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源平紅雪綺譚
2009-04-02 Thu 22:24
大竹直子 著 小池書院 2007年11月発行

1996年10月発行「花洛夢がたり 源平紅雪綺譚」(角川あすかコミックDX)所収の「青蓮華」「源平紅雪綺譚」「遮那王宵月夜」と、その後発表された「紅顔受難」「北京的孌童」の2作品を収録しています。全作初出は角川ミステリー増刊歴史ロマンDXで、前3作品は1994年、後2作品は2001年の掲載でした。

大竹さんの作品、ここでは感想を書いてませんが、足利義満と鬼夜叉(後の世阿弥)や牛若丸と弁慶のお話などを収録した「秘すれば花」(小池書院 2008年11月発行)を昨年読んで、その絵の美しさと歴史上の人物を扱う面白さに強く惹かれました。ということで、珍しく下に表紙の画像を紹介しています。

どちらの本にも、日本の歴史にはよく登場する稚児の話が出てきますが、BL的な要素は「秘すれば花」の方が濃かったように思います。牛若丸の話「乱刃」では、何と弁慶が受けです! 日本史上に衆道系の逸話は色々あるでしょうが、稚児が攻めって無いでしょうね、その意外性も面白かったです。足利義満と世阿弥の関係は有名で、杉本苑子さんも「華の碑文」という作品に書いています。この「華の碑文」、以前神保町の書泉ブックマートで、BLコーナーに平積みされいるのを見つけて読みました…。

さて「源平紅雪綺譚」の方ですが、本のタイトルにこれを冠している通り、「北京的・・」以外は源平時代のお話です。表題作は、熊谷次郎直実と平敦盛の話に、義経と敦盛の関わりを絡めたお話で、美少年に心乱される男の話ではありますが、それ以上の場面はありません。そのかわりコミカルな要素の作品「紅顔受難」では、直実に討たれる直前にヤラれちゃった敦盛が、それを恨んで化けて出ています。とても可愛らしい幽霊です。

ちなみに「源平紅雪綺譚」で脇役として登場する弁慶は、「乱刃」の現代的にカッコいい弁慶と違って、顔の真ん中に十字傷のあるイカツイ顔の人物となっております。大竹さん好みの弁慶は、こちらの弁慶らしいですが…。

「遮那王宵月夜」は遮那王こと牛若丸が、源氏の血を引く自分の出生を知って、平家を倒すために鞍馬山を出るまでのお話です。遮那王は鞍馬で稚児修行をしていた時の義経の名前ですが、男女未分化な稚児という立場から男になって行くお話でもあります。遊女を誘い込む堕落した僧と、その僧の慰み者にもなりかねない我が身の上や、敵将である平清盛の妾となった母常盤への思い、遮那王を救った鞍馬の女天狗との関わりなど、男女それぞれの闘い方が描かれています。

そして作品中もっとBL的要素を含んでいるのは、仁和寺の稚児であった平経正(清盛の甥で敦盛の兄)と、その師である法親王から賜った琵琶青山にまつわる物語「青蓮華」。この作品は、古典平家物語にある「経正の都落の事」と、それに続く「青山の沙汰の事」を元にした、切なく美しい物語です。稚児時代の師との関係に悩みながらも、都を去って戦いに赴くにあたり、名器青山を賜った恩と師への想いを胸に、仁和寺に別れを告げに行く経正の姿を描いています。

古典平家にも、「(法親王が)仁和寺の御室の御所へ参らせた給ひたりしを、この経正最愛の童形たるによって、(青山を)下し賜はられたりけるとかや。」とあります。また、経正が青山を返しに行った仁和寺を去る場面で、巻いて持っていた赤旗(平家の旗)をさっと掲げると、そこここに控えていた兵たちが集まり、経正に付き従って都落ちして行く様子を、古典は鮮やかに描いているのですが、「青蓮華」は最後の頁でそれを叙情的に描いています。

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大竹さんの他の作品といえば、「しのぶれど」(小池書院)が、つい先日書店に並んだばかりですね。こちらは戦前の陸軍士官学校が舞台になっている様です。軍服の青年将校というのも、捨て難い魅力があると思います。

※「北京的孌童」ですが、「孌」が環境依存文字なので読めない場合もあると思われますが、「戀」の下の「心」が「女」になっている字です。音読みではレンと読むらしく、女という意味だそうですが、レンドウ?なのでしょうか…。
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