巻。表題作の他「若きギイくんへの悩み」(小説JUNE24号1987年4月号掲載)、「June Pride」(小説JUNE25号1987年6月号掲載)、「それらすべて愛しき日々」(小説JUNE31号1988年6月号掲載)、「BROWN」を所収。

秋月こおさんの「富士見二丁目交響楽団シリーズ 」も長い事続いていると思いますが、「タクミくんシリーズ」の小説JUNE初掲載はそれより更に8年も前で、フジミほどコンスタントに続編が発表されてはいませんが、おそらくこのジャンルでの最長寿シリーズだろうと思います。しかも「そして春風にささやいて」で高校2年生だったタクミくん達は、未だに高校生です。

物語の舞台は、人里離れた奥地にある私立祠堂学院という全寮制男子高校です。主人公の葉山託生は、訳あって実家から離れ、名門良家の子弟も学ぶこの学校に在学していました。2年に進級し新たに寮で同室になったのは、学校中の人気者で財閥の御曹司でもある有名人、ギイこと崎義一でした。亡くなった兄から性的虐待を受け、それが原因で両親との仲も上手く行っていなかった託生は、自己防衛のために“人間接触嫌悪症”になっていました。そんな彼が、ギイに愛されることによって愛することも知り、しだいに周囲にも心を開いて、トラウマとなっていた過去の呪縛からも解放され、家族との関係も取り戻して行きます。

何しろ愛し合ってる二人は寮で同室ですから、もちろんそいうシーンもあります。でもこのシリーズはわりとソフトです。そして、最初の方こそ託生くんのけっこう重い過去の問題などJUNEっぽい要素もありますが、二人の仲が上手く行って安定してくると、明るいボーイズラブという雰囲気が強くなって行きます。

角川ルビー文庫創刊当時、タクミくんシリーズ以外でスニーカー文庫から移行した作品には、

栗本薫さんの「終わりのないラブソング」
原田千尋さんの「いつもキラキラしていた…」「北点抄」
三田菱子さんの「鼓ヶ淵」「Mこの世で一番最後の夜」
野村史子さんの「レザナンス・コネクション」「テイク・ラブ」

などがありました。どの作品もJUNEの懐かしい名作です。そして明るく癒し系の学園物であるタクミくんシリーズとは、随分と傾向の違う作品でもあると思います。

いま思うと、タクミくんシリーズは、当時としては異色の作品だったような気がします。少なくとも耽美小説という名は相応しくないです。まだボーイズラブという呼称が無かった時代に、その原点のひとつになった様な作品だったと思います。
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ボーイズラブ小説の書き方
2006-02-20 Mon 13:43
花丸編集部・編 2004/8/25 発行 白泉社

表題通りの内容です。プロのボーイズラブ小説書きを目指す人、特にその足掛かりとして小説花丸へ投稿する人に向けたハウツー本です。編集者として、多くの読者に受け入れられる作品を書くためのノウハウや投稿への心構えなどが書かれています。

しかしながら、
本書に書いてあることにすべて従うことはありません。
本書に書いてあるのは、あくまでも最大公約数だからです。
ハウツーのすべてに添っていれば、必ずおもしろくなるというわけではい、
逆にハウツーに反しても、おもしろいものはおもしろい・・・。
名作というのは、しばしば掟破りで登場するものなのです。
という当然といえば至極当然のことが、前書きに書かれています。では「すべてに従うことはありません」というノウハウを、誰に向かって書いているのでしょうか。奇しくも本書発行の2004年、このジャンルの先達といっていい「小説JUNE」が実質休刊となりました。そこに、ボーイズラブの裾野の広がりと、このジャンルの時代の変遷を感じました。
そもそもボーイズラブ小説とは何なのか、というところで、「やおい」「JUNE」と「ボーイズラブ」を同じものと言っていいのか、違うのならそれはどういうところなのか、というのは難しい問題であるとしています。そこで本書では独自に、次の3点をボーイズラブ小説と定義しています。
1. ボーイズラブ小説とは、男性同士の恋愛小説である。
2. 書き手も読み手のほとんど女性という点で、ゲイノベルとは一線を画す。
3. 形式としては少女小説、精神としては少女マンガの流れを汲んでいる。
ただし、これを統一的な定義として広めるつもりもないとも書いています。これはあくまで本書、つまりは「小説花丸」編集部での基準なのです。

次にいよいよボーイズラブ小説を書く為のノウハウが語られるのかと思うと、初級編は基本的な小説の書き方です。小説以前に文章の書き方や構成、原稿の書き方など、ボーイズラブ小説に限らない、一般的に参考になる基本も多く書かれています。実に本書の3分の1以上、半分に近いページ数がこの初級編に費やされています。つまり編集部が投稿者に最も訴えたい事はこれなんですね。こういう事まで説明しなくてはならない若い世代の人や、あまり文章を書き込んでいない人が、いきなり投稿してみようと思うほど、ボーイズラブ小説を書く事への敷居が低くなったという事でもあるのでしょうね。

そして本書が言う「ボーイズラブ小説で最も大切なこと」は
書き手であるあなたの萌えを、読み手へきちんと伝えること
なのだそうです。「萌え」とは具体的に何なのかが、また難しいような気もします。その対象へのトキメキとか熱き想いでしょうか。確かに作者の想いが伝わらない様な作品では面白くありません。それを伝える為の具体的ノウハウが上級編という感じになります。

前書きで最初に「ボーイズラブ」と「JUNE」は同じではない、と宣言されています。ですから比べても意味がないのでしょうが、中島梓さんの「小説道場」に色々と考えさせられた私にとっては、同じジャンルの流れを汲む作品(と私は思っていた)について書きながら、その対極にあるような内容に思えました。私が思うJUNE小説とボーイズラブ小説はやっぱり別物なんだなぁ、と認識させられる本でした。

商業出版である以上、売れる事は重要な要素ではあります。でも、このジャンルの小説に求められるのはそれだけなのだろうか。単に「萌」だけを上手に伝えられれは良いのだろうか。「小説JUNE」が休刊してしまった今、胸の内を揺さぶられるような作品にはもう出会えなくなるかも、と少し寂しくなりました。

ただ、本書の中で言われている様に、今の時代「恋愛至上主義というのはボーイズラブだからこそ説得力をもつ」というのは、このジャンルがここまで広がった大きな理由のひとつだと、私も思います。世の中全体がもっとシンプルだった時代ならともかく、混沌とした現代に真正面から男女間の恋愛至上主義をやっても嘘臭くなる。かつては少女マンガが担ったそのラブファンタジーを今ボーイズラブ引継いでいる、というもの頷けます。

そして、あとがきにまた「本書に書いてあることにすべて従うことはありません」ということが念押しの様に書かれています。
ここに書かれていることに反しているけれど、それを超えるほどの限りない魅力と萌えに溢れている・・・・
編集部が求めているのは、むしろそうした作品なのです。
それが編集者の本当の本音なのでしょう。さらに、投稿するからには直木賞を取るくらいの気概を持って欲しいとも書いています。私もそういう新人作家が出てきたら嬉しいです。でも「萌」だけは直木賞は無理の様な気がします(笑)

アキミさんの「ボーイズラブを読む!」へTBさせていただきます。
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ANIMAL X
2006-02-17 Fri 22:09
杉本亜未 著  
徳間書店キャラコミックス(2004年8月最終巻発売)

『ANIMAL X 荒神の一族』全4巻
『ANIMAL X 大地の掟』 全2巻
『ANIMAL X 原始再来』 全10巻

角川書店『ASUKAミステリーDX』で1991年に連載が始まり、その後、2004年6月号まで徳間書店『Chara』にて連載。

近未来、人間と恐竜の特性を持った少数民族「血族」と、彼らを研究することで人間に益をもたらそうする組織との対立を、渦中に生きる二人の青年を通して描くSF仕立ての物語です。主人公鮎川祐司は、医大を卒業した後、製薬会社に就職し研究員となります。気が弱くて、同じ研究員で婚約者でもある杏子からも、「しっかりしてよ!」と言われ続け、男らしくないと自己嫌悪を感じながらも、平凡な生活を送っていました。そんなある日、寮の自室に押し入って来た少年に拉致され、彼の故郷に連れて行かれてしまいます。彼、浅羽湊は「血族」でした。女の生まれ難い種族である彼らは、一夫一婦の結婚形態を持たず、生殖可能な男たちは自分たちの子を産んでくれる「雌」を複数で共有して子孫を残して来たのです。そして湊は、祐司をその「雌」だというのです。

祐司は研究員として働く中で、新薬服用という臨床実験のバイトをしていました。危険のない薬だと思っていたそれは、彼の体に人間と血族両方の子を受胎可能な女性の機能を作り出していたのです。27年間男として生きてきた祐司は、子どもを産む女として「血族」の村へ連れて来られ、その後人間の男に強姦されて人間の子を、そして自ら望んで湊の子を生むことになります。

男である自分と、女であり母である自分の狭間で生きざるを得なくなった祐司。「血族」としての誇りを誰より強く持ちながら、敵である人間の祐司を愛し、一族の伝統には無い一夫一婦の暮らしを望む湊。そして、人間と血族の対立の中で、愛児を拉致されるという事件に遭遇したふたりは、娘を探すために組織に近づき、人間と血族の抗争に巻き込まれて行きます。

ボーイズラブ系の作品ですが、漫画というかたちでジェンダー(社会・文化的性別)や個の尊厳の問題を取上げ、人種差別や民族闘争にも言及する社会派系の作品でもあります。キャラコミックスの中でも異彩を放つ作品です。

杉本亜未さんの『枯野行』が、JUNE53号(1990年7月号)にお絵描き教室投稿作品として掲載されていたそうですが、一緒に掲載されていたのが『ニューヨーク・ニューヨーク』の羅川真里茂さんの『TALKING』です。おふたりがJUNEお絵描き教室同期生とは知りませんでした。

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「ぱふ」のBL特集
2006-02-15 Wed 23:28
先月発売された雑草社発行のまんが情報誌「ぱふ」2月号では、「乙女が萌える ボーイズ・ラブ2005」という特集が組まれていました。地元市立図書館で見つけて借りたのですが、バックナンバーを見てみたら「ぱふ」ってここ数年毎年2月号にボーイズ・ラブ特集を組んでいたんですね。今時の少女漫画はあまり読んでいないので、「ぱふ」にも注目した事がなくて、ちっとも知りませんでした。

それで今年の2月号ですが、その特集の中に結構長いこだか和麻さんへのインタビューが載っていました。私は小説の挿絵は拝見した事があっても漫画作品は読んだ事がないのですが、「KIZUNA」「腐った教師の方程式」などを描かれた方です。1989年に週刊少年チャンピオンでデビューされたそうですが、その当時アニパロのやおいは知っていても、オリジナルのJUNE系漫画の存在を知らなかったのだそうです。少年誌でデビューされ、プロになってからBL漫画に転向されたという、珍しい経歴をお持ちな訳です。

でも、少年誌に描いている時、酔った勢いの担当編集者にその作品を「ホモくせー」と評された事があるそうです。ご自分ではそんなつもりは全くなかったので、「何言ってるんだろうこの人」と思ったそうですが、自覚はなくてもBLを描く素養を潜在的にお持ちだったのですね。その後BL漫画の人気作家になられる訳ですが、こだか和麻さんがこのジャンルで描き始めた90年代の初め頃というのは、この系統の雑誌が次々に創刊されて、小説でも大手出版社がヤング向け文庫からBL専門のレーベルを独立させていった時期でした。ボーイズラブという名称が生れたのもその頃で、まさに黎明期から隆盛期を支えたベテラン作家さんのおひとりです。

商業誌は同人誌とは違うので、好きなものを好きなように描くのではなく、読者が何を求めているのかを常に念頭に置きつつ、その中から自分の描きたい物を探し出していくのだと、こだかさんは言っています。読者あってこそ世に出て行くのが商業出版の作品だという事なのでしょう。隆盛期を過ぎ次のステップに進みつつあるジャンルであるだけに、今後それを商業作品として手掛けていく作家さん達の厳しさも垣間見えるインタビューでした。

海外の"YAOI"事情にも触れられていて、こだかさんの作品をはじめ日本の作品が多く翻訳出版されているそうです。世界各国にもBL的なものを必要とする女性が多くいるんですね。海外ファンの反応をもっと知りたいところです。
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男性によるBL関連サイト
2006-02-11 Sat 11:57
男性ファンによるBL系のサイトの紹介です。
このジャンル、男性には嫌悪されているんだろうなぁ、と思っていましたので、サイトを開くほどの男性ファンもいらしたのが何だか嬉しいです。

「仇花の記憶」
やおい論的サイトにも紹介している、やおい歴20年近い方のサイトです。

「男が作る『やおい』のページ」
「やおい界の男女同権」を目指す男性やおらーのサイトです。

「一日一やおい」
ヘテロ男性による「やおい」本感想ブログです。

「ゲイ&腐男子のBL読書ブログ」
「BLを嫌う男子の話」「BLとゲイコミの話」などの記事も興味深いです。

その他、BLな話題に好意的にふれている方のサイトです。

「酒井徹の今週の裏主張」
右翼の論客鈴木邦男さんのサイト内にあります。 
発言NO. 66. 67.に「ボーイズラブ漫画が好き!」という主張あり。

「e-G Library」
小説JUNE誌掲載作品もあるゲイ小説家・藤嶋貴樹さんのサイト。
小説JUNE掲載作品も読むことが出来ます。

「やおい幻論」書評
松岡正剛さんの「千夜千冊」に書かれた「やおいを支持する」という書評。
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寒冷前線コンダクター ( 富士見二丁目交響楽団シリーズ )
2006-02-10 Fri 23:54
秋月こお 著  イラスト 西炯子
角川書店ルビー文庫 1994年4月発行

表題作でもある第1話「寒冷前線コンダクター」が小説JUNE57号(1992年10月号)に掲載されてから続く人気シリーズの第1巻。表題作の他、「D線上のアリア」( 小説JUNE60号1993年4月号 掲載 )を所収。著者の秋月さんは、中島梓の小説道場出身で1989年小説JUNE12月号でデビュー。通称フジミと呼ばれるこのシーリーズの他にも、数多くのBL系作品を発表している実力派人気作家です。フジミシリーズは、小説JUNEが休刊状態になってからも、ルビー文庫やハードカバー本書下ろしで物語は続行中です。(イラストは後藤星さんに代わっています)

実は、パソ通でお知り合いになった秋月さんファンの方にこのシリーズを紹介されたのが、BL系作品にハマるきっかけでした。二次創作の「やおい」は知っていても、オリジナルのBL系作品は全く知らなかった私が興味を持ったのは、女性作家が女性読者に向けて書くベッドシーンでした。男性作家が書いた官能小説を少し読んだことがありましたが、描かれている女性が何とも男性に都合がよい良い女で、「こんな女いねぇよ」と納得いかない思いをしました。それがずっと引っ掛かっていたので、女性が女性のためにかく官能シーンってどんなものかと思ったのです。

そんな邪な理由で手に取った本書、ベッドシーンは普通の官能小説以上にあり得ないものでしたが、不愉快なものではありませんでした。逆に男性が読んだら「こんな男いねぇよ」と納得いかない事でしょうが、そこらあたりのセクシャルファンタジーに対する男女の感じ方の違いが、BL作品を必要とする女性読者を増やすのでしょう。そして私もそのひとりになった訳です。

さて物語は、主人公守村悠季がコンサートマスターを務める富士見交響楽団(フジミ)に、芸大出で留学帰りという桐ノ院圭が指揮者としてやって来くる所から始まります。私立の音大は出たけれど、臨時採用の音楽教師になるより道がなかった自分に比べ、年下(半年ですが)なのに才能も自信も人望もある圭に、嫉妬と羨望の入り混じった苛立ちを感じます。しだいに圭に対する反感を強めるとともに、演奏者としても楽団員としても自信を喪失していく悠季は、自分が楽団を辞める事を考えるようになります。そこに至るまでの出来事や心理描写がとてもリアルに描かれていて、どんどん悠季に感情移入して行きました。

そして終に煮詰まった悠季が楽団を辞める事を圭に告げた時、悠季に恋する余り思い詰めていた圭は、強姦という暴挙にでてしまいます。そんな事、実際はシリアスな展開な筈なのに、急転直下何だかコミカルとさえ云える展開になって行き、圭が案外子どもっぽくて可愛い奴なんだと、悠季も、そして読者も気が付きます。圭の気持ちは受入れられないけれど、結局彼の行為は許して、共にフジミを盛り上げて行こうという結論に達し、楽団の運営と絡めながら圭と悠季の恋愛模様が描かれていく事になります。

「寒冷前線コンダクター」のラストで、悠季はフジミ団員である意中の女性川島さんに告白して、きっぱりと振られてしまいます。その上、実は圭に好意を寄せて断られていた川島さんは、圭の悠季に対する気持ちを知っていて、逆にそっちを応援されてしまいます。川島さんが圭を好きだった事は悠季も知っていて、あえて振られる為に告白した様なのもだったのですが、踏ん切りが着いた様な悠季より、川島さんの方が辛かったかもしませんね。でもこの先、川島さんは悠季と圭の良き理解者のひとりとなります。川島奈津子さん、格好良い女性です。

「D線上のアリア」は、新入団員の大学生八坂に悠季がひどりセクハラを受ける話です。演奏もイマイチなのにあまり練習熱心でない八坂に、親切にも個人レッスンをしてやる悠季ですが、何を勘違いしたのか八坂に恩を仇で返すような仕打ちをされてしまいます。思わず圭に助けを求めてしまう悠季ですが、圭は物凄い勢いで八坂に報復に行きます。

悠季は、圭とそいう関係を持ってしまった為に、男性からも性的対象として見られるようになったのか、とにかく災難な事でしたが、その後を全く描かれない八坂も、あれからどうしたんだろと気になる所です。

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BL書評系ファンサイト
2006-02-05 Sun 17:40
ブログを中心とした書評系サイトの紹介です。
たくさんある書評系ファンサイトの極一部ですが、楽しく読ませていだたいてます。

「現代日本BL文学入門」
 「JUNE」創刊当時の読者さんが20年近いブランク経てBLデビューしたブログ。

「三十路のBL読書日記」
 ボーイズラブ小説&コミック、その他の辛口読書日記のブログ。

「ボーイズラブを読む!」
 ボーイズラブ書評ブログ、ボーイズラブについての解説もあります。

「桃の楽園」
 お気に入りのBL本の感想ブログ。

「としょかんでBL」
 図書館で借りたBL本のレビューブログ。

「BL×B.L.」
 BL本の感想、メモを扱っているブログをBlogPeopleを使ってリンクつなごうというものです。


ブログ以外ではこんなサイトもありました。

「快楽読書倶楽部」「JUNE発掘隊」
 一般的にはBLの範疇には入らないような作品も紹介されています。

「まこりんのわがままなご意見」さんの「少女漫画の館」
 BL系を含む漫画・小説書評の他、やおい語りもされています。

「Slash Without Tears」
 対訳による「アメリカ版やおい小説紹介ページ」。
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やおい幻論
2006-02-05 Sun 12:36
榊原史保美 著  夏目書房 1998年6月 初版

榊原さんは、1982年に小説JUNE創刊号掲載『蛍ケ池』でデビューした小説家。当時は姿保美を名乗っていました。84年小説JUNE7号から連載した『龍神沼綺譚』は初期の代表作で、JUNE史にも残る名作のひとつです。しかしその後、男性同性愛をモチーフとした作品を書き続けながらも、JUNEや他の「やおい」系レーベルからは距離を置いて作品を発表するようになりました。95年からペンネームも榊原史保美に改名しています。

「山なし・落ちなし・意味なし」が語源だという「やおい」という呼び名は、70年代終りに同人誌の中で使われ始めたようですが、しだいに商業誌も含めてこのジャンル全てに対する呼称となって行きました。やがてその人気に乗じて大手出版社も含め多くの専門のレーベルが生れました。そんなブームの中で、「やおい」という蔑称に甘んじ、このジャンルの小説への意味の検証もないまま、ブームに流されるように作品を生み出す編集者や作家、それを受ける入れる読者たちに対し、異議申し立てという問題提起をしているのがこの「やおい幻論」です。 

そしてまた、蔑称に値する現象であるという事で、闇雲に「やおい」的嗜好を批判する人々に対しても、「やおい」的嗜好に向かうにはそれなりの理由があり、「おかしなモノ」として切り捨てるだけでは何も解決しないというような反論をしています。榊原さんが、大変慎重に言葉を選びならがら書いている緊張感が伝わって来るのですが、「蜜の厨房」さんの「正しいボーイズラブ講座特別番外編」でも紹介されてる「やおい論争」なるものを経ているのが、その原因かもしれません。

それなりの理由として、榊原さんはトランスセクシャルを挙げていますが、これが全ての作家や読者にあてはまる訳ではないと思います。私自身も全く別の理由から「やおい」的嗜好の作品に惹かれましたし、こればかりは個々に千差万別の理由がある事柄だろうと思います。そのあたりはちょっと強引な結論付けだと感じますが、全体としては真摯に誠実に問題に向き合った「やおい論」として一読の価値があるものだと思います。

<参考サイト紹介>

松岡正剛さんの書評サイト「千夜千冊」「やおい幻論」
「快楽読書倶楽部」というサイト内で紹介されている「私的榊原姿保美作品目録」
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「硝子の街にて」シリーズ
2006-02-02 Thu 02:15
柏枝真郷 著 / イラスト 茶屋町勝呂
講談社X文庫ホワイトハート にて刊行中

1996年の『窓-WINDOW-』(硝子の街にて1)から続く文庫書き下ろしのシリーズ。
ニューヨークを舞台に、アメリカ国籍の日本人青年広瀬伸行と幼馴染のシドニーの恋愛模様を軸にしながら、毎回彼らが遭遇する事件とそれをめぐる人間模様を描くミステリー仕立ての物語です。

アメリカ駐在の日本人商社マン夫婦の家庭に生まれた伸行は、幼少期をアメリカで過ごしました。その時の隣人がシドニーの一家であり、共に一人っ子だったふたりは兄弟の様に仲の良い幼馴染でした。しかし、両親の離婚により伸行は母の実家である東京に戻ることになり、二人は別れ別れに。その後文通を続けるだけだった二人が再会したのは、成人するまで日米二重国籍だった伸行が日本国籍を捨てアメリカ人としてニューヨークへ戻って来た時でした。

ゲイであるシドニーは証券会社に勤める恋人のロッドと暮らしていましたが、伸行の出現は二人の間柄に波紋を広げます。何故なら、伸行はシドニーにとって今も忘れがたく思う初恋の相手であり、ロッドもそれに気付いてしまったからです。気付かないのは、シドニーがゲイであると知っても、幼馴染の親友とばかり思い込んでいる伸行だけでした。そんな微妙な三角関係がしばらく続いた後、紆余曲折を経て、何とか恋人同士になって行くシドニーと伸行・・・。というのが「硝子の街にて18」までの物語の大筋です。

元々ゲイではない伸行への遠慮もあって、こと愛情表現に関しては不器用なシドニー。シドニーを大切な人とは思いながら、彼の恋心に気付かない、恋愛に関してはちょっと鈍感なところがある伸行。ふたりの着かず離れずの微妙な関係が、幼い日の微笑ましい思い出と重なって、甘く切なく純な恋物語を織り成していきます。

そして現代のニューヨークを舞台にしたこの物語は、避けては通れない「その時」を迎えます。それを書いたのが、次のシリーズ19以降の3巻です。

『風-BLOW-』(硝子の街にて19)
サブタイトル:9.11その朝(2005/3/5 発行)

『悼-SORROW-』(硝子の街にて20)
サブタイトル:9.11その夜(2005/8/5 発行)

『暁-SUNGLOW-』(硝子の街にて21)
サブタイトル:9.11その後(2006/1/5 発行)

2001年9月11日その朝。ニューヨーク市警察の刑事であるシドニーと、日本の旅行会社の現地事務所に勤める伸行、そして友人で消防士のスティーブ。この街に暮らす人々にも、この街を訪れている人々にも、いつもと同じ朝が訪れた2001年9月11日。街が本格的に動き出そうとしている午前9時前に、それは突然襲ってきたました。アメリカ同時多発テロ。忙しく喧騒に満ちながらも平穏な日常が、悪夢の戦場と化した、9.11その朝。その瞬間から、伸行が、シドニーが、スティーブが、それぞれの職務を、どんな思いで、どのように遂行して行ったのか。ニュース映像だけでは知り得ない当事者たちの姿を、小説というかたちで描き出しています。

消防士のスティーブが、救命救急士たちと救助した怪我人を搬送した病院で見た、たくさんのDOA(Dead on Arrival=到着時死亡)タグ・・・。殺人事件としてカウントされはしないが、これは明らかに殺人だと思うシドニー。宿泊先に戻らない日本人観光客の安否確認に奔走する伸行。思わぬところで得られた一般市民の協力と機転と勇気がお互いを救う事につながったり、混乱に乗じて悪事を働く不埒者が出没したり。そういう部分を書くには、資料収集や取材が大変だったのではないかと思われました。

フィクションであるこのシリーズの中で「あの日」を描く事の是非を思い、シリーズを「あの日」以前で終わらせる事も考えたという著者の柏枝さん。ボーイズラブという枠に関係なく、迷いを振り払って、真正面から「9.11」を書かれた作家としての覚悟に、敬意を表したい思いで一杯です。

そして、10年に渡って書き続けられたこのシリーズも、次の「22」にて完結するそうです。どういう結末が描かれるのか楽しみな反面、もうあのふたりの物語は読めないのか、という寂しさも大きいです。

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