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ソルフェージュ
2006-03-06 Mon 11:33
よしながふみ 著
芳文社 花音コミックス 1998/3/15 発行 
雑誌「花音」1996年6・12月号、1997年2・8・12月号 掲載
(白泉社コミック文庫版 2004年11月発行版)

よしながさんは、1994年「花音」10月号掲載『月とサンダル』でデビュー。一般的な代表作は、2001年10月フジTVの月9ドラマの原作にもなった『西洋骨董洋菓子店』でしょうか。昨年は、男女逆転パラレル江戸時代が舞台の『大奥』(メロディ連載)単行本1巻が発売され結構話題になりました。少女漫画、BL漫画ともに、心にしみる作品を描く方です。

「ソルフェージュ」とは、読譜や聴音などを中心とした音楽家の基礎教育の事だそうですが、この作品を読んで初めて知りました。そういえば、クラッシックものである富士見シリーズにも『フジミ・ソルフェージュ』(角川ルビー文庫)というのがありましたね。

やる気のない小学校教師久我山は、教師としての自覚はあまりないものの、合唱部の指導には力を入れていて、毎年コンクールで優秀な成績を収めていました。そんな久我山を頼って、音楽高校を目指す合唱部OB田中吾妻が、ソルフェージュを受けに来ます。「先生に合唱を教わっていた時が一番楽しかった」から声楽をやりたい、という田中にほだされて、自費で知人の声楽家にレッスンまで受けさせる久我山。やがて、母親の入院で進学を諦めようとする田中を、自宅で面倒見ることになります。ふたりの間に流れる思いは、師弟愛のなのか、恋愛なのか・・・。

レッスンをサボった事を心配して田中を訪ねた久我山は、いきなり抱きつかれた驚きで、彼を突き放してしまいます。ゲイである久我山にとって、教え子の中学生ではあっても、自分よりガタイの良い田中のそういう行為は、動揺に値するものでした。でもそれが、母の病気や生活への不安で、誰かに頼りたい気持ちからだったと知り、今度は自分から優しく抱きしめてやります。

母の入院中同居する事になって、デカイ図体で甘えてくる田中に辟易としながらも、久我山の中にもある情愛が生れて来ます。それが影響してか、彼のゲイライフは中々上手く行きません。そんな久我山の苛立ちも知らず、彼を頼りに慕ってくる田中。ふたりは終に子弟の関係を越えてしまうのですが、ラブラブの恋人同士になる訳ではありません。

このふたりの間にあるのは、親子関係の情愛に似たものがあり、特に田中にとっては必要なものだったのでしょう。それだけに、いずれは卒業して行かなくてならないものでした。ソルフェージュは、大人になって行くための基礎教育だったのでしょうか。恋愛関係が親子関係の再構築というのは、BLではよくあるテーマのような気がしますが、それをユーモアを交えなたら情感豊かに描いています。とってもハートウォーミングな作品です。
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