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東景白波夜話―暁闇に咲う
2009-03-15 Sun 11:45
(とうけいしらなみやわ―ぎょうあんにわらう)
鳩かなこ 著  イラスト 今市子
講談社X文庫ホワイトハート 2009年3月発売

「帝都万華鏡」シリーズに続き、著者の大正ロマンな新シリーズが始まりました。
愛人の子として生まれた与一郎は、実母の死後父の本宅に引き取られ、その父にも死に別れたてからは、正妻である継母により蔵に幽閉されて育った。体が弱り寝たきりの生活を送る彼を連れ出したのは、狐の面を着けた同世代の少年だった。

少年は帝都で掏摸(スリ)を束ねる親分の手下、藤吉。歩くことも満足にできなかった与一郎は、親分の家で藤吉に介抱されて回復し、やがて親分の養子となった。与一郎と藤吉は、友情を超えた想いで惹かれあっていたが、スリ家業の束ねとなる家の者として、袂を別つことになっていく…。
今回も、今市子さんのイラストが作品の時代背景にぴったりな雰囲気を出していて素敵です。タイトルの「白波」は、歌舞伎の「白波五人男」にもあるように、盗人の事です。スリですからね。その語源は、三国志時代の中国で、黄巾賊の残党が白波谷という所に籠って掠奪をした、という事によるそうです。ついこの間三国志関連の本で知りました。「咲う」は「わらう」って読むんですね、読めませんでした。掏摸も…。

鳩さんの作品は、「帝都万華鏡」もそうでしたが、情景描写に引込まれます。そこには、江戸情緒を残した帝都東京の、大正ロマンの世界が広がってます。前シリーズには主人公の実家として吉原遊郭が出てきましたが、今回は湯島の陰間茶屋が登場します。こちらは親分が自分の女にやらせている店なので、主人公ふたりにとっても関わりの深い所。そこで働いていたおりん(美少女に見えるがもちろん少年)は、与一郎に懐いていて行動を共にします。

主人公は、スリという犯罪者の集団に所属しているのですが、この生業を続けるために、警察に情報提供をしたり、顧問弁護士を雇っていたりと、それは結構大がかりな組織です。そこに、彼らとの癒着を断ち切って組織解体を目指す警察官が現れ、与一郎と藤吉の関係も影を落とす事になっていきます。藤吉を立てようとする与一郎と、与一郎を手放したくないばかりに追詰めていく藤吉。互いの想いがすれ違って行く切なさ、藤吉の執着はちょっとJUNE的です。

親分の養子となった与一郎は、藤吉には及ばないもののスリの技術も身につけ、一方で16歳から京都の三高に通っていました。随分と弱った状態で藤吉に助けられたて、回復した後どういう心境でどんな訓練を経てスリ技術を習得したのか、また誰の教育で現京大の前進である三高に入学するほどの学力を身に着けたのか。そのあたりの経緯をもう少し詳しく描いてくれたら、もっともっとこの二人の関係に感情移入出来たかな、と思ったりもします。

スリ集団の内側から語られる物語なので、犯罪者である彼らについ肩入れしてしまうのですが、この二人が幸せに生きていける道は、夜なのか暁なのか…。「帝都万華鏡」ほどスパッとハマれなかったんですが、それだけに今後の展開に期待、と楽しみにしています。

いや~、久しぶりの小説感想でしたが、近頃ぼちぼちBL小説も読んでます。一穂ミチさんの「オールトの雲」もなかなか良かったです。あと、剛しいらさん「命いただきます!」、杉原理生さん「シンプル・ライン」読みかけです。
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