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「私説三国志 天の華・地の風」 書誌情報など
2009-04-15 Wed 01:03
先日「レッドクリフII」を観てきました。なかなか見応えがあって、面白かったです。
「Ⅰ」では戦闘シーンでちょっと睡魔に襲われましたが、今回は眠くなる間もない展開でした。孔明さんと周瑜との関係は、最後まで「三国志演義」とも、もちろん「私説三国志」とも違っていましたが、この映画単独で見たら、多くの犠牲の果てに辿り着いた、きれいな終わり方で良かったのかもしれません…。

「II」の公開直前に、登録してる復刊ドットコムから「私説三国志」ご紹介メールが来ました。「I」公開の時は、BL系本の復刊リクエストしてなかったからか、こんなに三国志で盛り上がると予想されなかったからか、お知らせありませんでした。でも映画観てすっかり三国志マイブームなったおかげで、全巻買ってしまいましたけれど。

そんな訳で、最近三国志マイブーム仲間になられた方の参考までに、改めて書誌情報など書き出してみました。

「私説三国志 天の華・地の風」完全版
江森備 著 ブッキング発行 全10巻(旧版 光風社出版 全9巻)

1巻 2007年7月発行(旧版1986年12月初版)
  第一話「わが天空の龍は淵にひそみて」(小説JUNE1985年6・8月初出)
    赤壁の戦いに向け周瑜との駆け引きから、呉よりの脱出まで。
  第二話「沫雪は千重に降り敷け」(小説JUNE1985年10・12月初出)
    赤壁の戦いから、周瑜の死まで。

2巻 2007年7月発行(旧版1987年1月初版)
  第三話「上邪 我れ君と相知り」(小説JUNE1986年4月~10月初出)
    呉との対立から、蜀へ向かうまで。

3巻 2007年9月発行(旧版1990年12月初版)
  第四話「彼の蒼なるものの名は(一)」(小説JUNE1989年6月~90年2月初出)
    関羽が荊州で窮地に陥るまでと、魏延との関わりなど孔明の回想。

4巻 2007年12月発行(旧版1990年12月初版)
  第四話「彼の蒼なるものの名は(二)」(小説JUNE1990年4月~6月初出)
    関羽敗走から劉備の死までと、孔明の回想。

5巻 2007年12月発行(旧版1993年6月初版)
  第五話「明き星天狼を見よ」(小説JUNE1992年4月~93年1月初出)
    南蛮夷との攻防。

6巻 2008年1月発行(旧版1998年5月初版)
  第六話「ゆけ黄金の翼(一)」(旧版初出)
    北伐。出師から馬謖の事まで。

7巻 2008年2月発行(旧版1998年7月初版)
  第六話「ゆけ黄金の翼(二)」(旧版初出)
    第二次北伐に向け、反対勢力との対立など。

8巻 2008年3月発行(旧版1998年9月初版)
  第六話「ゆけ黄金の翼(三)」(旧版初出)
    北伐の最中、劉禅周辺からの疑念、司馬仲達の動向など。

9巻 2008年4月発行(旧版1998年11月初版)
  第六話「ゆけ黄金の翼(四)」(旧版初出)
    後継者とすべき姜維の思惑、そして最後の北伐へ。

10巻 2008年4月発行(旧版1998年11月初版9巻)
  第六話「ゆけ黄金の翼(五)」(旧版9巻初出)
    五丈原へ…。
  外伝「死者たちの昏き迷宮」
    (角川書店1995年6月発行「妖花―ルビーアンソロジー」所収)
    あの世での孔明弾劾裁判? の話。
  外伝「桃始笑」(マガジン・マガジン1995年11月発行「JUNE全集10巻」所収)
    三顧の礼直後の劉備との話。

以上、すごく簡単に内容も紹介してみました。
三国志全体の流れは、白井恵理子さんの「超ウルトラダイジェスト版『三国志』あらすじ」など参考にいかがでしょうか。本当に超簡潔ですが、結局そういうことよね、と納得です。

白井さんの「劉備くん」といえば、孔明さんの呉の兄上が、弟にコンプレックス持っていてすぐにイジイジするキャラとして登場するんですが、「レッドクリフ」では存在さえ匂わせる事もなく、全く登場しませんでした。無視された兄上は地中深く穴を掘って埋まっていることでしょう(笑) 

「演義」では長身で不美人な上に発明好きの変わった女性ということになってる孔明の奥様も、映画には出てきませんでしたね。「二喬」と言われた美人姉妹だったのに、小喬のお姉さんの大喬も出てきません。孔明夫人も大喬も「劉備くん」には出てくるのに…。

そん訳で色々と「演義」とは違っている所も多かった「レッドクリフ」ですが、上手にエピソードを拾っている所もありました。「苦肉の計」とか実際には行われないんだけど、それがこの映画での周瑜さんの株を上げてました。

逆に映画オリジナルなエピソードでは、兵法といえば孫子なのは解りますが、「風林火山」の話は日本人が見たらまず甲斐の武田軍団思い浮かべちゃうのが、ちょっとなぁと思いました。三国志の方が本家本元の中国な上に、武田信玄より千年以上も古いんですけどね…。

それにしても、周瑜の孔明への感情というのは、「レッドクリフ」みたいな爽やかなものではなくて、「演義」のような狭量とも違って、 「私説三国志」にあるような情愛と嫉妬と憎悪とに満ちた複雑なものである方が、グッときますね。
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「私説三国志 天の華・地の風」完全版 10巻!
2008-12-19 Fri 22:53
江森備 著
ブッキング 2008年4月発行

第6話「ゆけ 金色の翼」(5)
  1998年11月光風社出版発行「私説三国志 天の華・地の風 9巻」初出
外伝「死者たちの昏き迷宮」
  1995年6月角川書店発行「妖花」(ルビー・アンソロジーⅠ) 初出
外伝「桃始笑」
  1986年3月新書館発行「小説道場Ⅰ」初出
  1995年11月マガジン・マガジン発行「JUNE全集 第10巻」所収
 
遅々として読み進めない「私説三国志」ですが、ようやく3巻目も終盤にさしかかりました。読み始めると凄く面白くて引き込まれるのですが、人物名が難しい上に似たような名前が多いのと、馴染みのない地名が把握出来ないのとで、私には速読不可です。じっくり読まないと解らなくなる…。でも、結末は解っているのに、先が気になる…。

という訳で、次の4巻でとうとう劉備玄徳さまがお亡くなりになるんだと思ったら、我慢できずにそこだけ読んじゃいました。ビックリです。そんな展開なの! 玄徳さまへの思い(想い)だけは別格だと思ってたのに…。孔明さん、あなたというお方は、三国志演義とはすっかり別人ですね。もちろん吉川英治版三国志とも…。でも好きですよ。

そんな孔明さんが、三顧の礼を受けて玄徳さまのもとへ来た時はどうだったのかが気になって、10巻にある外伝「桃始笑」を読みました。1巻の「わが天空の龍は淵にひそみて」より前に書かれていて、1984年JUNE7月号の小説道場で江森さんが初登場した時の作品です。権力者の寵童だった子どもの頃の忌まわしい過去、具体的にではないにせよ、最初から玄徳さまには知られちゃってたんですね。それを知った上で自分を軍師として受け入れた玄徳を敬い、固い絆を結んだと思っていたのに、時の流れは人を変える、残酷なものです。

それでも、三国志演義にあるように玄徳さまに後事を託された孔明さんは、わが生涯の主と決めていた人との別れを悼むのでした。その後彼には、さらなる過酷な戦いの日々と、五丈原への道が待っている訳です。10巻を手に取ったついでに、どうせわかってる最後だからと、結末を読んでしまったんですが・・・。

これ、衝撃でした。江森さん、そう来ましたか! 三国志演義のエピソードを上手く取り入れて、物語内での世間への公式発表は演義を大きく離れることなく、全く別の驚くべき結末を描いています。秋風の五丈原、孔明さんそんな事になっちゃうんだ…。

一方、周瑜とは別に孔明さんと深い関わりを持つことになった魏延。吉川三国志では最後まで孔明に反逆を懸念され全く信用されてなかったのですが、同じ最期を迎えながら、こちらではとっても株を上げてます。

まさに江森さんの「私説」三国志です。こちらで演義と同じ終焉を迎えていたとしたら、孔明さんはとても悲しいだけの報われぬ思いだけが残る人でした。でも江森さんは彼に、自業自得を突き付けながらも、魂の救いを与えたのだと思いました。生涯逃れられなかった悲惨な過去より更に以前の、生まれたての子どもに戻っていくような、胎内回帰のような・・・。 
だから孔明さん、最後は幸せだったんだと思いますよ、あれでも。

孔明と周瑜の関係について

>この二人の間には、「レッドクリフ」にあるような、
>無言で琴を奏でながら惹かれあい理解を深める、
>という関係になり得る情は生まれません。

と前に書きましたが、「私説三国志」の孔明と周瑜の間にある情は、惹かれあい理解するなどという、生易しいものではありません。何というか、怨讐ともいうべき情愛です。孔明さんは最後までこの想いに囚われていました。魏延との間にあったのは、秘密の共有や打算から始まりながら、依存に近い関係かもしれません。

三国志演義に描かれる完全無欠の天才軍師諸葛孔明を、その公の姿を維持する反面、弱き心に流される自分との葛藤を抱え、同時に冷徹な非情さを持つ人物として描いています。一般に語られる孔明像とはかなり違う印象に驚きますが、私は、「私説三国志」で初めて孔明さんに心を動かされました。

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「私説三国志 天の華・地の風」 完全版
2008-11-19 Wed 00:27
江森備 著
ブッキング発行 全10巻(2007年7月 ~ 2008年4月)

初出は、小説JUNE13号(1985年6月)~ 59号(1993年2月号)。光風社出版より1986年12月~1993年6月に計5巻が発行された後、98年5月に同社より5巻までが再発行され、引続き98年11月の9巻までが発行されて完結しました。

長らく絶版状態でしたが、昨年めでたく復刊ドットコムにて、旧版に加筆訂正をした完全版として復活しました。小林智美さんの挿絵とカバー装画がないのは残念ですが、このまま幻の名作となってしまうのかと思っっていたので、嬉しかったです。

と言いながら、前々から読んでみたいとは思っていたものの、復刊してすぐには手が出せずにいたんですが、この度映画「レッドクリフ」をきっかけに読み始めました。

三国志は若い頃(20年位前)に吉川英治版を読んでいたので、何の予習もせずに映画を観に行ってしまったんですが、ダメでした。すっかり物語も登場人物も忘却の彼方…。孔明くらい(あと劉備・孫権・曹操とか)は覚えてましたが、そもそも周瑜を忘れていたので、話になりません。これはちょっと復習しなくちゃな、と思った時読みたくなったのは、吉川版ではなくて、この「私説三国志」でした。

映画はそのタイトル通り、三国志の中でも有名な赤壁の戦いを描いています。
後漢末期、斜陽の漢王家を手中の駒として、大義名分と圧倒的な兵力を擁し、対立する劉備に迫る曹操。窮地に陥った劉備軍の軍師孔明は、こちらも三国の対立関係にある孫権軍と、同盟を組んで曹操を迎え撃とうと考え、孫権側の提督である周瑜に接触する。同盟と開戦に向けて、孫権の同意を得ることはできるのか…。

という出だしで、クライマックスの赤壁の戦いはパートⅡで描かれることになってます。
周瑜さん、孔明さんが主役ですので、二人が互いの人格と能力を認め、信頼と友情を抱きつつ戦いに臨む、という方向に行きそうです。惹かれあっていく二人の間を流れるものに触れ、これは吉川版より江森版を読んでみたい、と思ったのでした。

「私説三国志」は、丁度「レッドクリフ」と同じ赤壁前夜から物語が始まります。まだ1巻ですので先は長いですが、歴史小説としても読み応えがあって面白いです。そして何より、周瑜に体は許しても、決して屈することなく冷静な孔明が、これからどう行動していくのか楽しみです。何となく私の中では掴みどころがない感じだった孔明像が、新たなものに変わりそうです。

その体を自由にしながら、少しも自身に靡かぬ孔明に、一層の苛立ちと執着を示す周瑜。対して、主君劉備玄徳への忠誠と深い思い(想いなのか?)を胸に、いかなる事があろうと揺るがぬ切れ者の軍師といして振舞う孔明。この孔明の姿勢に、何かゾクゾクとさせられるものあります。この二人の間には、「レッドクリフ」にあるような、無言で琴を奏でながら惹かれあい理解を深める、という関係になり得る情は生まれません。映画のこの場面は好きでしたが、江森さんの描く二人にもひきつけられます。

1巻所収は、小説JUNE1985年6月・8月号に掲載された江森さんのJUNEデビュー作「わが天空の龍は淵にひそみて」と、85年10月・12月号掲載の「沫雪は千重に降り敷け」です。

さて、「私説三国志」を読みだしたら、懐かしくなりまして、またぞろ超暇人な作業を始めました。JUNE「小説道場」投稿作品リストです。まだ第20回までですが、後もボチボチ書き出して行く予定です。
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