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フェイク
2007-05-10 Thu 23:41
剛しいら 著 イラスト かんべあきら
海王社ガッシュ文庫 2007年5月発行
元俳優で大手映画会社社長の高島信敬は、隣国の若手人気俳優を起用して大作映画を製作するにあたり、俳優を日本に招いての様々なプロモーションを企画していた。ところが、来日寸前になってその人気俳優が行方不明になってしまった。マネージャーが当人を探し出すまで偽者を仕立てることになり、以前この俳優のソックリさんとしてTV番組に出たことがある駆け出し俳優の須栗陽平にその依頼をすることになった。

俳優の仕事はほとんどなく、アルバイトで食い繋ぐしかない陽平だったが、ギャラは高くてもこの代役がまともな仕事でないことはよく解っていた。けれど、俳優時代の信敬に憧れを抱いていた陽平は、彼を助ける為に精一杯隣国の人気俳優に成り切ろうと努力した。そんな陽平の様子に好意をもった信敬は、彼を抱き寄せ唇を重ねて来た・・・。
信敬に強く惹かれて行きそうになる陽平は、彼の好意がこの仕事の間だけのものだろうと自分に言い聞かせ、諦めようとするのだが・・・。
近頃ちょっと韓国の某若手俳優さんに心を奪われている私は、この繁国(剛さん命名の架空の隣国^^;)俳優さん周辺のお話が何となく面映かったです。来日を羽田空港で出迎えたり、ミニコンサートに応募したり、繁国語を覚えようとしたり、そんなファンの皆さんの描写を読んでいると何だか他人事とは思えません(笑) ただし、韓国の人気俳優さんたちは、この話のハン・イムソルみたいに傲慢で性格も態度もセンスも悪いなんて事はありません。韓国の皆さんの芸能人を見る目は厳しく、今の時代は些細な事でもネットで批判されるので、人気スターの皆さんもかなり自覚を持って芸能活動をされいるようにお見受けします。 

剛さんも気を使われて、あとがきに「決してあなたの好きな、某俳優さんをモデルにしてはおりません」と書かれてますが(笑)、イムソルは何時の世のスターだよという傍若無人さで、素行も悪く品のない人物として描かれています。それだけに、容姿は似通っているけれど真面目で思いやりのある陽平の好感度が際立ちます。でも単にそれだけではないところが、陽平くんのほんとうの魅力です。同じような顔立ちなのに、人格的に問題のあるイムソルがスターの座を射止めて、自分が駄目なのは何故なのか。劣等感にマイナス思考へ傾くのではなくて、ある種反感を持ちながら観ていいたイムソルのビデオから、俳優としての自分に足りないモノに気付くという、真摯なプラス思考の持ち主でもあるのです。

物語全体としては、二人きりで寝食も共にしなければならない状況で惹かれあって行き、一度は離れ離れになるが受け君の窮地に攻めが現れハッピーエンド・・・。ありがちな展開ではあるんですが、それでも中々面白く読ませていただきました。たまに「アレ?」っていう作品があって、うっかり作家買いできない剛作品なんですが、これは良かったです。俳優さんが主人公ということで、『顔のない男』シリーズを思い出しました。陽平くんもまだこれからの俳優なので、この続編も見てみたい様な気がしてきました。
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顔のない男
2007-02-11 Sun 13:27
剛しいら 著 北畠あけ乃 イラスト  
徳間キャラ文庫 2003年7月発行

近頃、『王の男』にハマったり(笑)、既刊9巻という長めの小説を読んだり(松岡なつき著「FLESH&BLOOD」面白いですね!)、などしているうちに、更新をサボっておりましたが、久々の小説の感想です。以前から読みたいと思いつつ、中々古書店でも出会えなかったこの作品、先月続編の『見知らぬ男』(2004年3月発行)『時のない男』(2005年9月発行)をやっと見つけたので、ゲット出来なかった『顔のない男』はネット注文で買いました。
デビューして3年、まだに大きな役を演じたことのない駆出し俳優の音彦に、若手トップ映画監督である桐生から声かかった。主役の弟である重要な役柄「玲二」を演じて欲しいという願ってもない話だったが、それには条件があった。主演俳優である飛滝と、役柄同様に兄弟として同居生活をしろと言うのだ。戸惑いながらも条件を受け入れた音彦だったが、初対面の挨拶もないままいきなり兄として現れた飛滝は、弟を必要以上に溺愛するあまり、毎夜「玲二」である音彦を抱いて寝るのだが・・・。
剛しいらさんの作品は、好きなものは何度も読み直したくなるほど気に入っているんですが、何か個人的にはハズレと思う作品もあったりと、幅が広すぎてうっかり作家買い出来ないという問題があるんですが、このシリーズはとても良かったです。もっと早く読んでおけばよかったと思いました。

自分ではない人物を演じる俳優という職業に、恐いほどの完璧主義を求める飛滝は、配役が決まったその時からその人物に成り切ろうとします。前作のストーカー役では、役に成りきるあまり相手役の女優を本気で殺しそうになるという事までありました。

弟「玲二」として愛される音彦は、しだいに役柄としての兄ではなく、飛滝本人を想うようになっていくのですが、飛滝本人の素顔が分からない事に不安を感じ、それを知りたいと切実に思うようになります。そういうのは、ごく自然な感情ですよね。役に成りきる飛滝が、撮影を終えて役柄としての兄弟という関係に終止符が打たれた瞬間、音彦を忘れ去ってしまう怖れや不安もよく分かります。

あとがきで、著者の剛しいらさんも言っておられますが、人は俳優でなくても、自分の属性である何かを演じて生きている部分がありますよね。その上、こうしてネットが生活の一部となった今では、ネット上の自分と言う少し特殊な役割を演じる場合もあります。役に成りきる事で素の自分を見失っていく飛滝と、俳優飛滝を尊敬しながらも、素の飛滝を見出そうとする音彦の話は、何処か現代人の本質に迫る問題を投げかけているように思いました。

天才子役としてデビューした飛滝は、30歳にして芸暦20年以上のキャリアを持っている実力派俳優です。母子家庭に育った彼は、子どもに完璧な演技を求める母の期待に応えるべく、役に成りきる技を身に付けてきた訳なのですが、それは殆ど多重人格といっていいほど病的な感じさえします。前作で相手役の女優を殺しそうになった彼は、しばらく俳優業を休んで、ラーメン店の経営をしていました。実はその間にさえ素の飛田(飛滝の本名)に戻る事はなく、何とラーメン店の経営者という役割を完璧に演じていたのです。

いったい何時素の飛田に戻るのか、そもそも素の飛田とはどんな人物なのか、音彦だけでなく飛滝本人にも解っていないのではないかとさえ思われます。音彦がその愛情をもって、飛滝を見守り、本当の飛田を見つけられるのか、というのがシリーズ全編を通じての課題です。『顔のない男』は序章ということで、続編も緊張感が続きます。
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古都の紅・古都の紫陽花
2006-08-02 Wed 02:58
剛しいら 著 イラスト 石原理 ( 雄飛 アイノベルズ )
『古都の紅』(2006年3月発行)
刑事の大門京介は、ヤクザが日本刀で斬り殺された事件を捜査中に、現場に残された刀に関係する刀鍛冶の当麻博雪と出会った。犯行の凶器となった刀「紅」と、博雪が所有する刀「白」は、古の主従の因縁がからむ対の刀だった。二本を一緒にしておかないと、「紅」は持った者に人斬りを誘う殺人剣と化すという。そんな話は信じられずにいた京介であったが、実は、この世の者ではない者の姿を感じ、夢にまで見てしまう体質だった。そんな京介は、刀に込められた古の主従の情念に導かれて、博雪と関係を持ってしまう・・・。

『古都の紫陽花』 (2006年8月発行)
妖刀の因縁で結ばれた後、お互いの気持ちを確かめあって恋人同士となった京介と博雪は、共に二本の刀を守って行こうと心に決めていた。そんな折、またしても刀を使った殺人事件が起ってしまう。その凶器は先代刀鍛治であった父親が造った博雪の守り刀「青丸」だった。博雪は容疑者として拘束されてしまうが、「青丸」は客として博雪に守り刀の製作を依頼に来た女子高生が気に入って、譲って欲しいと言っていたモノだった・・・。
古都鎌倉を舞台にした、ストイックに伝統工芸の技を守る青年と、幽霊が見えてしまう敏腕刑事の物語です。鎌倉って歴史があって古都の趣はありますが、幕府は置かれたことがあっても、天皇が都としたことはないので、厳密には古都ではないんじゃないかとも思うのですが、皆さん古都と呼びますよね。それだけ歴史的重みのある街ということで、若いのに和服を着ている事が多い、美貌の刀鍛冶という設定が生きてきます。「紅」と「白」を廻る、忠誠と愛を誓った小姓と、彼に想いを寄せた主の物語、それも博雪が代々受け継がれた刀鍛冶の跡継ぎであるからこそ、伝え聞いていた話です。

何としても博雪を守りたいという京介の気持ちと、それに甘えず常に姿勢を正して節度を持って向き合いながら、とっても素直な博雪。ふたりだけの時間はとっても色っぽいのに、ふたりとも仕事や世間に対してとてもストイックで、それでいて若い分頑固一徹ではない柔軟性もあり、とても心地よいふたりです。『古都の紅』を読んで気入っていたカップルなので、『古都の紫陽花』も楽しみにしていました。次回作もあるといいのにな、と期待しています。

発行元「雄飛」の Inovels サイトには『古都の紫陽花』ss が読めるコーナーもあります。
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