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許可証を下さい!
2006-12-05 Tue 23:07
烏城あきら 著 / イラスト 文月あつよ
二見書房シャレード文庫 2003年11月発行

許可証シリーズ第1作です。『君にもわかるISO』を読んでいたら、今はしっかり愛を確かめ合ってるこのふたりも、馴初めは何だか意外と唐突だったよなぁ、と気になって、1作目を読み返してしてみました。確かに、唐突と言えば唐突でしたね、職場の仮眠室でいきなりキスしてるし・・・。その印象が強かったので、細かい事を忘れてましたが、そこに至るまでの阿久っちゃんが何だか乙女でしたわ。彼らと同じ25歳の頃の自分は、仕事に対しても恋愛に対してもっと荒んだ気持ちでいたので、ちょっと心を洗われるような新鮮さを感じました。
表題作の他、書下ろしを含む2作品を所収。
「許可証を下さい!」シャレード2002年7月号掲載
中小化学薬品製造会社喜美津化学に入社して3年、工場勤務社員としては初の理系大学卒業者として会社発展への貢献を期待されている阿久津弘は、ちょっとした難題に直面していた。今後、所属している品質保証部の仕事にも必要になるので、フォークリフトの免許を取るようにというのだ。自動車とは勝手が違う乗物に苦労する弘に、製造部の組長前原健一郎が指導係をつとめることになった。練習の他、講習への送迎にも弘に手を貸す前原だったが、そんな折り製品への異物混入というトラブルが発生し、昼夜を問わない作業が続いていた。一方で、苦手意識を持っていた前原に親しく接するうち、弘の中に前原への新たな感情が芽生えていく。そして前原も以前から弘には注目していた様子。疲労がピークに達するなかでふたりは・・・。

「クレーム受けます!」シャレード2003年3・5月号掲載
異物混入トラブルは、製品の出荷を未然に防いで解決したが、今度は納入先のメーカーから異物混入のクレームが・・・。複数の業者から原料を仕入れているメーカーに対し、自社製品には異物混入が無い事を証明しなければならい立場の弘は、最強のクレーマーと呼ばれるメーカーの担当者と対峙することになるのだが・・・。

「消火訓練デー」書下ろし
前原を嫌いな訳ではないのに、男同士の関係に戸惑いを払拭出来ない弘は、どうしても前原を避けてしまう。そんな時、工場では消火訓練を行うことになった。そこには消火の専門家でもある大先輩辻本も参加することになるのだが・・・。
オーバーワーク・ハイの勢いで、いきなりそういう関係に雪崩れ込んだのかと思ったふたりですが、阿久っちゃんは中々往生際が悪かったんですね。前原父が「別れろ」と言い出した理由でもある「世間の常識」と、押さえ切れない「自分の気持ち」の間で、揺れていました。こんな時期に前原父が現われていたら、ISOのふたりには会えなかったかもしれません。でもその後、自分の気持ちを自覚し認めた阿久っちゃんは意志強固でした。愛の力ですね。

それにしても、ISOでは前原に対して一歩も引かない勢いの阿久っちゃんですが、最初はこんなに前原が苦手だったんですね。同い年でも職歴では先輩なので敬語でしゃべってるし、その視線や言動にやけに動揺してるし、何か見ていて初々しいです。よく考えたら単に意識し過ぎだった訳で、それは恋の始まり。25歳男子にして乙女でした。

そんな阿久っちゃんと前原の恋の行方もさることながら、このシリーズにグッと惹きつけられるのは、仕事内容や職場の様子の描かれ方です。実は私も安全靴とヘルメットを支給される様なガテンな職場にいた事があるんですが、そんな職場が懐かしくなる程リアルな描写がこの作品の魅力です。私は鉄工所の生産事務だったんですが、次に出荷したい製品を検品にまわしたり、その後で荷札付けてまとめたりするのに、自分でもフォークリフト動かせたら便利だよなぁ、と度々思いました。そんな訳で、突然フォークリフトを運転する事になった阿久っちゃんにも近親感をもちました。パレットという名称なんかもとても懐かしく、「あれって一般的にパレットで通じるんだ」とちょっと嬉くなったりしました。

小ぶりの製品だったら、安全靴に軍手して自分でカラのパレットを所定の位置に運んでそこに荷札を付けた製品を並べておき、出荷担当の男性に次の便のトラックに積んでもらうように頼むんですが、それだって自分でフォーク使ってトラックに積んでおけたら、出荷漏れの心配ないですものね。大きい製品だったり、奥地に置かれちゃった製品だったら、三宅さんみたいな人に最初からフォーク頼まなくちゃいけなかったので、大変でした。阿久っちゃんも苦労したけど、許可証もらえて便利になったと思いますよ、ほんとに。
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君にもわかるISO ~許可証を下さい!5~
2006-11-29 Wed 23:44
烏城あきら 著 / イラスト 文月あつよ
二見書房シャレード文庫 2006年11月発行

続けて昔の作品を取上げたので、今回は読み終えたばかりの最新作についてです。このシリーズ、今年初めて知って何ヶ月か前に1~4を読んだのですが、みなさんお薦め下さるだけあってとっても面白いです。特に今作は、ふたりの前向きで真摯な言動と行動に、自分自身の職場でのモチベーションも上がるんじゃないかと思うくらい、ちょっと感動してしまいました。
「君にもわかるISO」シャレード2006年5・7・9月号掲載
阿久津弘が勤務する中小化学薬品製造業・喜美津化学は、得意先からの要請を受けた事もあり、ISO取得が急務となった。品証部に所属する弘は、「ISO推進委員会」の中心的メンバーとして関わることになったが、昔ながらのやり方を重視する製造部門は全く乗り気ではなく、責任者の説得に苦労していた。ちょうどその頃、製造部の組長で弘の恋人でもある前原健一郎は、通信教育のスクーリングで東京の大学に行く為、一週間現場を離れることになった。だが、前原が留守の間に不良品問題が発生し、それを具体例としてISO取得準備を少々強硬に進めようとする弘に対し、製造部長は反発を強めていた。そして東京から戻った前原も、製造部を説得するには時間が必要だと言い、ふたりの意見も真っ向から対立する。

その上、問題は仕事だけではなかった。前原が赤ん坊の頃に母と離婚していた父が、突然弘を訪ねて来て、「息子とは別れて、ただの同僚に戻って欲しい」と言いだしたのだ。再婚して生まれた娘の縁談に響くから、というのが当初の言い分だったが、東京で前原にも会ったという父の思いは、娘のことだけではなかった。仕事と恋愛、それぞれの問題に立ち向かうふたりは、どういう道を選ぶのだろうか・・・。

以上表題作のほか、前原の側から職場を描いた書下ろし「理由」を所収。
前原妹も登場します。
ビジネス書コーナーで『あなたにも解るISO』などの類似のタイトルを目にしても、絶対私は手にしないと思いますが、BLでこの本が出たおかげでISOについて少しだけ知ること出来ました。「ISO9000」の頃はよく話題になっていたように記憶していますが、製造業以外も対象になった今では「ISO9001」なんですね。品質マネジメントのPDCAサイクル「計画(プラン)し、実行(ドウ)し、検証(チェック)し、活用(アクト)する。この四段階を着実に繰り返していけること。」、何ていうのも初めて知りました。昔々の独身社会人の頃、職場でTQC(トータル・クオリティー・コントロール)活動なんてやりましたが、あれから20年(汗)、そういう考え方もここまで進化したんですね。今の職場ではISO取得なんて全く話にも出ませんが、トラブル対応については「上司への報告・迅速な解決・再発防止」のマニュアルがより細かくなりました。コンプライアンス(法令遵守)研修も今年は2回受けさせられましたし。そんな訳でちょっとお勉強にもなりました。

そして何より、ここ半年ほど職場でのモチベーション下がりまくりの私に喝を入れるような、弘と前原のやりとりが良かったです。もともと兄貴肌で、後輩はグイグイ引張って行くし、先輩方にも言うべき事はハッキリ言う前原ですが、例え恋人だろうと弘に対してもその態度は変わりません。そして一見大人しそうで天然入ってる弘も、こと仕事に関しては自分の信念を持って行動し、納得が行かなければ一歩も引かない負けず嫌いな性格です。それでいて、ふたりの仕事に対するぶつかり合いは、単なる意地の張合いだけではありません。自身の立場と役割を踏まえ、仕事の将来やそこに働く人々の事も考えた上での、それぞれの最善策の主張なのです。喧嘩ごしのようでも、見ていて気持ちいいくらいです。

現実の職場というのは、社員の思いが届かない虚しさを感じる事の方が多いかもしれないんですが、たとえフィクションであろうとも、この物語に元気をもらいました。恋人同士であると同時に同僚であり、仕事の上ではライバル意識もバリバリ持っているふたりですが、相手の仕事への情熱や理解度その成果には、敬意をもって賞賛する気持ちも持っています。自分の方が負けであれば心底悔しいけれど、それだけなく相手の仕事ぶりには素直に感動さえ覚えているんです。私はその事に感動しましたよ。まさに切磋琢磨して成長していける、とってもいい関係ですね。羨ましい限りです。

突然現れた父の「別れてくれ」へふたりの対応にも、それぞれ前向きで真剣な深い想いがあふれていて、こちらも胸をあつくさせられました。今後は仕事だけなく、互いの両親へふたりの関係をどう伝えていくのかなど、難しい問題もありそうです。このシリーズ、ふたりが精神的に大人なせいか(前原父も息子をそう評してましたが)、これまでは恋愛関係での切な度はかなり低めでした。すれ違いも仕事がらみの事がほとんどで、仕事の問題の解決がふたりの問題の解決にもつながっていたんですが、これからはどうなるんでしょうか。心配ではありますが、それはそれで楽しみでもあります。

このシリーズは、シャレード文庫から下記の4冊が出ています。
1『許可証をください!』2003年11月発行
2『慰安旅行に連れてって!』2004年6月発行
3『嵐を呼ぶ台風!?』2005年2月発行
4『ただいま定修中!』2005年12月発行
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初めて読んだ作家、烏城あきらさん
2006-08-15 Tue 00:07
blogをやってなかった頃は、読んだことの無い作家さんの本に中々手が出ませんでした。でも近頃は書評系blogさんを拝見する様になったので、その感想に惹かれて新規開拓できる事がよくあります。その中で、次に新刊が出たら是非また読みたい、という作家さんに出会えると嬉しくなります。

近い所では『箱の中』『檻の外』の木原音瀬さんが大ヒットでした。他には、『エス』の英田サキさん、『ダブル・ベッド』の吉田ナツさん、それからここにお立ち寄りいただいた方が紹介して下さった『夢の卵』の鷺沼やすなさんも良かったです。

そして先日は、烏城あきらさんの徳間キャラ文庫新刊『スパイは秘書に落とされる』(イラスト羽根田実 2006年7月発行)を読みました。榎田尤利さんの「藤井沢商店街シリーズ」を読んで、仕事に情熱を傾ける人々の話が面白いなと思っていたところ、皆さんが烏城作品に「仕事についてもきっちり読ませる」という感想を寄せていたので、それは読んでみなければと思い立った訳です。

で、皆さんのおっしゃる通り面白かったです! ちょっとしたどんでん返しは予想が付きましたが、そこに描かれる仕事へのプライドと意気込み、受け君の気の強さなんかもひっくるめて、ラストに向かって益々主人公たちが好きになりました。そんな訳で同レーベルの前作『発明家に手を出すな』(イラスト長門サイチ 2005年10月発行)も続けて読んじゃいました。

次は、二見書房シャレード文庫の『許可証をください!』シリーズも読んでみたいかな、と思ったら、書店には第1作だけ置いてなかったんです・・・。仕方ないので、久々にネット注文してしまいました。烏城あきらさんも、これから新刊待ちしちゃいそうです。
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